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【介護サービスが必要になったら】介護の基礎知識(8)~サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?~

はじめに

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して生活できるように設計されたバリアフリーの賃貸住宅です。

安否確認や生活支援サービスが提供されており、高齢者の単身世帯や夫婦世帯が居住可能です。

近年、こうした住宅の数は増加傾向にあり、各施設によって費用や特徴、入居条件が異なります。

本記事では、サービス付き高齢者向け住宅の特徴や入居条件などについて解説いたします。

→前回の記事はこちらからどうぞ

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)とは、バリアフリーが完備された高齢者の住まいで、入居者が安心して生活できるように安否確認や生活相談などのサービスが提供されています。

サ高住は自立した生活はできるけれど、一人暮らしに不安を感じる介護度の低い方が主な入居対象で、必要に応じて外出の付き添いや食事の提供などのオプションサービスを利用できます。

また、現在は介護が不要でも、必要になったら外部サービスを利用することができるため、将来的に介護が必要になることがあった場合にとても適しています。さらに生活の自由度が高いこともサ高住の大きな特徴です。

サ高住の種類

サ高住には「一般型」「介護型」の2種類があり、提供されるサービスが異なります。

一般型は基本的に自立〜介護度の低い方を対象としているため、介護が必要になった時は外部の介護サービスを利用します。

一方、介護型は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、有料老人ホームと同様のサービスを提供しています。具体的には、食事、入浴、排泄などの介助が含まれます。

サ高住の入居条件

サ高住では「高齢者住まい法」という法律によって入居条件が定められています。

入居対象は、60歳以上の高齢者または60歳未満で要介護認定を受けた方です。ただし、具体的な入居基準は施設ごとに異なり、「自立した生活を送れること」「認知症ではない」などさまざまです。

特に一般型の施設では、介護や医療ケアの体制が大きく異なるため、入居前にしっかりと確認することが重要です。

一方、介護型の施設では、寝たきりや認知症の方を受け入れる体制が整っている所もあるため、必要なサポートを受けやすい環境が整っています。

同居できる人の条件には、配偶者(正式に届出をしていないが事実上の夫婦関係にある人も含まれます)や60歳以上の親族や、要支援・要介護認定を受けている親族も対象です。さらに、特別な理由があり、知事が同居を認める人も含まれます。

入居時には、ほとんどの施設で連帯保証人や身元引受人が必要です。

もし連帯保証人がいない場合は、後見人を立てるか、高齢者住宅財団の家賃債務保証制度を利用することができます。

サ高住の費用

入居にかかる大まかな費用は次の通りです。

・ 初期費用(敷金・礼金など)0~数十万円

・ 月額費用(家賃・光熱費など)10万~30万円

サ高住は一般的に賃貸住宅として契約されるため、初期費用として敷金が必要です。

敷金は一般的な賃貸住宅と同様に、退去時の修繕や掃除にかかる費用をカバーするためのもので、

通常は賃料の1〜3カ月分が設定されています。修繕費に使われた後、残った金額は返金されます。

介護型では、初期費用として入居一時金が必要で介護サービスを受けられる介護型は一般型よりも費用が高くなる傾向があります。

また、一般型では、外部の介護サービスを利用するため、介護保険料は自宅での訪問介護やデイサービスを利用した際と同様に、実際に利用した分だけ費用を支払います。

サ高住で受けられるサービス

安否確認・見守りサービス

スタッフによる定期的な居室訪問が行われるサービスで、時間や頻度は各施設によって異なります。

また、スタッフが不在の夜間には、緊急通報システムを利用して対応する仕組みが整っています。

生活相談サービス

常駐スタッフに生活の困りごとを相談できるサービスがあり、介護福祉士や看護師など、ケアに関する専門家が適切なサポートをしてくれます。

オプションで受けられるサービス

  • ・緊急時対応サービス:緊急時対応サービスは、施設職員による緊急時の駆けつけ対応を受けられ、
  •            体調不良時の主治医・連携する医療機関への往診依頼、救急車要請、
  •            急病時の対応、家族への連絡なども行われます。
  • ・生活支援サービス:食事の提供、掃除、洗濯、通院の付き添い、買い物代行など
  • ・食事提供サービス:施設内の調理室で作られた食事や宅配弁当など
  • ・身体介護サービス:入浴介助、食事介助、排泄介助など
  • ・リハビリ、医療サービス:身体の機能を維持・回復などのリハビリ、在宅酸素療法、たん吸引
  •             (施設に併設されている医療機関、もしくは提携医療機関の訪問診療や
  •              訪問看護でサービスを受けられます)
  • ・レクリエーション:内容は施設により異なる(主に介護型で提供)
  • ・看取り:サ高住の中には看取りの体制が整っている施設もあります。

