コラム一覧

★コラムVol.10~仕事内容でのトラブル事例 February 10, 2020

【仕事内容でのトラブル事例】

障害者雇用の際、雇用後のトラブルを避けるために採用時にチェックしておきたいポイントがあります。

  • 仕事の能力と経験

雇用は仕事をしてもらい、その仕事に対して報酬を支払うものです。

「どんな仕事ならできるのか」 まずはこれが重要なポイントとなります。

  • どのような障害を持っているのか

障害者雇用なので、程度の差はありますが当然何らかの障害をもっています。

中には、自分の障害を理解していない方も多くいます。

「どのような障害があり、その障害をもちながら仕事をしてもらうための配慮を会社として行うことができるのか」

こちらも重要なポイントとなります。

この2つのポイントを考えて、採用・配置を行うことが大切なのです。

現実には、この2つのポイントを理解せずに採用・配置し

てしまったために多くの問題が出てきてしまうことがあります。

・スキルが足りない、出来ると言ったことができない

障害者本人が自分の障害について正しく認識していない場合などに起こりがちのトラブルです。

・前に出来たことが出来なくなる

障害の状態は、時間の経過と共に変化します。改善することもあれば、残念ながら悪化してしまうこともあります。悪化してしまうと、入社時は問題なくできていたことが難しくなってしまいます。このようなケースは決して珍しいことではありません。

視覚障害者のケースをご紹介します。

前職は倉庫でのダンボール組立

てなどの作業系業務をしていた男性が、パソコン使用の業務へと転職しました。その男性の障害は視野狭窄(視野が狭い)で、弱視(視力が弱い)傾向でした。

ですが、パソコンは多少使用できるという事だったので、採用に関するメール等の業務に配属し、一般的なPC画面では見にくいという彼の為に助成金を活用して拡大読書器を購入。問題なく業務を行っていました。

ところが1年を経過した頃に急に退職を申し出てきたのです。

理由は、視力・視野ともに悪化して業務を続けるのが難しくなってきたということでした。職場の配置転換の話も出ましたが、その男性は元の職場のような作業系の職場へ転職されたそうです。

・できると思った(障害者という事

で、スキル・経験のチェックが甘くなる)

これは、障害者本人ではなく採用担当側の障害に対する認識がきちんとしていなかったがために起こるミスマッチです。

「健常者と同じことを求められる」「障害者であるから必要としている配慮がされていない」と感じてしまうと職場に対する不満・失望となってしまいます。

・面接時と実際の業務が違う

面接時に説明を受け、その業務ができるかどうかや担当したい仕事かどうかを判断したはずなのに、実際に業務に着くと違うというのは大きな問題です。

能力的にできない業務を担当させられることは、本人にとって大きな負荷になりますし、周りのスタッフにとっても必要以上のフォローを行わなくてはならなくなり、やはり大きな負担となります。

また、やりたかった仕事と異なる場合は障害者本人のモチベーションが下がるだけでなく、「騙された」などと会社への不信感が生まれる原因となり、周りのスタッフとの人間関係もうまく構築できなくなる可能性があります。

このほかにも、社内での理解不足で起こるトラブルもあります。

・視覚障害者であるのに、小さな文字の資料がそのまま配布された

・人とのコミュニケーションを苦手とする障害なのに、昼食や食事会に無理矢理誘った

・社内理解が乏しく個人間トラブルで障害者(あるいは既存社員)が退職

等と言うケースが例として挙げられます。

これら雇用後のトラブルを避けるためにも、採用担当者が障害の状態やできる事出来ない事を把握するだけでなく、上司や指導担当者をはじめとする障害者を関わっていく社員たちが特性や配慮のポイントなどを理解・把握することが重要です。

ただし、これらの情報を社内・職場内で共有することはプライバシーの問題もあり、本人の意思確認・了承を得ることも忘れてはならないポイントです。

また、障害の状態は変化することを忘れず、担当者と障害者の間に相談しやすい・確認をとりやすい良好な関係を築くことも大切です。

★コラムVol.9~発達障害トラブル事例 January 9, 2020

見た目からでは分かりづらい障害として、発達障害があります。

大枠で発達障害となっていますが、その症状は様々です。先天的、あるいは幼児期に脳に何等かの障害

が生じることによって、行動や認知能力に大きな差がうまれる障害です。

多くの人が「普通に」できていることが、発達障害の人にはさっぱり理解ができないということがあります。その理解できない部分が、それぞれの発達障害の症状なのでしょう。

発達障害者の中には、知的能力が水準以上の人が少なくありません。

ですので、余計にパッと見では「障害がある」とは周囲の人間は判断できないのです。

ASDと呼ばれる発達障害は、

・周囲とのコミュニケーション能力

・自分から相手への意思発信能力

など、社会的コミュニケーション能力が欠如していることが多いのです。

そのため、周囲からの理解は得られにくく、人間関係をうまく構築できず、孤立してしまうこともしばしばあります。学齢時期には仲間外れやいじめなどにあい、疎外感から周囲の人間に関わることを避けるようになる人もいます。

