【介護サービスが必要になったら】介護の基礎知識(9)~ショートステイと利用の流れについて~

はじめに
在宅での介護中、一時的に宿泊付きの介護サービスを利用したいという時はございませんか?
在宅介護を支える重要なサービスの一つにショートステイというものがあり、このショートステイには介護保険が利用できるものと、介護保険適用外で有料老人ホームなどが提供する独自のサービス受ける事ができる2種類の形があります。
今回はショートステイの特徴や利用方法などについて解説いたします。
ショートステイとは
ショートステイとは最短1日から利用できる短期間の宿泊サービスの中で、介護や生活支援を受けることができます。
在宅で介護を行っている際に、冠婚葬祭や出張、介護者の体調不良などで一時的に介護ができない場合や介護者のレスパイト(休息)を目的として利用できます。
ショートステイを利用できる期間
- ・介護認定期間の半数を超えてはいけない
- ・連続して利用する場合30日を超えてはいけない
連続しての利用が可能な日数は最長30日間までです。
介護保険適応のショートステイを利用する場合は、要介護認定を受けておく必要があり、
また、介護認定期間の半分、例えば180日の場合は90日まで利用できるという規定があります。
別のショートステイ施設に移ったとしても、同サービスを受けているとして日数はリセットされず連続利用としてカウントされます。
ただし、特別な事情がある場合には例外が認められることもあるため、ケアマネジャーに相談してください。
※要介護認定の有効期間
原則として、認定の申請日から新規の場合は6カ月、更新の場合は12カ月です。
ショートステイの利用条件
短期利用が前提で、連続利用可能日数は30日です。
31日以上の利用を希望する場合は全ての費用が自己負担となるため、注意が必要です。
また、4日以上(3泊4日以上)連続して利用する場合は、ケアマネジャーが作成したケアプランが必要です。4日未満の利用の場合はケアプランがなくても問題ありません。
介護保険が適応されるショートステイの場合
65歳以上で要支援1・2、要介護1~5、または40歳~64歳で特定疾病により要介護認定を受けた方が対象です。
介護保険適応外のショートステイの場合
原則65歳以上で、自立(非該当)の方は通常ショートステイを利用できませんが、有料老人ホームなどで提供される介護保険適用外のショートステイには例外があります。
ホームによって条件が違いますが、自立(非該当)の方も利用できる所があります。
ショートステイの提供施設は3種類
ショートステイの施設には「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」「介護保険適用外のショートステイ(有料ショートステイ)」の3種類があり、それぞれ提供されるサービスや対象者が異なります。
このうち短期入所生活介護、短期入所療養介護には介護保険が適用されます。
1.短期入所生活介護が受けられる施設

短期入所生活介護では「単独型」と「併設型」に分けられますので、以下をご覧ください。

2.短期入所療養介護が受けられる施設

3.介護保険適用外のショートステイが受けられる施設

ショートステイの利用料金の目安
ショートステイの費用についての重要なポイントは、基本料金以外の全てが介護保険適用外で、自己負担となることです。
ショートステイの費用は基本料金に加え、特別サービスが加算されたり、介護保険外の自己負担が必要となります。
一般的に、ショートステイの費用は1泊2日で3,000円から8,000円程度が相場です。しかし、世帯収入が低い場合には、負担軽減も可能です。
基本料金は施設の種類や要介護度によって異なりますが、介護保険が適用されるため、自己負担額は1割から3割程度となります。

短期入所生活介護(併設型)

※自己負担1割で1日利用の場合
※併設型は、特別養護老人ホームなど入居できる介護施設に併設されたショートステイを指します。
短期入所療養介護(介護老人保健施設)

※自己負担1割で1日利用の場合
★提供されるサービス内容によって料金は加算されます。実際の費用は市区町村や施設によって異なるため、あくまでも目安としてご活用ください。
介護保険外
有料老人ホームでのショートステイは全額自己負担となり、1日あたり5000円から2万円程度の費用がかかります。
世帯収入に応じて公費補助が受けられる場合がありますが、レクリエーション費などの追加費用が発生することもあります。料金は施設によって異なりますので、施設に直接お問い合わせください。
申し込みから利用までの流れ
①ケアマネジャーに相談する
②利用したいショートステイ施設を選び、空き状況を確認してもらう
③ケアプランを作成
→介護保険を利用する場合(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)
- ・要支援の方の場合:地域包括支援センターへ相談し、介護予防ケアプランを作成。
- ・要介護の方の場合:担当のケアマネジャーに相談し、ケアプランを作成。
→介護保険を利用しない場合(有料老人ホームなど)
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの施設に直接連絡して利用できます。
④施設の見学・訪問
⑤契約、サービス利用開始
ショートステイ施設の選び方のポイント
介護サービスを重視するのであれば短期入所生活介護、医療ケアも必要であれば短期入所療養介護、
といったように、ケアマネジャーと相談しながら個々のニーズに合った施設を見つけましょう。
さらに施設見学もしておくとよいでしょう。実際の部屋や設備を確認できるだけでなく、施設の雰囲気や他の利用者、職員の対応も観察できます。
特に昼食時間における食事介助や介護職員の対応をチェックすることで、サービスの質を判断しやすくなります。
ショートステイ利用時の注意点
・予約が取りにくいケースもある
ショートステイ施設の予約は取りにくいことがあるため、スケジュールが決まったら早めにケアマネジャーに伝えることが重要です。
特に特定の施設を利用したい場合は、数カ月前から準備を進めることで、確実に利用できる可能性が高まります。
・利用日数の制限に注意
ショートステイの利用には日数制限があり、介護保険を利用する場合は連続で30日まで利用可能です。
31日目以降の利用を希望する場合は、全額自己負担となるため注意が必要です。また、要介護度や他の介護サービスの利用状況によっても、利用可能期間が制限されることもあります。
・すべての持ち物への記名、薬は1回ごとに袋に入れて情報を明記する
ショートステイでは他の入居者がいる施設に数泊することになるため、利用時には着替えなどの私物を持ち込む必要があります。
施設内で使用する持ち物には記名が求められることもあるので、あらかじめ持ち物には名前を書いておく、持参するものをまとめておくなどをしておきましょう。
また、服薬の必要がある場合は事前に伝えておくことが重要です。
面識のない看護師やヘルパーが服薬の介助を行う際に、誰が見ても分かるように情報を明記しておきましょう。
おわりに
介護保険制度を利用したショートステイは非常に人気があり、1~2カ月先まで予約が埋まっていることが多くあります。ですので連休や年末年始などの繁忙期には希望通りの利用が難しくなるため、混雑を避けて早めに予約をすることが重要です。
有料老人ホームが提供する有料ショートステイは料金こそ高めですが、緊急時のニーズや一時的な利用に柔軟に対応している施設も多くあります。
ショートステイを利用する際は期間や緊急度合に応じて適切なサービスを選ぶことが大切になりますので、まずはケアマネジャーに相談し、施設の見学を行うことから始めてみるのも良い方法となります。
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過去の記事をまとめております。よろしければご参照ください。
参考リンク
厚生労働省
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group12.html
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000650020.pdf
公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット