【介護サービスが必要になったら】介護の基礎知識(5)~デイサービスとデイケアの違いとは?~
はじめに
デイサービスとデイケアはどちらも通所介護サービスであり、名称が似ているために混同されがちですが、大きな違いは「医師が常駐しているか否か」です。また、施設の目的や人員体制、提供されるサービス内容も大きく異なります。
本記事ではデイサービスとデイケアの違いや選び方をご紹介いたします。
目的の違い
デイサービスとデイケアはサービスを利用する目的が大きく違います。
デイサービス(通所介護)
日常生活支援を受けながら交流やレクリエーションを楽しむ施設
デイケア(通所リハビリテーション)
身体機能や認知機能の回復のために、医者の指示のもと専門的なリハビリを受けることができる施設
デイサービスでも日常生活に必要な身体機能の回復や維持を目的とした機能訓練が行われますが、
デイケアには医師が常駐しているのに対し、デイサービスには医師がいないため、提供されるサービスの内容や体制に違いがあります。
人員配置の違い
デイサービスとデイケアでは目的やサービスが違うことから、配置されている人員も異なります。
サービス内容の違い
デイサービスとデイケアのサービスでは、以下のような違いがあります。
デイサービスでは食事や入浴、食事、排泄、レクリエーションなどの日常生活の介護サービスの提供と機能訓練も行われますが、医師が在籍していないために医療的ケアが不十分な可能性があります。
一方、デイケアでは医師による診察や健康管理、専門的なリハビリが行われているため医療的ケアが必要な方に適しており、特に退院直後や慢性疾患の経過観察が必要な方に向いています。
また、通う場所も病院などの医療機関や、主にリハビリや医療ケアを必要とする方が入居できる施設「介護老人保健施設」などになります。
費用の違い
デイサービスとデイケアの費用の違いについては、デイケアの方が一般的に少し高いということです。
正確な料金は一日あたりの滞在時間や自己負担割合によって異なるため、個々の状況に応じて変動しますが、デイケアはデイサービスよりも1回あたり100~300円程度高い設定が多く、場合によってはそれ以上の差が見られることもあります。
デイケアの方が高いのは、医師やリハビリの専門家などの配置があることや、専門的なリハビリ内容が提供されるためです。
費用の例:利用者負担1割/1回につき(6時間以上7時間未満)
※2024年6月時点
デイサービスとデイケアのメリット・デメリット
デイサービスとデイケア、それぞれのメリット・デメリットについて以下の表にまとめてみました。
デイサービスのメリット・デメリット
デイサービスは医療的ケアが必要な方には利用が難しいですが、施設数が多く選択肢が豊富です。
医師の指示書が必要なデイケアに比べ、デイサービスは空きがあれば迅速に利用できる点が魅力です。また、デイサービスとデイケアでは施設数や空き状況に大きな違いがあるため、事前に問い合わせることをお勧めします。
デイケアのメリット・デメリット
デイケアはデイサービスに比べて施設数が少ないですが、医師が常駐しているため、医療的なケアが受けられるのが特徴です。
また、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職による効果的なリハビリが受けられる点も大きな魅力です。
さらに、デイサービスと併用することで、より多くの活動機会をつくることも可能になります。
デイサービスとデイケアの選び方
デイケアはリハビリを中心としたサービスを提供する施設であることが分かりましたが、食事や入浴のサービス、機能訓練なども提供されるため、デイサービスと似た印象をお持ちになるかもしれません。
利用を検討する際に、どちらを選ぶべきか迷うことがあるかもしれませんので、事前にそれぞれのサービスの特徴や目的をよく理解しておきましょう。
デイサービスがおすすめな方
・加齢による体力低下や身体機能の低下がみられる方
・他者との交流を望む方、家にこもりがちの方
・認知症のある方
・介護者の休息をとるために利用する(レスパイトケア)
デイサービスは日常生活の支援・介護サービスを受けたい人にお勧めです。
また、利用者が同じ場所で活動するため、他者との交流を楽しむことができる環境となっています。
※レスパイトケアとは?・・・在宅で介護や育児など、家族のケアを行っている方が休息を取れるように支援するサービスの事です。レスパイト(respite)とは英語で「休息・息抜き」を意味し、レスパイトケアを利用することで介護疲れや共倒れを防ぎ、介護する側もされる側にとっても、両者の負担を軽減するメリットがあります。
デイケアがおすすめな方
・医療職による専門的なリハビリを受けたい方
・脳血管疾患の後遺症や神経難病、呼吸器の病気がある方
・骨折・変形性関節症などで病院に通っている方
・入院により低下した体力の回復を望まれている方
退院後の自宅での生活に不安を感じている方や、骨折や関節症などでリハビリが必要とされる方にはデイケアが適しています。
デイケアはデイサービスと同時利用ができるため、デイケアではリハビリに集中し、デイサービスでは他者との交流を楽しむこともできます。
デイサービスとデイケアの選びのポイント
「要介護1~5」であればデイサービスとデイケアの併用が可能
デイケアとデイサービスはいつでも移行が可能で、デイケアではリハビリを行い、生活動作が自立した後に近くのデイサービスに移る方もいます。
介護保険を適用するには、要介護1~5の認定が必要です。
要支援1・2の方は介護保険を利用する際、デイサービスは利用できず、基本的にはデイケアのみの利用となります。
しかし、全額自己負担であればデイサービス施設を利用することができ、また介護予防サービスのデイサービスも利用可能です。両方のサービスを利用したい場合は、ケアマネジャーに相談することをお勧めします。
ケアマネジャーに悩みや希望などについて相談する
サービス利用を検討する際は、まずケアマネジャーに相談しましょう。
入院中の場合は、病院のソーシャルワーカーからデイケアの利用を提案されることもあります。
相談の際には、本人や家族が抱えている困りごとだけでなく、サービスを利用して達成したい目標についても話し合うことが重要です。
目標を明確にすることで本人の意欲が高まり、より効果が得られやすいです。
施設見学
実際に施設を訪れることで環境や設備、特徴や強み、スタッフの雰囲気などを直接感じることができ、文章や言葉では伝わりにくいその場の雰囲気を体感することができるのが大きなメリットです。
見学は一カ所だけでなく、他の施設と比較することで、より良い選択ができるため、複数の施設を訪れるのが良いでしょう。
見学時には、自分や家族の希望や想いをスタッフに伝えると施設の雰囲気や自身との相性を確認しやすくなります。
おわりに
デイサービスとデイケアは身体状態や利用目的によって異なる施設です。
どちらが適しているか分からない場合はケアマネージャーに相談しましょう。
両施設の違いを知っておくと、家族やご本人が利用を検討する際の最適解を導きやすく、また経済的な負担を軽減することも可能になります。家族やケアマネジャーとよく相談しながら、最適な施設を選びましょう。
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参考リンク
厚生労働省
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group8.html
公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/day-service.html