知的能力には優れていて、パッと見は障害者には見えない発達障害者は社会に出て働くことが可能なのです。ただし、その障害の症状により、職場でトラブルが起こることがあります。

・「過集中」には注意が必要

発達障害者の傾向として、注意力散漫と言われることが多いです。ただし、自分の興味がある事柄、短期的な事柄にはものすごい集中力を発揮します。これを「過集中」と呼びます。

過集中が起こっている際は、食事をすることや水分補給をすること、さらにはトイレに立つことなども忘れて集中しています。集中が終わり、その後どうなるかというと…一気に疲れが出て、他に何もできなくなったり、気持ちの切替ができず些細なミスが出たりします。

本人にとっても、職場にとっても高い生産性が発揮できそうな過集中ですが、果たして周囲がそれを望んでいるか、一過性の成果ではないものを求められている可能性が高いかと思います。

・こだわりや不安が強い

発達障害者は「急には曲がれない」タイプの人が多いです。

決まった行動パターンや周囲の環境には安心があり、自分が経験したことがなく見通しが立たない事や予定の急な変更などは強烈な不安感を持ちます。

また、声が大きいと叱責されているのかと思ってしまい、その後この声の大きい人の話すことが耳に入ってこないというようなこともあると言われています。

様々な事に対しての感覚が「過敏」なため、不安を感じるとその気持ちだけで一杯になってしまいます。

実際に職場や現場では、些細な変更は日常茶飯事です。

会議の開始時間の遅れ、生産ラインの遅れや停止、目標の変更に伴う不透明感、一般社員であっても不安に感じる場合がほとんどです。

その場合、周囲とのコミュニケーションで情報を収集して落ち着いたり、経験値で予測を立てたりして不安を抑えてることができます。発達障害者の場合、こういう社会的なコミュニケーション能力や判断能力が欠損していることがあるのです。

相互理解と配慮がない場合、発達障害者が職場で不満を抱えるようになり、その不満を上司や周囲へ漏らすようになり、いつしか部署や会社への大きな批判となってしまうケースもあります。

発達障害の特性として、周囲の状況が自分では判断できない時があります。

こういう状況になると、アドバイスや提案も受け入れられない状態で、職場で慢性的なトラブルを抱えることになってしまいます。

発達障害者には、本人のこういった特性への対策や、職場への周知、上司や同僚の配慮が双方ないと、トラブルの原因となることを十分に理解しあっておくことが何よりも重要ではないでしょうか。

★コラムVol.8~発達障害/ASDとは~ December 5, 2019

最近、広く知られるようになってきた発達障害。

以前から「自閉症」「アスペルガー症候群」と呼ばれてきた症状も発達障害に含まれます。

達障害は上記の他、広汎性発達障害、学習障害などがあり、その中でも知的に目立った遅れがない発達障害にASD(自閉症スペクトラム障害、自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動性境涯)が挙げられます。

これらの発達障害は、生まれつき或いは発達早期に脳に何らかの障害が生じたために行動や認知発達の偏りが現れる障害で、性格や保護者や保育者の育て方とは関係ないとされます。現時点では残念ながら発達障害そのものを治す薬などの治療法はないとされています。

ここではASDについて述べていきます。まず、ASDの特徴として次のことが挙げられます。

◆社会的コミュニケーション、相互作用の障害

・他の人との社会的関係(他の人といるときにどのように振る舞うべきか)、相互関係(自分の思っていることをどのように相手に伝えるのか)の欠如。思ったこと、目に着いたことなどを、悪気なくなんでも口に出してしまいます。例えば「きみ、太っているね」「おじさんハゲてるね」など、いわゆる空気が読めない発言です。また、会話のキャッチボールも苦手で、自分の興味のある話だけを一方的に話し続ける傾向があります。この時、本人にはまったく悪意はありません。

・非言語コミュニケーションの問題 非言語コミュニケーションとは、無意識の仕草やジェスチャー、視線の合わせ方などです。視線が合わない、逆に不自然なほどジッと見つめるなどがこれにあたります。

・年齢相応の社会関係が困難 年上の子にリードされて遊んだり、年下の子どもと同レベルで遊ぶことが多く、同年齢との相互的な遊びをすることが難しいようです。子供社会での暗黙のルールを理解できないことで守ることができず、他の子どもから嫌われてしまいがちとなるからです。一人で遊んでいることが多くなります。

◆行動の特異性(同一性保持、こだわり)

