【介護サービスが必要になったら】介護保険の基礎知識③~要介護認定と要介護度とは?~
はじめに
前回のトピックスでは介護保険の申請方法と注意点について解説させていただきました。
引き続き今回は介護保険申請後に行われる要介護認定の内容と介護レベルを示す要介護度について詳しく解説いたします。
要介護認定とは?
要介護認定は介護が必要な程度を7段階で示す制度で、この認定を受けることで公的な介護保険サービスを利用することができます。
自宅での生活を支援するために、調理や掃除などの生活援助や、入浴や移動に関する身体介護を受けることが可能です。また、必要に応じて施設に入居することもできます。本来であれば高額な介護サービスを保険適用で1〜3割の自己負担で受けることができます。
役所に要介護申請を行った後、市区町村の担当者から訪問調査の連絡が入ると、市区町村の職員や委託されたケアマネジャーなどが自宅を訪問し、現状の介護に必要な度合いを確認するために申請者の状態や、日常生活、家族や住まいの環境などについて聞き取りをします。調査内容は全国共通(基本調査74項目)で、主な項目は下記表の通りです。
訪問認定調査内容と基本調査項目と内容
要介護度(介護レベル)とは?
要介護度とは、公的介護保険制度において要介護認定の申請の際に判定される介護の必要性の程度を表す指標です。認定区分とも呼ばれます。
要介護度は要介護認定等基準時間に基づいて認定され、この基準時間は介護が必要な対象者に対する手間や労力を時間で表した指標です。症状が重い場合、介護にかかる手間や労力が増加するため、要介護認定等基準時間も長くなります。
認定区分は要支援1~2、要介護1~5の7段階に分かれ、支援が不要な「非該当(自立)」を加えると計8段階となります。要支援や要介護の認定を受けることで、介護保険が適用されます。具体的には、要支援1~2の場合は介護予防サービスが利用でき、要介護1~5の場合は介護サービスが受けられます。
申請者が健康と判断された場合は「非該当」とされ、介護保険サービスは利用できません。
要介護度別の身体状態の目安
要支援・要介護度はその方の状況や介護の必要性、下記表に示された身体状態を目安に、総合的に個別判定されます。要支援よりも要介護の方が、また度数の数値が大きい方が介護の必要性が高くなっています。
心身状態の悪化がみられたら、区分変更申請を行う
要介護または要支援の認定を受けている人が、心身の状態が悪化した場合は、次回の更新を待たずに区分変更申請を行うことができます。介護保険サービスは、要介護認定の段階によって利用できるサービスの種類や支給限度額が異なるため、区分変更を行うことでより適切なサービスを受けられ、サービスの量も増やすことが可能です。
ただし、区分が上がるとサービス利用料も高くなるため、注意が必要です。区分変更を希望する場合は、市区町村の担当窓口に「区分変更申請書」を提出します。申請から結果が出るまでには約1カ月かかります。また、申請時には主治医の意見書も必要です。
おわりに
適切な介護サービスを受けるためには、現状に見合った公正な調査と審査が必要不可欠です。
介護保険制度は介護度が高いほど必ずしも有利に働く、というわけではありません。
利用者負担の点から考えると負担が増えるだけになってしまう場合もあるので、現状の介護の「必要性」を正しく判断してもらうことが大切です。そのためには認定調査などの項目をしっかりと把握し、伝えるべきことや負担となっている事柄を事前に確認し、準備しておくことが重要です。
次回は介護保険で受けられるサービスについて解説いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
参考リンク
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html
公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-hoken/nintei-chosa.html