【介護サービスが必要になったら】介護の基礎知識(2)~デイサービスと利用の流れについて~
はじめに
デイサービスは自宅から通いながら介護支援を受けることができ、利用者やその家族の生活を支援する介護サービスの一つです。
利用には要介護認定の申請やケアマネジャーとの契約など、様々な準備が必要になります。
本記事では、デイサービスで行われる提供サービスの内容と利用の流れや料金について解説いたします。
デイサービスとは?
デイサービスは「通所介護事業所」としても呼ばれ、自宅から通って介護サービスを受けられる施設です。
デイサービスは利用者ができるだけ自宅で自立した生活を続けられるよう支援することを目的とし、特に自宅に閉じこもりがちな利用者の孤立を防ぎ、心身の機能を保つことや家族の介護負担を軽減することを目指しています。
デイサービスを利用するためには、介護保険の要介護認定を受ける必要があります。
認定を受けると、市区町村から介護保険被保険者証(保険証)が発行され、利用時の自己負担は1〜3割負担となります。
また、自宅から施設までの送迎サービスがあるため、自分で通うのが難しい方でも利用できます。
このサービスは地域密着型を基本としているため、施設によって送迎が可能な範囲が異なります。
利用したくても送迎対象外の場合があるため、施設を探す際には送迎範囲を必ず確認してください。
デイサービスでの主な提供サービス
機能訓練
機能訓練は日常生活動作の改善や身体機能の維持を目的としています。
デイサービスでの機能訓練には以下のようなものがあり、施設では集団での活動が一般的ですが、
一部の施設では個別の機能訓練も行われています。
・歩行訓練
・関節可動域訓練
・誤嚥を予防する口の体操など
食事
デイサービスでは午前中から夕方までの滞在中に、お昼ご飯やおやつが提供されることが一般的です。
基本的にバランスの取れた食事ができるため、食事もメリットの1つになります。
入浴
デイサービスでは介護職員による入浴介助が提供されており、自宅での入浴が難しい場合や家族の負担軽減にも役立ちます。
定期的な入浴は、身体の清潔保持や精神面でも良い効果が期待できます。
介護職員は利用者自身ができることは自力で入浴ができるようにサポートしますが、施設には特殊浴という入浴専用の設備もあるため、全介助が必要な寝たきりの利用者でも安全に利用できます。
レクリエーション
デイサービスでは余暇を楽しむことや身体を動かすことを目的としたレクリエーション活動が行われています。
塗り絵、折り紙、脳トレ、お手玉、演劇、カラオケなど種類はさまざま。
ただ単に楽しむだけでなく、機能訓練を兼ねている場合もあり、デイサービスでのレクリエーションは、高齢者や身体に障害のある方でも安全に参加しやすいよう工夫して行われます。
デイサービスの種類
デイサービスにはさまざまな種類があり、主に以下の3つに分けられます。
①認知症対応型デイサービス
②リハビリ特化型デイサービス
③お泊まりデイサービス
①認知症対応型デイサービス
認知症対応型デイサービスは、認知症の診断を受けた要介護1以上の方を対象にした専門的なデイサービスです。
通常のデイサービスと同様の目的でサービスを提供しますが、介護職員の認知症に対する理解が深く、認知症対応の知識を持ったスタッフが支援を行います。
また、他の施設に比べて人員体制が手厚くなっており、進行を遅らせたり、症状を緩和する機能訓練も行われます。
②リハビリ特化型デイサービス
理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門スタッフから機能訓練指導を受けられる点が大きな特徴です。
一方で、食事や入浴などの生活支援サービスがない場合があるため、利用前には確認が必要です。
おもに介護保険を利用して集中したリハビリを希望する方の利用が多いため、日常生活の支援が必要な方には通常のデイサービスの方が向いているかもしれません。
また、短時間の利用が多いため、長時間の滞在が苦手な方にも適しています。
③お泊まりデイサービス
お泊まりデイサービスは、デイサービス利用後にそのまま施設に宿泊できるサービスです。
料金は保険適用外となり、一泊平均3,000円~5,000円。
事業所によって料金に多少のばらつきがありますが、急な外出や家族の休息時の利用にお勧めです。
料金は比較的安いですが、介護保険適用外のため全額自己負担となり、その他に、その日の夕食代と翌日の朝食代が加算されます。
また、使用したおむつや生活用品など、日常生活費も必要です。
デイサービスの利用条件
さまざまな種類があるデイサービスは利用条件も施設によって異なりますが、主に次のような利用条件を設けています。
