【介護サービスが必要になったら】介護の基礎知識(11)~シニア向け分譲マンションとは?~

はじめに
年齢を重ねて高齢になり、自宅での生活に不安を感じるようになってきた場合に、次の住まいの選択肢として「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」や「シニア向け分譲マンション」というものがございます。
シニア向け分譲マンションは一般的なマンションと同様に売買が可能で、購入することで月々の家賃を支払う必要がなく、自由な生活を楽しむことができます。
本記事では、このシニア向け分譲マンションの特徴や、サ高住との違いなどについて解説いたします。
シニア向け分譲マンションとは?
シニア向け分譲マンションとは、高齢者が生活しやすいようにバリアフリー化された分譲マンションで、レストランの設置やフロント対応などのサービスが充実している点が特徴です。
主に富裕層を対象としており、フィットネスジムやカラオケ、シアタールーム、温泉などの娯楽施設が併設されている所もあります。
老人ホームや福祉施設とは異なり、分譲マンションを購入することで、入居者は自分の所有財産として扱うことができます。購入後は、売却や譲渡、賃貸が自由に行えるため、子どもに相続させることも可能ですが、売却や賃貸を考える際には信頼できる不動産業者に相談することが重要となります。
賃貸物件として活用する場合、マンションの入居条件に合う入居希望者が見つかり、条件を満たすことで売却が成立しますが、シニア向けマンションは物件数が少なく、中古市場が確立されていません。
希望する売却価格での取引が保証されているわけではないので、この点に注意が必要です。
入居条件
シニア向け分譲マンションは自立している方を対象としており、入居基準は施設ごとに異なります。
年齢制限については入居可能年齢が50歳、60歳など条件が設けられている場合があるように、各施設が独自の基準を設けていることもあるため、事前の確認が必要です。
入居条件には次の2つのポイントがあります。
①自立していること
シニア向け分譲マンションは、自立した生活が可能な高齢者を対象としています。
食事や入浴、排泄の介助といった介護サービスは提供されておらず、認知症に対する支援サービスもありません。ただし、要介護認定を受けた方を受け入れる施設もありますが、要介護度が高い方には不向きといえます。すでに要介護状態の方は、入居要件や入居後の生活について施設に相談しましょう。
②金銭面で余裕があること
シニア向け分譲マンションは、初期費用が高額であることが大きなハードルとなっています。
アクティブな富裕層のシニアをターゲットにしているため、資金面以外では比較的入所しやすいとされています。しかし、施設によっては「特定の疾病に罹患していないこと」や「身元引受人がいること」など、独自の入所基準が設けられている場合があります。
シニア向け分譲マンションの費用
シニア向け分譲マンションは高齢者に特化した設備やサービスが充実しているため、一般的な分譲マンションよりも価格が高く設定されています。
住宅ローンを利用できる物件もありますが、返済完了時の年齢制限があるなどの注意事項についても確認が必要です。
月額費用にはローン返済に加えて、管理費や修繕積立金、サービス利用料金が含まれます。
また食費も必要ですが、支払い方法は施設によって異なり、定額制や利用分に応じた支払い方法があります。さらに介護が必要になった場合は、外部の介護サービス費が別途発生し、こちらも利用した分だけ支払うことになります。

