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【介護サービスが必要になったら】介護保険の基礎知識⑧~区分支給限度基準額と支給限度基準額の違いについて~

はじめに

介護保険サービスを利用する際、利用者は所得に応じて1〜3割の自己負担で利用することができます。

しかし介護保険には財源があるため、無制限にサービスを利用することはできません。

このため、要支援・要介護度に応じて一か月の上限額「区分支給限度基準額」が設定されており、似ている言葉として「支給限度基準額」もありますが、この二つは異なります。

本記事では、これら用語の意味や区分支給限度基準額と支給限度基準額の違いについて解説いたします。

→前回の記事はこちらからどうぞ

区分支給限度基準額とは?

病気や高齢化によって介護が必要になった対象者が介護保険サービスを利用する際、税金や保険料によって少ない自己負担でサービスを受けられるようになっています。

この財源は、全国民が40歳以上になると加入する介護保険の保険料と税金から成り立っています。

区分支給限度基準額は、被保険者に設けられた4つの支給限度基準額のうちの一つで、要介護や要支援の区分ごとに設定されており、合計で7つの区分があります。

2024年度の例では、要介護5が最も高い利用限度額で36,217単位、要支援1が最も低い利用限度額で5,032単位となっています。1単位はおおよそ10円と換算され、要介護5の場合は約36万円、要支援1の場合は約5万円です。この上限を超えた分については、全額自己負担となります。

各介護レベルにおける区分支給限度基準額とは?

要支援・要介護度ごとに設定されている区分支給限度額と1カ月あたりの支給限度額の一覧は以下の通りです。

区分支給限度基準額は通常、円ではなく単位で表され、基本的には1単位は10円として考えます。

介護度が上がると、区分支給限度額の上限も上がり、自己負担額の上限も増加します。

月の途中で初めて要介護または要支援認定を受けた場合、日割り計算は行われず、たとえその月の日数が少ない場合でも、1カ月分の区分支給限度基準額まで利用できます。また月の途中で要介護度または要支援度が変更された場合、その月は重い方の区分支給限度基準額まで利用できます。

区分支給限度基準額を超過した場合は

区分支給限度基準額を超えるサービスを利用した場合、超過分の料金は全額自己負担となります。

オーバーしないようにするため、ケアマネジャーと相談しながら限度基準額を管理しましょう。

オーバーした場合の計算方法は、「超過分の単位 × 地域のサービス単価」となり、超過料金を全額自己負担することとなります。

例として500単位を持っている状態で725単位のサービスを受けると、225単位がオーバーします。

725単位のうち225単位が超過した場合でも、超過しなかった500単位には介護保険が適用されます。

ですので計算すると、

「225(超過分の単位)×10(地域のサービス単価:円)」=自己負担額は2250円です。

区分支給限度基準額と支給限度基準額の違いは?

保険給付は限度なく利用することはできず、一部のサービスを除き利用限度額が定められおり、その利用限度額のことを支給限度基準額と呼びます。

支給限度基準額は4種類定められていますが、そのうちの一つが区分支給限度基準額です。

残り3種類の支給限度基準額には「福祉用具購入費支給限度基準額」「住宅改修費支給限度基準額」「種類支給限度基準額」があります。

①福祉用具購入費支給限度基準額

福祉用具購入費支給限度基準額は、介護保険で認められている福祉用具の購入に関する上限額です。

この上限は、1事業年度につき10万円に設定され、1事業年度は4月1日から翌年の3月31日までの期間を指します。

さらに、福祉用具にはレンタルできるものもあり、要介護度に応じて自己負担額は1割から3割となっています。

②住宅改修費支給限度基準額

住宅改修費支給限度基準額は、手すりの設置や段差をスロープに変更するなどの改修を行った場合に適用されます。

具体的には、同一の住宅に対して20万円の上限が定められています。

③種類支給限度基準額

種類支給限度基準額は、市区町村が特定の介護サービスの利用を制限する際に設定される基準です。

この基準により、一人当たりが月に利用できるサービスの回数に限度が設けられます。

例えば、ある市町村には通所介護(デイサービス)が一か所しかないとします。

しかしその地域には高齢者が多く、その一か所しかない通所介護に殺到してしまうため、利用が難しくなってしまう、といったことを防ぐために1人の利用者が利用できる量(回数)を制限するものです。

区分支給限度基準額の対象となるサービス

区分支給限度基準額は介護保険サービスを利用する際に、要支援や要介護度に応じた利用上限金額を示しています。

この区分支給限度基準額には、対象となるサービスと対象外のサービスがあります。

対象となるサービス

  • ・訪問介護
  • ・訪問入浴介護
  • ・福祉用具貸与
  • ・夜間対応型訪問介護

区分支給限度基準額は居宅要介護者や要支援者が複数のサービスを組み合わせて利用する場合に、

1カ月の保険給付の枠を設定したもので、訪問介護やデイサービスなどの介護(予防)サービスは対象となり、限度額の範囲内で利用できます。

ただし、通所サービスや短期入所サービスを利用する際には、食費やオムツ代、歯ブラシ代などの雑費が自己負担となりますのでご注意ください。

区分支給限度基準額の対象外となるサービス

  • ・居宅療養管理指導
  • ・特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型、短期利用を除く)
  • ・認知症対応型共同生活介護(短期利用を除く)
  • ・地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用を除く)
  • ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • ・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • ・介護老人保健施設(老健)
  • ・介護療養型医療施設
  • ・介護医療院

居住系サービス(短期利用を除く)はグループホームや特定施設など、利用者が居住しながらケアを受けるタイプのサービスのため、他のサービスと組み合わせることはありません。そのため、居住系サービスは区分支給限度基準額の対象外となります。

おわりに

区分支給限度基準額は、介護を必要とする高齢者・利用者が介護保険サービスを利用する際に税金で負担される限度額を指します。

この基準額を超えるサービスを利用した場合の超過分は全額自己負担となり、また、区分支給限度基準額には対象となるサービスとそうでないサービスがあります。

サービス利用を検討する際にはどのサービスが対象になるかを確認し、ケアマネジャーとよく相談してプランを作成することが重要です。

こちらの記事が介護サービスをご検討中の方々のご参考になれば幸いです。

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過去の記事をまとめてございます。よろしければご参照ください。

介護保険の基礎知識①~

参考リンク

公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット

https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-hoken/shikyu-gendo.html

厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/housyu/kaitei31_00005.html