・儀式的行動 行動のパターンが決まっていることです。例えば、毎朝同じ時間に同じホームの同じ場所から電車に乗る、などです。変化を嫌い、いつも通りとならなかったり、急な予定変更があるとパニックを起こしやすいです。

・常同的な反復行動 体を前後にゆするロッキング、興奮した時にジャンプを繰り返す、手を目の前でひらひらとさせるなどが代表的な常同行動として見られることがあります。

・感覚の特異性 いわゆる五感(聴覚・視覚・味覚・嗅覚・触覚)が過敏・敏感な場合があります。

・興味関心の特異性、狭さ 特定の興味を持った事項(乗り物や生き物、国旗など)に関しては、コレクションしたり、もの凄い記憶力を発揮するものの、それ以外には無関心という状況です。

ASDは、知的能力が高いグループと知的な遅れが見られるグループに分けることができます。

知的能力の高いグループは、パッと見は何も障害がないと思われがちです。これまでに述べてきた特性と能力に大きな偏りがあるために、周囲から理解されにくく、付き合いにくいと仲間外れにされたり、いじめられたりして、自己肯定感が低くなり、直接人間関わることを恐れて不登校、引きこもり、精神疾患となったり、問題行動や逸脱行動を起こす場合もあります。そこまでではなくても、対人関係や情緒の問題を抱えて生きにくさを感じている人が多いと考えられます。

知的な遅れのあるグループは、視線が合わない、場に合わない独り言を言ったり、突然奇声をあげる、特定のものにこだわる、人に対しての関心が乏しいなどの特徴があり、知的な遅れや能力の著しい偏りから、社会適応が困難となっているようです。

できるだけ早期から、本人も周りの人々もASDの特性を理解し、よりよい対応方法を見つけていくことが、ASDの人の能力を活かしてお互いに理解をし、良い関係を築きあげていくために大切になってくると考えられます。

★コラムVol.7~担当者に関するトラブル事例~ November 5, 2019

現在さらなる推進を期待されている障害者雇用ですが、国による目標数値や支援がさらに具体的に決まっていく中で、受け入れ先である企業や会社は困惑せざるを得ない場合があります。

企業や会社の人事担当者は障害者雇用の「推進」はなかなか厳しい現状のようです。

 

・人材の確保を計画する上で、会社や各部署からは「健常者」が前提となっている

・人事としては障害者の受け入れを検討したいが、どの部署からもいい返事がない

・障害者雇用の受け入れを打診すると「やってもらえる業務が見当たらない」と言われる

「障害者」それぞれにはできること、できないことがあります。

障害の程度にも差がありますし、個人の能力にも差はあるはずなのです。

それは健常者も同じなのではないでしょうか。

 

 

ある障害者の方の雇用先でのケースです。

部署のアシスタントとして配属された障害者の方は、その部署のリーダーの下、一般的な事務・作業業務を担当することになりました。慣れるまでは不安もあり、確認や質問を繰り返しする必要があったけれど、問題なく行うことができるようになったそうです。

1ヵ月ほどして慣れてくると、今までかかっていた時間よりも早く業務を終わらせることもできるようになり、リーダーへ「他に自分がお手伝いすることがあるか」と質問をしました。

リーダーからは「○○の資料を読んでおいてください」と指示がありました。そして、数日後、もう一度お手伝いすることがあるかどうか確認をすると、「××の資料を読んでおいてください」との指示です。その後、この方は自分の仕事が終わってから、リーダーへ確認をすることをやめたそうです。そして、退職を考え始めました。

「新しいことを教えてもらえない、何もさせてもらえない」=「障害者だからなのだろうか」と感じていたようです。

 

初めての仕事、職場であれば誰でも「新入社員」であるはずです。

これが「新卒社員」だった場合、研修のスケジュールや内容、担当者が決定しており、社の「戦力」となってもらえるようなサポート体制が引かれることでしょう。

当然、最初は教えてもらうばかりで「お客様」状態であることも多いので、担当する社員は自分の仕事+新卒社員のフォローと大忙しだと思います。

まだひとりでやってもらえることが少ない時期だからこそ、「できる業務」を作り出すことも大変です。また、それをやるための指示を出す時間をつくるのも一苦労です。

 

例にあげた障害者の方の勤務先では、部署のリーダーはさらに大変だったと思います。

自分の仕事だけでなく、部署のマネージメント、部署の社員の管理に障害者の方のフォローまで…。時間がいくらあっても足りない、丁寧に指示する時間が惜しい、と感じる気持ちは理解できます。

ただ単にもう少し気を使ってあげればいいだけじゃない!なんて、部外者から言わるのは担当者としては心外なことでしょう。

これは、少しの気づかいが出来なかったリーダーだけの問題ではありません。

障害者を受け入れる場合の体制を整えておけば良かっただけの問題です。

 