介護度:要介護1以上の方(※施設によっては要支援の方もサービスの利用が可能です)
医療行為:基本的に医療行為は行えません
送迎エリア:ご自宅が施設の送迎範囲内かどうか
デイサービスは自治体による介護認定を受けた要介護1〜5の人が対象です。
ただし、施設によっては要支援の方も利用できる場合があります。
また、要介護のみを受け入れる施設も存在しますので、具体的なサービス内容についてはケアマネジャーや施設に直接問い合わせてみてください。
デイサービス利用の流れ
デイサービスを利用するためのおおまかな手順は以下のとおりです。
①要介護認定の申請
要介護認定の申請は住民登録のある市町村の役所や地域包括支援センターで行います。
申請には新規申請と更新申請があり、後日、市区町村の担当者が訪問して聞き取り調査を行います。
また、主治医からの意見書も必要です。
②要介護認定
一次判定が行われた後、その結果をもとに介護認定審査会で二次判定が行われ、最終的な要介護度が決定されます。
通常、申請から要介護認定の通知までには30日以内が目安となります。
③ケアプランの作成
介護度が決まると、ケアマネジャーと契約を結びます。
ケアマネジャーは利用者に合ったケアプランという介護サービスの計画書を作成します。
具体的には、デイサービスを週2回、訪問介護を週1回など、利用者のニーズに応じたサービスプランを作成します。
④施設の選択
介護サービスを選ぶ際は、ケアプランに基づいて施設を選びます。
ケアマネジャーのアドバイスを受けたり、興味のある施設を見学するなど、通いたいデイサービスを慎重に選びましょう。
希望するデイサービス施設が決まったら、ケアマネジャーを通じて施設との契約をし、サービスを利用できるようになります。
デイサービスの利用料金
デイサービスの費用は利用するサービスや時間、施設の規模によって変わります。
1回あたりの費用は自己負担1割の場合おおよそ1,000円~2,000円程度が目安です。
※2024年5月時点
利用料はデイサービスでの滞在、送迎、レクリエーションなどに対して請求される金額のことで、
介護度や利用時間、地域によっても金額が変わります。
特定のサービスに対してはサービス加算があり、入浴介助や個別機能訓練などが該当しますが、こちらも施設によって異なります。
介護保険が適用されない費用には、昼食やおやつなどの食費、おむつ代などの日用品が含まれます。おむつ代は実費で請求されますが、自宅から持ち込む場合は費用がかかりません。
滞在時間とサービス利用料の目安(自己負担1割の場合)
※2024年5月時点・通常規模通所介護の場合の料金になります
介護保険は医療保険と同様に、費用が「単位」に基づいて決まります。
これらの単位は地域ごとに異なる単価が設定されており、各地域は1級地から7級地、またはその他のカテゴリーに分類されています。
地域ごとの1単位当たりの単価については「介護保険の基礎知識⑦~介護保険サービスの地域区分と介護報酬について~」をご参照下さい。
デイサービスの利用料は必要な単位数と地域ごとの単価を基に計算され、具体的には下記のように計算します。
「利用に必要な単位」×「地域ごとの単価」×「自己負担割合1~3割(通常は1割、所得が多い場合は2割または3割)」=自己負担金額
デイサービスを選ぶときのポイント
デイサービスを選ぶ際には、以下のようなポイントを確認しましょう。
・サービスの内容や提供されるプログラムが自分のニーズに合っているか
・施設の立地やアクセスの良さ
・スタッフの対応や専門性、利用者の評判
・送迎の時間が自分の生活スタイルに合っているか
・利用者にあった食事に対応してくれるか、など
おわりに
デイサービスは主に要介護状態にある高齢者が利用できる介護サービスで、デイサービスに通うことで人との交流やレクリエーション楽しんだり、身体機能の維持や症状を緩和させるための機能訓練などを受けることができます。
さまざまな施設があるため、利用先を選ぶ際には迷うこともあるかもしれません。
もし不安がある場合は自己判断をせずに、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することをお勧めします。
トピックス【介護サービスが必要になったら】記事のご案内
過去の記事をテーマ別にまとめてございます。よろしければご参照ください。
参考リンク
厚生労働省
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001119141.pdf
公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/day-service.html