シニア向け分譲マンションのサービス
多くのシニア向け分譲マンションではコンシェルジュが常駐しており、入居者の困りごとに迅速に対応してくれるため、生活が非常に便利になります。
また、見守りサービスや健康管理サービスを提供する施設もあり、入居者が安心して過ごせる環境が整っています。一部の施設では専門の栄養士が常駐し、食事管理やカロリー、塩分の調整を行っているため、健康的な食生活をサポートしてくれます。施設ごとにサービスの特色が異なるため、選択肢が豊富であることが魅力のひとつです。
一方、気を付けたいのは、持病のある方です。
介護や医療サービスを利用する際は、基本的に外部の事業者と契約する必要がありますが、提携している施設もあり、施設内でサービスを受けることも可能です。入居前に介護・医療サービスとの提携状況、または近隣に病院・クリニックがあるかを確認しましょう。
シニア向け分譲マンションの設備
シニア向け分譲マンションはバリアフリー対応の広い居室が特徴で、段差のない広めの間取りの部屋が多く、夫婦での入居が可能です。
また、共同生活室が設けられており、施設によっては理美容室や医務室、居住者用のキッチンや売店、健康をサポートするためのフィットネスジムやプール、機能訓練室が完備されている物件もあります。さらにカラオケルームや図書室などの娯楽施設など、シニアライフを楽しむための設備が豊富に用意されている所も魅力です。ゲストルームがある物件もあり、訪問者の受け入れにも配慮されています。
シニア向け分譲マンションに入居するメリット・デメリット
メリット
娯楽やレクリエーション設備が豊富に揃っていることが大きな魅力です。
館内には24時間常駐のスタッフがいるため、困ったことやお願い事があればいつでも相談できる安心感があります。
また、物件を借りるのではなく購入する形をとるため、リフォームや売却が自由に行える点も魅力です。シニア向け分譲マンションでは、自分の好みに合わせて居室を改築できるため、より快適な生活空間を作ることができます。
デメリット
シニア向け分譲マンションは購入に際して高額な費用がかかります。
有料老人ホームでも一時入居金が高額になるケースはありますが、平均額を比較すると、シニア向け分譲マンションの購入費用はそれらよりもかなり高額になることが多いです。
購入後は、通常の分譲マンションと同様に管理費や修繕積立費が発生し、毎月の費用負担が生じます。また、不動産を所有することで固定資産税もかかります。
要介護度が上がったり認知症が進行した場合は住み替えが必要になることがあり、特に医療ケアが必要になった際には、有料老人ホームなどへの転居が必要になることもあります。
シニア向け分譲マンションとサ高住との違い
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)はシニア向け分譲マンションと比較されることが多く、両者は自立した生活が可能な高齢者を対象としており、介護サービスが付属していない点で共通しています。しかし、権利形態や費用に関しては大きな違いがあります。

シニア向け分譲マンション購入前のポイント
シニア向け分譲マンションを購入する際には所有権の確認が重要となり、所有権があることで、親族への譲渡や賃貸物件としての活用が可能になります。
また、認知症などの健康問題が発生した場合には住み続けることが難しくなることがあるため、物件を売却する際にスムーズに進められるよう、あらかじめ段取りをしてくれる人を決めておくことが大切です。
さらに多くのシニア向け分譲マンションは所有権方式で、一般分譲マンション同様に管理組合がある場合がほとんどです。マンションのサービスや管理方法は入居者の意見によって決まるため、管理組合の有無を事前に確認することも重要です。
シニア向け分譲マンションの入居手続き
まず不動産会社に内覧を申し込み、気に入った物件があれば入居申込書を提出します。その後、入居者と不動産会社との面談が行われます。
入居手続きには、所得証明書や住民票、健康診断書などの書類提出が必要です。
特にローンを利用する場合は、収入や資産に基づく支払い能力の審査が行われます。
また、施設によっては年齢制限や伝染病の感染歴、身元保証人の必要性などの入居条件が設定されていますので、事前に確認が必要です。
さらに、要介護度や介護の必要性も考慮され、最終的な結果が出されます。
手続きの詳細は施設によって異なるため、希望する施設に直接問い合わせてみてください。
おわりに
シニア向けの分譲マンションは生活の自由度が高く、見守りサービスや緊急時の対応が整っているため、安心して暮らせる環境が整っています。
しかし、物件によっては要介護度が高くなったり、医療依存度が増した場合に必要な介護や医療ケアが受けられないことがあったり、また、自室での看取りケアが難しい場合もあります。
そのため、シニア向け分譲マンションを選ぶ際には、メリットだけでなくデメリットも十分に考慮する必要があり、費用も高額であるため、将来の要介護度の上昇や終末期を迎えた時などについて家族とじっくり話し合いながら、慎重に入居を検討しましょう。
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参考リンク
一般社団法人 不動産協会