新入社員を受け入れる際、いきなりリーダーの下に配置するでしょうか。研修期間は社全体でフォローしていたはずです。配置の後も、「教育係」のような先輩や、何かあった時の相談や質問先を用意するなど体制を整えていたはずです。

障害者の方へもそうであればいいのに、とは思いませんか。

現場の仕事を理解しつつ、上司と障害者の間に入ってしっかりと調整できるような人材がいる部署への配属ならば、「できる業務」以外の成果を見せることだって可能な人材が、障害を持った方の中にもたくさんいらっしゃることを忘れずにいてください。

「自分は障害があるから仕事は適当にしよう」と思っている障害者の方がいるでしょうか。むしろ、不安と共に期待を抱きつつ新たな職場へ来てくれているはずなのです。

★コラムVol.6~聴覚障害トラブル事例~ September 24, 2019

聴覚障害とひとくくりにしてしまうと、「全く聴こえない」と思われてしまいがちです。

聴覚障害者と共に働くことになった時、「手話ができない」ことに不安を覚える方もいます。

聴覚障害の中でも様々な「違い」が存在していることはご存知でしょうか。

・先天的、幼少時に失聴

・ある程度言語が話せる時期に失聴(中途失聴)

・何かをきっかけとした難聴

全く「聴いたことがない」場合は、話すことがかなり難しくなります。自分で話す経験を持っていたり、会話ができるようになった後の失聴は、通常会話は周囲の配慮で可能なことが多いです。体調や環境によって聴くことができる状態が変化して、判別が難しくなるのが難聴と言われています。

さらに、難聴であっても補聴器を装着すればコミュニケーションをとれる方を「難聴者」と呼んだり、コミュニケーションの手段を手話としている方を「ろう者」と聴覚障害の中でも区別して呼んでいる場合があります。ですので、聴覚障害者だからといってすべての方が「手話」でのコミュニケーションをしなければならないということはないのです。

聴覚障害は様々な段階に分かれ、ひとりひとりの症状の度合いが違う可能性があります。聴覚障害者の雇用にあたっては、その段階や度合いをしっかり確認しておくことによって、職場でのトラブルを未然に防ぐことができるのです。

聴覚に障害があるということは、「聴く」ということだけでなく、そこから派生する「察する」ことがとても大変になります。聴覚障害者と働く場合、このことを忘れてないで欲しいのです。聴覚障害の方の職場でのトラブルは、この「察する」ことが不十分であることへの無理解から起こることがほとんどだと言えます。

  • 先天的失聴者に「暗黙の了解」はない

周囲の状況から判断する、何となくそういう雰囲気だ、いつもこうだからそうしよう

と日本人の長所でもあり短所でもあるこういう気質は、実は聴覚障害者、特に先天的失聴者には育つことが稀であると言われています。

本来、「雰囲気」や「微妙な判断」は視覚というよりも聴覚で覚えていきます。元々聴こえないため、微妙なさじ加減を経験することがなかったのです。自然に身に着くことがないので、仕事上でははっきり伝えてあげるしかないのです。

そして、聴覚障害があるのだから色々やってもらうのは当然!という様子に見える場合もあるでしょう。これも周囲の様子を聴覚で感じとりながら成長することができなかったのが大きな要因です。

むしろ、何でも言葉で表して意思疎通をする外国の人と似ているのかもしれません。

違う環境で成長し、考え方が違う相手であることを認識してもらえると、お互いの仕事がスムーズになることでしょう。

  • 補聴器は万全ではない

難聴者は、補聴器を活用すれば日常生活でのコミュニケーションはほぼ支障がないでしょう。ただ、それはあくまで「自分に話しかけられている」ことがわかるということが大前提です。

・目の前で話してもらうこと→口元や前後の内容からなるべく推察するようにしています。

・聴き取りやすい方向から話しかけてもらうこと→後ろから話しかけられた場合は「自分に」とは分からないことがあります。

・集団の場合は話す人がわかっており雑音が入らないこと→複数人が一度に話すと判別ができず、聴きとることができないでしょう。

聴覚障害の程度を周囲は理解していたとしても、「普通に」会話が出来ていた場合、相手に聴覚障害があるという感覚がマヒしてきて、今まで配慮してきたことを忘れがちになります。こうなると、本人から再度の配慮を依頼するのも気が引けますし、「聴こえているはずなのに…」という雰囲気が本人にも伝わります。残念ながら、こうしたストレスでうつ病を発症する障害者の方は多くいらっしゃるのです。

障害があってもなくても、人間関係でのトラブルは職場ではつきものです。

聴覚障害者の職場でのトラブルを未然に防ぐには、定期的な確認を忘れずにしていくことだけだと思います。