ニュースルーム

障がい者と関わりのあるSDGsの7つの目標と社会の取り組みについて

トピックス新着情報
障がい者と関わりのあるSDGsの7つの目標と社会の取り組みについて表紙

SDGsと障がい者の関係

誰もが障がいを持つ可能性がある

障害者白書(令和5年版)によると、日本の障害者数は身体障害者436万人、
知的障害者109.4万人精神障害者614.8万人となっており、
内閣府によると、日本の障害者数は国民の約6%で、
およそ国民の8人に1人が障害を持っていることになります。

年齢を重ねることで身体的な機能に障害を持つことや、
新しい環境で精神的な不調をきたすことは、めずらしいことではありません。

障がい者とSDGsの目標との関わりや社会の取り組みについて

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、
日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
日本を含め193の国連加盟国が参加した2015年の国連サミットで採択されました。

17のゴール・169のターゲットから構成されており、
地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、
日本としても積極的に取り組んでいます。

目標1「貧困をなくそう」

「きょうされん(旧称:共同作業所全国連絡会)」の調査によると、
障がい者の81.6%が、相対的貧困とされる年収122万円以下で生活を送っているといわれています。

心身の障害による社会的不利だけでなく、
金銭面からも生活に大きな課題を抱えているとも言えます。
貧困から必要な医療を受けられない可能性もあり、社会参加を阻む要因にもなり得ます。
障害者の貧困をなくすことは、
SDGsの「誰ひとり取り残さない」を実現するために欠かせない目標設定の一つです。

目標3「全ての人に健康と福祉を」

この目標3に対する障がい者への取り組みは、医療機関利用のためのアクセスの向上や移動支援、
障がい者にも分かりやすい医薬品・健康促進に関する情報提供の工夫、
保険商品の説明における情報保障などが挙げられます。

目標4「質の高い教育をみんなに」

SDGsの目標4では「質の高い教育をみんなに」と題し、
「全ての人が質の高い教育を受けられる」社会を目指すために設定された目標です。

障害者教育に関しては、特別支援学校からの大学進学率がわずか約1.7%と低い水準です。
特に視覚障害や聴覚障害を有する方は在籍率が低く、就学や学業の継続に困難があるとのことです。

この目標では、子どもたちへの教育はもちろん、
障害の有無や性差別のない学習環境の構築が求められています。

目標8「働きがいも経済成長も」

SDGsの目標8では雇用や労働環境に関する課題解決に向けた取り組みが行われています。
労働者がやりがいを感じながら十分な収入を得られるように設定された目標です。

障がい者は雇用機会が限定され、就労しても賃金が低いという現状があります。
障がい者の雇用を増やすためには、経済成長に貢献し、あらゆる人々が働ける社会を作ることが重要です。
健常者と障がい者の賃金格差を縮小し、公平な給与を確保するために雇用と給与の改善が必要となります。

目標10「人や国の不平等をなくそう」

この目標では人種や貧富の差、民族や宗教の違いなど、
異なる環境や文化の人々が全て平等に暮らせる社会を目指すことです。

障がい者に関する不平等の例として、障害を理由に就職や職場で不利な扱いや差別を受けたり、
店舗でのサービスなどを拒否されたりといった人権問題なども課題の一つです。

こうした不平等をなくし、全ての人の意見が反映される政治や社会の実現を目指すことは、
障がい者の不平等是正にもつながります。

目標11「住み続けられるまちづくりを」

国や地域に住む全ての人が快適に生活し続けられることを目指して設定されています。
高齢者や障がい者など、様々な人が快適に暮らすことができる環境が求められています。

障がい者が快適に生活するためには、適切な設備と介助者のサポートが必要です。
特に身体障害のある方は、移動や施設の利用に困難を抱えることがあり、バリアフリーが重要です。
例えば、音声案内の導入や点字ブロックの設置、筆談の導入などが挙げられます。

現在は障害の有無に関係なく、
誰もがわかりやすく利用しやすいユニバーサルデザインの導入も進められています。

例えば、階段以外に手すりのついたゆるやかなスロープを設置することは、
車椅子ユーザーのみでなく、階段の利用に困難のある高齢者の方や、ケガをしている方、
子どもたち等を含む様々な人にとって使いやすいユニバーサルデザインであるということになります。

また、ノーマライゼーションという言葉はご存知でしょうか。
ノーマライゼーションとは、健常者と障がい者には分け隔てない権利があるという考え方です。
日本でもバリアフリーや、ユニバーサルデザインが広く取り入れられるようになり、
誰もが分け隔てなく暮らしやすい社会への、発展途上であると感じます。

目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

これは、人・団体・企業・国などが協力し合い、
パートナーシップを結ぶことで様々な問題解決に取り組むための目標です。
SDGsの目標1〜16を達成し、バランスの取れた社会を実現することがテーマとなっています。

例えば、誰もが使いやすい道具や利用しやすい施設を開発するとした時、
障がい者の意見を取り入れることで、使いやすい道具や施設が開発され、利用しやすくなります。
これにより、多様な人々が手を取り合い、社会がより良い方向に進みます。
障がい者の社会参加は、SDGsの目標達成に大きく貢献します。

この記事の終わりに

SDGsは、環境、経済、格差是正、差別解消だけでなく、
障がい者にも関連する課題を多く含んでいることが分かりました。

国や自治体の取り組みや、自分以外の様々な環境に在る人に関心を持つことで
障害の有無や性別、考え方の違いにとらわれない相互支援が促進されていくことが望まれます。
知ろうとすること、関わろうとすることのような小さなことの積み重ねが、
大きな変化へとつながっていくことを信じて、私たちも情報発信を続けてまいります。

参考資料

外務省 JAPAN SDGs Action Platform
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html