【介護サービスが必要になったら】介護の豆知識その⑦~高齢者が熱中症になりやすい理由とは?対処法や配慮事項について~

はじめに
夏が近づくにつれ、近年では高齢者の熱中症に関するニュースをよく目にするようになりました。
熱中症は身近な病気ですが、身体の調整機能が低下している高齢者は特に熱中症になりやすく、重症化する可能性があるため注意が必要です。
熱中症を未然に防ぐためには、その原因や対策を理解しておくこと、そして万が一熱中症になった場合の対処方法を知っておくことが大切です。
本記事では高齢者が熱中症になりやすい理由、症状と効果的な対策や対処法などについて解説いたします。
高齢者の熱中症が重症化しやすい理由とは?
熱中症は高温の環境に長時間いることによって体温調節機能が正常に働かなくなり、体内に熱が蓄積される状態を指します。
人間の体は外部の熱にさらされると皮膚の温度センサーが反応し、脳の視床下部に信号を送ります。
この信号により、脳は体温を下げるために発汗を促したり、体表面の血管を拡張させたりします。
その結果、皮膚の血流が増えて血液が集まるため、熱中症患者の顔や肌が赤くなる現象が見られます。
厚生労働省によると高齢者が熱中症になりやすいとされているのには以下のような特徴があります。
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
・体温調節機能の低下、鈍化
高齢者は加齢により、熱を感じるセンサーが鈍化してしまい、気温が上昇して体内に熱がこもってしまっても、それを認識できないということが多く見受けられます。
このため、熱中症の症状を自覚しにくく、体温を下げるための発汗機能や血管の拡張が十分に働かない状態になったり、加齢によって汗腺の数が減少しているために体温の調節機能が低下し、熱中症が重症化するリスクが高い傾向にあります。
・体内の水分量の低下
高齢者は若年者に比べて体格が小さく、加齢によって体内の水分量が減少してしまうために熱中症のリスクが高まり、特に熱中症にかかった際には汗をかくことで体内の水分がさらに減少し、脱水状態に陥りやすくなります。
通常、脱水状態になると喉の渇きを感じて水分を摂取しますが、高齢者はこの感覚が鈍く、脱水が進行しやすい傾向があります。
・認知機能や判断力の低下
加齢により認知機能が低下している高齢者は、熱中症になっていることに気付かなかったり、自身の体温や周囲の温度の上昇に気づかず、適切な対策を講じることができない場合があります。そのため熱中症とみられる際には、すでに重症化しているケースが多くあります。
高齢者の熱中症対策
室内温度を適切に保つこと
高齢者の熱中症を防ぐためには室内温度の適切な管理が重要ですので、エアコンを使用して室温を28℃以下に保つようにしましょう。
しかし、真夏に冷房を使用することに抵抗を示す方もいます。冷房を嫌がる高齢者に対しては除湿器や扇風機を活用したり、窓を開けて空気を入れ替えるなど、とにかく室内の体感温度を下げる工夫をしましょう。
こまめな水分補給を行うこと
高齢者は喉の渇きを感じにくく、水分補給を怠ることが多いため、定期的に水分を摂取する習慣を身につけることが重要です。
高齢者は一度に摂取できる水分量が限られているため、少量ずつ、短い間隔での水分補給が理想です。カフェインを含む飲料は体内の水分が排出されやすいため、水やスポーツ飲料を選びましょう。
周囲が配慮してあげること
高齢者が熱中症を予防するには、周囲の配慮が大変重要です。
家族や介護者は高齢者の体調を定期的に確認し、異常が見られた場合には迅速な対策・対応を心がけましょう。
高齢者は自分で暑さやのどの渇きに気づきにくいうえ、体調が変化しても我慢してしまうことがありますので、周りの方が体調をこまめに気にかけ、予防対策を促してあげましょう。
さらに、冷房の適切な設定や水分補給の促進など、快適な環境づくりのサポートも大切です。
地域やコミュニティにおいては、高齢者への声かけや見守り活動を強化し、孤立を防ぐことが熱中症予防につながります。
高齢者が熱中症になった場合の症状と対処法
熱中症の症状と症状ごとの対処方法について解説いたします。
軽症の見分け方と対処方法
熱中症は初期症状として、めまい、立ちくらみ、筋肉痛が挙げられます。
これらの症状が現れた際には、まず日陰や涼しい室内に避難し、水分補給を行うことが重要です。
軽症であれば、この対処法で症状が改善される可能性があります。
中等症と対処方法
中等症の熱中症においては、頭痛、嘔吐、呼吸困難といった症状が現れることがあります。
これらの症状がある場合、意識があっても非常に危険な状態です。
まずは日陰や涼しい室内に避難し、こまめに水分を補給することはもちろん、状況によっては病院への搬送を考慮する必要があります。
重症(意識がない)の場合の対処方法
意識障害が見られる場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
できるだけ早く救急車を呼び、すぐに日陰や涼しい室内に避難するようにしてください。
呼吸困難、痙攣、せん妄といった重篤な症状がある場合にも、ためらわずに救急車を要請する必要があります。
おわりに
高齢者は加齢によって体温調節機能が低下しているため、熱中症にかかりやすい特性があります。
真夏に軽くボーっとした感覚を感じるだけでも、重症の熱中症の兆候である可能性があり、また急激な気温の変化も熱中症のリスクを高める要因となります。
これらのリスクを軽減するためには、室内の温度管理と定期的な水分補給が重要となります。
さらに夏の時期は通気性の良い服装を選ぶことや、涼しく快適な環境で過ごせるように、周囲の方々からの配慮も大切になります。
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参考リンク
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pamph.html