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【介護サービスが必要になったら】介護の豆知識その⑨~居宅介護支援事業所とは? 利用方法と選び方について~

はじめに

在宅での介護が必要になった際に、どのようなサービスを利用するべきか、そしてどこの事業者にお願いをするべきか、ご自身やご家族だけでは判断が難しい場合が多く見られます。

そのような場合において、利用者が適切な介護サービスを受けられるようにプランを作成し、事業者との橋渡しをする居宅介護支援事業所が重要な役割を果たすことになります。

本記事では、居宅介護支援事業所とはどのような所なのか、利用方法と選び方などについて解説いたします。

→前回の記事はこちらからどうぞ

居宅介護支援とは?

居宅介護支援とは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるように、ケアマネジャーが利用者の心身状態や生活環境、ご本人の希望に応じた介護サービスを利用するためのケアプランの作成や見直しを行うマネジメントサービスです。

そしてこの作成されたケアプランに基づいて適切なサービスが提供されるよう、事業者や関係機関との連絡・調整も行います。

居宅介護支援事業所とは?

居宅介護支援事業所は、要介護者が在宅で介護サービスを受けるための相談や計画、調整を行う事業所で、主任ケアマネジャーやケアマネジャーが常駐しており、利用者のケアプランの作成を行います。

居宅介護支援事業所はケアプランセンターとも呼ばれています。

「居宅」とは自宅だけでなく、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、軽費老人ホームなどの居室も含まれます。

居宅介護支援事業所の利用料は介護保険から給付されるため、利用者は費用を負担する必要がありません。また、居宅介護支援は特定のサービスや事業者に偏ることがないよう、公正中立に行うこととされています。

利用できる対象者

居宅介護支援事業所が作成するケアプランの対象者は、要介護1〜5の認定を受けた方で、

介護予防支援の指定を受けた事業所では、要支援1・2の認定を受けた方が対象となります。

一方、これまで要支援者向けの介護予防サービスは「地域包括支援センター」のみで行われており、

居宅介護支援事業者は地域包括支援センターより委託を受けて、介護予防支援を実施してきましたが、2024年4月から施行された介護保険法の改正により、指定を受けた居宅介護支援事業所でも(要支援者向けの)介護予防支援が行えるようになりました。

居宅介護支援の利用方法とその流れ

①自治体の窓口で介護保険サービスの利用を申し込む

②要介護(要支援)認定を受ける

③居宅介護支援事業者を選ぶ

 地域包括支援センターに相談すると、居宅介護支援事業者を紹介してもらえます。

④介護事業者と契約

 事業者が決定した後は、契約書を交わし、居宅介護支援サービスの利用が開始されます。

⑤ケアマネジャーを選び、ケアプランを作成

⑥介護サービスの利用開始

 ケアプランに従ってサービス提供事業者と契約を行い、サービスの利用を開始します。

⑦モニタリング

ケアマネジャーによる定期的な評価、場合によってはケアプランの見直しを行います。

居宅介護支援事業所の選び方

自宅からの距離

居宅介護支援事業所は自治体からの指定を受け、管轄地域の利用者に向けて専門的なサービスを提供する場所です。利用者は地域包括支援センターや市区町村の介護保険課を通じて、居宅介護支援事業所の連絡先リストを入手できます。

選ぶ際には、自宅から近い事業所を選ぶと地域の介護サービスに関する情報を得やすくなるため、

ご自宅から近い事業所を選ぶことをおすすめします。

特定事業所加算を受けているかどうか

特定事業所加算とは、介護度の高い中重度者や支援困難ケースへの対応や専門性の高い人材の確保など、公正中立で質の高いケアマネジメントを実施している事業所を評価する制度です。

居宅介護支援であれば、24時間体制での相談受付やケアマネジャーひとり当たりの担当利用者数に制限を設けるなど、厳しい基準を満たしている証拠になります。
特定事業所加算を受けているかどうかは調査を行わないと分からないため、厚生労働省が運営する

「介護サービス情報公表システム」を利用して確認することができます。

状態に応じて他のサービス併設型の事業所を選択する方法

居宅介護支援事業所にはデイサービスや訪問看護ステーションなど、他の介護サービス施設が併設されている事業所があり、それによって施設を優先的に利用できる場合があるため、サービス間の連携がスムーズになります。

ただし、併設されているからといって利用者がその介護保険サービスを必ず利用しなければならないわけではありません。

ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいた必要なサービスのみを受けることが重要で、不要なサービスは断ることもできます。

ケアマネジャーとの相性

居宅介護支援事業所を選ぶ際、地域包括支援センターや病院の地域連携室の担当者が事前に選んだ事業所を提案することが一般的で、利用者が自ら事業所を一から選ぶことはあまりありません。

そして決定した事業所に所属するケアマネジャーが担当につく、という流れとなります。

介護保険サービスの質を向上させるためには、ケアマネジャーの選択が極めて重要となります。

ケアマネジャーは介護に関する支援だけでなく、家庭内のプライベートな問題や金銭的な悩みについても関与するため、信頼できる人物であるかどうかが大切な要素となります。

専門知識があって経験が豊富だからといって、いいケアマネジャーだとは限りません。利用者やその家族に寄り添い、相談しやすい人物であるかどうかなど、人間的な相性の部分も大切になってきます。

おわりに

初めて家族の介護を行う際、何をどのように進めていけばいいのか、どのような支援を受けるべきか、分からないことだらけで悩む方も多いと思います。

そのような場合に居宅介護支援では、ケアマネジャーが必要なサービスや支援を見極めて、介護が必要な方とサービス提供事業者をつなぐ重要な役割を担っています。

介護が必要になったと感じた時に、まずどこに相談すればよいかを事前に知っておくことで、いざという時に焦らず対応できるようになります。

トピックス【介護サービスが必要になったら】記事のご案内

過去の記事をまとめてございます。よろしければご参照ください。

介護保険の基礎知識①~⑩

介護の基礎知識(1)~

介護の豆知識その①~

参考リンク

厚生労働省

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group1.html

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000171813.pdf