メゾン・シンビーオ(在宅就労の豆知識部屋)

◇ポツンとA君ボッチ3/3◇
2024年04月18日(木) |

e3です!今回で最後です。本文下のイラストのように読み疲れて疲労困憊と思います。最後までこれたのは、あなたの優しさです。感謝いたします!・・・ではどうぞ・・・(前回はこちらから)

8.泣いた赤鬼ごっこ

秋の気配が感じはじめたある日。突然、両親がA君を迎えに来た。両親にあえて嬉しい反面、友達のみんなとのお別れを考えると、複雑な気持ちになった。その日のうちに両親は隣県の親せきの家にも挨拶に行くので、2日後に迎えに来ると言って、タクシーで去っていった。A君はそのことをみんなに言いたくなかったが、広場で遊んでいたT君とツネオ君に勇気を出して伝えた。二人の顔はみるみる曇って笑顔が消え、そのあとT君はみんなを集めてそのことを伝えた。みんな「エ~」と驚いたあと、ひそひそ相談をはじめた。

A君は、仲間はずれが嫌だったので、輪の中に入ろうとしたが、女子とツネオ君に阻まれた。それをごまかすように、かくれんぼが始まった。T君が鬼だったが、いつもの元気はないようにA君は感じた。「もういいか!」とT君は「もういいかい」ではなく少しおごっているようだった。声も少し震えていた。A君は不思議に思いながら鬼になるまいと隠れた。しばらくするとあちこちから、隠れている子達の鼻をすする音がぽつぽつと聞こえた。鬼のT君にすぐに居場所がばれて、かくれんぼはすぐ終わった。T君もみんなも泣いた後で顔が赤くなって泣いた。「泣いた赤鬼ごっこ?新しい遊び」と1人の女子が言ってみんな笑った。

そして火の用心の時間になった。T君は用事があるとみんなに言い、A君とツネオ君とT君の代わりの女子でA君の家の近くを担当の地区を回った。A君の家の前を通るとおばあちゃんとおばさんが窓から手を振ってA君たち火の用心の子供を見送っていた。A君は少し恥ずかしかったがまだ途中なので大きい声で「火の用心、マッチ1本・・・」と照れ隠しをした。

9.鉄砲屋台

次の日は朝から雨だった、ツネオ君の家でツネオ君のお兄さんのレコードを聴いた。はじめはよくわからいクラシックだったが、童謡もあって聞いたことがある曲も少しあった。次は、木の枝をタコ糸で縛り鉄砲を作り、輪ゴムを飛ばして、標的を落とす、お祭りの鉄砲屋台のような遊びをした。ツネオ君は、一緒にゴム鉄砲を作って、A君が飽きないように一生懸命面倒を見てくれた。A君は、ツネオ君もT君と同じで兄のように優しいと初めて思った。

途中からT君も合流して雑貨屋(お菓子屋兼務)の友達の家に行った。友達の部屋は女子の友達もいてアイスや賞味期限近い駄菓子の在庫一掃、食べ放題のA君の送別会になった。鉄砲屋のように、台の上にお菓子を景品のように置いて落とした人が食べれるゲームになった。みんな真剣に鉄砲を作り、お菓子を狙った。楽しすぎて、みんな時間を忘れて楽しんだ。(後々、A君は都会に戻り。縁日で鉄砲屋台を見て驚くことになる。)おいしい1日はあっという間にが終わった。

10.泣き笑い広場

A君は朝から帰る支度で荷物をまとめていた。昼ごはんの後の昼寝タイムにT君とツネオ君がA君を遊びに連れ出した。本当は公民館で送別会をする予定だったが、みんな悲しくて泣いてしまう子もいるので、いつもの広場でいつも通りに遊ぼうということになったらしい。思いっきり遊んでいるつもりでも、年少の子や女子、最後の方はツネオ君やT君まで泣きながらだるまさんが転んだをして遊んだ。

泣いたら負けのルールに変えたら、不思議に泣いている子を見て笑ってしまい、泣き笑いしながら遊ぶ、収拾のつかないカオスの中で不思議な遊びになった。最後は、泣いたら負けルールは役に立たないので、広場の中心にある、お堂の周りを鬼ごっこで、ただ騒ぎながら走り回っていた。年少・女子はお堂の下に隠れて休めるルールがあるが、A君・T君・ツネオ君たち一般以上の男子は逃げるしかなく、心臓の鼓動が大きくなり耳がキーンとなるぐらい走った。

11.泣き笑いのサヨナラ

16時過ぎにA君の両親がA君を広場まで荷物をたくさん積んだタクシーで迎えに来た。A君は「ありがとう」「本当に楽しかった」と頑張って言うのが精いっぱいだ。涙をこぼさないように我慢してタクシーに乗ったが、シートに座った途端、涙が頬をコロコロ転がった。みんなタクシーを囲んでうなだれていた。

A君のお母さんが「電車の時間があるので行くね、みんな本当にありがとう」といってツネオ君をT君と間違えて「みんなで帰りにアイスを食べてね」と言ってお金を渡すとツネオ君が「ヤッター」と喜んで叫び、みんな泣き笑い状態になった。タクシーがクラクション2回を鳴らして動きだすとみんなが後から走って追ってきた。A君は窓から体を乗り出して、みんなが見えなくなるまで「バイバーイ」と叫びながら手を振った。

みなさん、お疲れさまでした。最後の最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。これであなたが最高に優しい人だと勝手ながら、証明させて頂きます。また、支援担当様はじめ、関連の皆様、最後までご協力ありがとうございました。

・・・ ポツンとA君ボッチ おしまい ・・・

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