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【2】障がい者雇用担当者になったら初めに読んでほしいQ&A ~定着と業務改善について~

はじめに

障がい者を雇用した後、定着させるためにはどのようなことに取り組めば良いのか、
また、必要な業務改善や職場環境改善について理解しておきたい知識をQ&A方式でご紹介します。

1.定着

Q. 定着のために重要なことは何ですか。マネジメント上の留意点を教えてください 

A. 採用後の定着マネジメントは、
これまでのステップで準備してきたことを継続させていくことになります。
戦力化と定着は同義で、従業員が活躍できるようにすることが基本的な考え方です。
業務改善と能力開発を継続的に行うことが重要で、
障がい者雇用においては「同じ視点でより丁寧なマネジメント」が大切です。 

Q. 職場における個人情報の取扱いが気になります 

業務を効率的に遂行するためには、関係者間で情報を共有することが重要です。
特に個人情報の取り扱いは非常に重要で、
業務に関係のない情報は他人にむやみに伝えないようにしましょう。
情報の共有する範囲や内容は、本人と話し合い、同意を得ることが必要です。
障がいの有無に関わらず、個人情報の取り扱いは慎重に注意する必要がありますよね。 

Q. 周囲とのコミュニケーションの取り方、接し方等あれば教えてください

A. コミュニケーションの取り方はケースバイ・ケースで、
特別扱いせずに普通に接することが基本的な考え方です。
障がいの種類によっては配慮して接することも大切です。 
 
知的障がいのある人は理解が難しい場合もあるので、
相手の反応を見ながら分かりやすい言葉を選んだり、
大切なポイントを書いて配慮することが重要です。

精神障がいや発達障がいのある人には、特徴的な反応があっても柔軟に受け止め、
お互いの気持ちが通じ合うように努めることが大切です。
遠慮する必要はなく、ただし相手への配慮は必要であるという部分が要点です。 

Q. 採用したが、準備していた仕事が遂行しづらい状況であるため、
どのように対応したらよいか悩んでいます 

A. 障がいのある人は、得意・不得意の領域が明確な傾向にあります。
そのため、採用においては、本人の特性と業務のマッチングを丁寧に行うことが重要です。

企業実習を通じて、本人の特性や業務内容との適性を見極めましょう。
また、求職者にとっては、業務が自分に向いているか、
職場の雰囲気になじむことができるか等の確認の場となります。
さらに、必要に応じて業務改善を実施することも重要です。
これらのステップを経て採用することが、採用後の本人の能力の発揮につながります。 

採用後に仕事内容が変化することもありますので、本人の能力向上と業務改善が重要です。
障がいのある人の場合は、少しずつ難しい仕事にチャレンジしてもらうなど、
人事マネジメントを丁寧に実施することも重要です。 

Q. 職場で働いている人がメンタル不調になり
「うつ病」と診断された場合、どのようにすればよいでしょうか 

A. メンタル不調により受診し、「うつ病」と診断されると治療が開始されます。
治療の結果、症状が改善して医師から就労許可が出れば、
職場復帰に向けたリワークプログラムを開始することになります。

リワークプログラムは、一般的に短時間勤務でスタートし、
メンタル不調を起こしたと想定される要因(業務や人間関係等)を
取り除いた環境での業務からスタートします。 
 
一方、治療の結果、完治せずに障害と判断された場合は、
医師に診断書を発行してもらい、
障害者手帳取得の手続きをすることができます。

そして、医師から就労許可が出た時点で就労を開始することになります。
この場合も、前述のリワークプログラム同様に徐々に慣らしていくことが必要です。
いずれの場合も、投薬治療は継続している場合がほとんどですので、
職場マネジメント上の配慮としては、通院への時間的配慮、
業務を限定して勤務時間を短時間から始めて徐々に伸ばしていく等、
本人のプレッシャーや勤務時間への配慮が求められます。 

2.業務改善 

Q. 業務改善はどのようにすればよいでしょうか 

A. 本人の特性を見極めて得意な業務を選定すること、
できないことをできるように工夫をすること、やりやすいように工夫することが
業務改善の重要なポイントです。
さらに、担当の業務だけでなく前後の業務を改善することや、
業務プロセス全体を見直すことも大切です。 

Q. 部下に聴覚障がいのある人がいるが、新しい仕事を検討していきたいです

聴覚障がいのある人にとってコミュニケーションは、仕事をする上で大きな課題となります。
しかし業務遂行には文章や筆談で説明できるため、それほど大きな問題はないとされています。
職場の環境には以下の2つのポイントに配慮することが求められます。 
 
①緊急時のリスク対応として、火災報知器などの音で知らせるものには、
パトライトを付けて連動させるなど、
目で見て緊急事態を把握できるようにすることが重要です。
特にトイレなど1人になる場所では、配慮が必要です。
また、緊急時に本人へ声掛けをする担当を決めておくことも重要です。 
 
②聴覚障がいのある人は、業務に必要なコミュニケーションは文章・筆談で可能ですが、
普段の会話や会議で手話や要約筆記等の配慮をしても、
どうしても疎外感を感じてしまうようです。
手話で会話できる聴覚障がいの仲間が社内にいることが本人のメンタル面の支えになります。
同じ職場に複数人雇用する必要はありませんが、
昼休みや定時後等オフタイム時に手話で会話できる仲間がいることでメンタルの安定感につながる例が多いようです。 

3.職場環境改善 

Q.障がいのある人の就業を助ける機器の貸出しについて教えてください

A. 障がいのある人の就業を支援するための機器などを
事業主に一定期間無料で貸し出す制度があります。
貸し出しの詳細については、
高齢・障害・求職者雇用支援機構「就労支援機器のページ」をご覧ください。 

Q. 職場環境改善のための助成制度を知りたいです 

A. 企業が障がい者を雇入れた場合に、
特定求職者雇用開発助成金などの助成金が支給される場合があります。
具体的には、厚生労働省のホームページをご覧ください。 
 
企業が障がい者雇用に取り組む際には、
施設や設備の整備、適切な雇用管理を行うための特別な措置が必要です。
これにより、障がいのある人の雇用が困難な場合には、国の助成金が支給されます。
助成金には様々な種類や要件がありますので、
高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページをご覧ください。


シンビーオの事業主支援についてのページはこちらです。
【2024年最新】障がい者を雇用する企業のメリット|5種類の助成金について

おわりに

障がいのある人が職場に定着するためには、
企業や社内のメンバーが障がい者雇用に対する理解を深め、合理的配慮を提供することも重要です。
合理的配慮は、障がい者の能力を最大限に引き出すためのものであり、
障がい者を優遇するためではない部分がポイントです。
また、職場環境改善のためにはさまざまな助成制度があります。
ぜひ活用して、互いに働きやすい環境作りにお役立てください。

参考リンク

京都府HP 
https://www.pref.kyoto.jp/jobpark/oyakudachifaq.html

シンビーオ
【2024年最新】障がい者を雇用する企業のメリット|5種類の助成金について
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