【介護サービスが必要になったら】介護の豆知識その⑥~介護リフォームとは?(後編)費用の相場や助成金について~

はじめに
前回に引き続き、今回は介護リフォームの豆知識(後編)をお届けいたします。
前回は手すりの設置や段差の解消といった介護保険を利用してできるリフォームの種類、申請方法などについて見て参りました。
今回は介護リフォーム費用の相場やリフォーム計画にあたっての注意点について解説いたします。
→過去記事「介護保険の基礎知識⑥~介護保険を利用した住宅改修について~」も併せてご参照ください
介護リフォーム費用の目安
介護リフォームにかかる工事費用は業者によって異なるため、事前に相場を把握しておきましょう。
介護保険の利用には支給限度額が限られているため、慎重にリフォーム箇所を選ぶ必要があります。
また、地域や工事箇所の状況によっても金額が変動するため、あくまでも目安の金額として参考にしていただけますと幸いです。

出典:みんなの介護「みんなの介護Q&A/Q. 介護リフォームで使える補助金・助成金とは?申請方法や受給条件を解説」より
市区町村の助成金で介護リフォームをすると?
介護保険以外にも、自治体が介護リフォームに対する助成金制度を設けている場合があります。
助成金制度は支給条件や上限額、対象工事が自治体ごとに異なりますが、自治体独自の助成金を利用することで、介護保険では対象外となる工事にも助成金が下りたり、支給額が20万円よりも多くもらえる場合があります。
市区町村による助成金の例として、渋谷区では消費税を除く5万円以上の工事費に対して、上限10万円で20%の助成金が支給されるそうですが、このように各市区町村によって要件や条件は異なります。
また、自治体の助成金制度は介護保険の住宅改修費支給に比べて受給条件が厳しいのが一般的です。
したがって、利用を検討する際には、各市区町村の情報を確認することが重要です。
介護保険に含まれない自治体独自の助成金制度では、介護保険の住宅改修費支給を受けていないことが条件となっている自治体もあります。
介護保険と自治体の助成制度を併用することが難しい場合があるため注意しましょう。
介護リフォームの注意点
介護リフォームの失敗例
介護リフォームの失敗例には「手すりが太すぎて握れない」「トイレの両側に大きな手すりをつけてしまい、よく体をぶつけてしまう、掃除が不便になった」「いつか車椅子生活になることを予想し、階段にリフトを付けたが結果的に使用せず、邪魔になってしまった」などの事例があります。
介護リフォームには「先々のことを考えたリフォーム」と「介護が必要な人のためのリフォーム」という二つの異なるアプローチがあります。
これらを混同するとリフォーム後に後悔する可能性が高まるため、早まった改修に気を付け、事前に十分な計画を立てることが重要です。
状況に合わせた工事を選ぶ
要介護・要支援といっても介護を受ける方々はそれぞれ身体状況が異なりますので、利用者の症状・状況に応じた改修内容を選ぶことが重要です。
足腰が弱い場合でも、自力で歩行できる方と車椅子を使用する方では当然必要な改修工事が異なります。自力で歩行できる場合は手すりの設置や転倒防止が優先されますが、車椅子を使用する場合は車椅子が通れるように廊下の幅を広げることが必要です。このように、個々の状況に応じた適切な改修が必要となります。
自分の家に合うリフォーム内容にする
住宅改修では、家の築年数や賃貸か持ち家かによってリフォームの範囲が異なるため、自分の家に適した改修を行うことが重要です。
特に賃貸住宅の場合は壁や床の工事を行うには大家や管理会社の許可が必要になるため、工事を検討する際には業者や家の管理者、ケアマネジャーと十分に相談し、工事が可能な範囲内で優先順位を立ててリフォームを進めましょう。
要介護者と介護者に適したリフォームプランを立てよう
車椅子の使用に関しては、利用者の自立度に応じた配慮が必要です。
自分で動かせる方には通路の幅を広くすることで、壁や手すりに当たらないようにすることが重要になり、他者に押してもらう必要がある方の場合は介護者がスムーズに移動できる環境を整える必要があります。
これらの状況を考慮し、介護生活の不便さや不安を軽減するためのリフォームプランを検討することが大切です。
!失敗しない介護リフォームの業者の選び方!
介護リフォームを行う際には、バリアフリーや介護に関する専門知識を持つ業者に依頼することが大変重要です。
専門知識のない業者に依頼すると必要な対応ができず、補助金を無駄にするリスクがあるため、福祉住環境コーディネーターが在籍するリフォーム会社や、福祉施設のリフォーム実績が豊富な業者を選ぶことをおすすめします。
また、工事業者の中には、必要以上にスロープや手すりを設置したり、望まない高額な材質を使用して工事費用を不当に引き上げるケースもあります。工事が始まる前に、見積もり内容を十分に確認し、項目が曖昧な場合はしっかりと詳細を確認することが大切です。
施工業者を選ぶ際には必ずケアマネジャーに相談しましょう。専門的なアドバイスを受けることができ、適切な業者を見つける手助けとなります。
おわりに
介護リフォームは高齢者の生活の安全性を高め、快適に暮らしていくための有効な手段です。
要介護認定で要支援1以上となれば公的介護保険が適用され、条件を満たせばリフォームに対する補助金も支給されますので、経済的な負担を軽減し、安全な生活環境を整えることが可能となります。
また、リフォームを計画する際は必ずケアマネジャーやバリアフリーの専門家に相談して、しっかりとしたシミュレーションを行うことが重要となります。
トピックス【介護サービスが必要になったら】記事のご案内
過去の記事をまとめてございます。よろしければご参照ください。
参考リンク
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html
みんなの介護