※すべてのサ高住で提供されているわけではないので、事前に確認してみてください。

サ高住のメリット・デメリット

サ高住の介護型であれば要介護度が重い方でも受け入れ可能ですが、施設の数が少なく、入居の難易度が高いという現状があります。

サ高住と有料老人ホームの違い

サ高住とよく比較される類似の介護施設として「有料老人ホーム」があります。どのように違うのか見ていきましょう。

有料老人ホームには、大きく分けて次の3種類があります。

・介護付き有料老人ホーム

・住宅型有料老人ホーム

・健康型有料老人ホーム

これらとの違いについて説明します。

1.サービス内容の違い

サ高住では生活相談や安否確認のサービスを受けられます。

一方、介護付き有料老人ホームでは、介護サービス、食事、健康管理、レクリエーション、リハビリなどが提供されます。

住宅型有料老人ホームは、要介護度が低い高齢者向けで、必要なサービスは外部事業者と契約して利用します。

健康型有料老人ホームでは、食事や生活支援が提供され、外部の介護・医療サービスも利用可能です。レクリエーションや設備が充実していることが特徴です。

2.契約形態の違い

サ高住では見守り・生活相談サービスなどを利用できますが、契約形態はアパートやマンションを借りる際と同じ「賃貸契約」となります。

一方、介護付き有料老人ホームでは 利用権方式の契約が一般的です。これは、入居時に一時金を払って、住居や共用スペースを利用する権利と介護や生活支援サービスを受ける権利を得ることのできる契約です。

3.退去要件

サ高住では介護度が重くなると退去となる施設が多数ありますが、介護付き有料老人ホームは介護度が重くなっても住み続けられます。

4.生活の自由度

サ高住ではキッチンや入浴スペースが共有になる場合がありますが、基本的に自由に生活でき、外泊や外出も自由です。

一方、介護付き有料老人ホームでは外泊や外出は許可制で、自由にできない場合があります。

住宅型や健康型有料老人ホームでは、職員に声をかけることで外出できることが多いです。

5.費用

サ高住は有料老人ホームに比べて初期費用や月額費用が安い傾向があります。これは、サ高住が主に安否確認や生活相談といったサービスのみがメインのため、介護サービスは含まれていないことが多いからです。

一方、有料老人ホームは多様なサービスや設備が整っているため、費用が高くなる傾向にあります。

入居前に知っておきたいことは?

退去について

以下の理由でサ高住の退去を要求されることがあります。

  • ・月々の賃貸料が支払えなくなる場合
  • ・体調の悪化や要介護度の進行により、入居し続けることが難しくなる
  • ・他の入居者や職員、施設側に迷惑をかける行為が発生した場合

サ高住では退去を求められる条件が明確に定められています。入居時には契約内容をしっかりと確認することが大切です。

退去後の行先は?

退去後の行先は、退去理由によって異なります。

サ高住からの退去者の多くは医療機関、介護保険施設、有料老人ホームや他の施設、自宅や家族・親族と同居などの住み替えを検討するケースが多いです。

交通は便利かどうか

外出が多い方にとって、駅からの距離は重要なポイントです。

駅に近い施設は便利ですが、駅から遠い場合はシャトルバスの有無を確認しておくと安心です。シャトルバスがない場合でも、近くにバス停があるかどうかをチェックすることで、交通の便を確保することができます。

ショートステイや体験入居は可能?

サ高住の中には介護保険制度上のショートステイを併設していて、介護保険適用で利用できる施設もありますが、実際にはほとんどありません。

ですが全額自費で短期間利用できる施設があります。料金は施設によって異なりますが、一般的には一泊5000円から10000円程度となっています。見学しただけでは分からないような、ほかの入居者やスタッフの様子、施設の雰囲気などを細かくチェックできます。

ペットと暮らせる?

最近はペットと一緒に入居できるサ高住が増加しています。

賃貸形式ですので入居者が自分のペットの世話をすることが基本ですが、体調不良などの際にペットの世話を代わりにしてもらえるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。また、ペットが亡くなった場合、通常は家族や保証人が引き取ることになりますが、契約前にその点も確認しておくと安心です。

認知症でも入居はできる?

認知症の症状が見られる場合、介護型サ高住や介護付き有料老人ホームなどの認知症の受け入れ体制がしっかり整っている施設を検討しましょう。

介護型サ高住であれば、認知症の方を受け入れている場合があり、寝たきりの認知症重度の方でも対応している施設もあります。介護型は特定施設入居生活介護の対象施設のため、24時間体制で職員がいます。

おわりに

サ高住は他の介護施設よりも自由度が高く、本人の自立を尊重する施設です。有料老人ホームを選ぶ前にサ高住を検討する方も多いですが、介護サービスの提供が十分でない場合や、夜間に職員がいないことに不安を感じる方もいます。そういった場合は自宅に近い環境のサ高住を選ぶか、身体の変化に備えた安心できる介護施設を選ぶかじっくりと検討しましょう。また、サ高住を選ぶ際、一般型と介護型の入居条件やサービス内容もよくチェックしてみてください。

トピックス【介護サービスが必要になったら】記事のご案内

過去の記事をまとめております。よろしければご参照ください。

介護保険の基礎知識①~⑩

介護の基礎知識(1)~

参考リンク

厚生労働省

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_sumai

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038010_1.pdf

公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット

https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/shisetsu-service/service-house.html