まず障がい者雇用を促進するために、助成金制度が設けられています。
この助成金制度は、企業が障がい者を迎え入れやすくすることを目的としています。
障がい者を雇用するにあたって各種設備の整備や雇用における管理業務などに
コストを要した場合に助成金を受けることが可能です。
今回は5種類の助成金について取り上げます。
企業が障害者を迎え入れるにあたり、設備の整備でかかる一時的なコストや、
雇用における管理業務に係るコストを鑑みて設けられている制度です。
この制度は、障がい者雇用を積極的に行っている企業へ、助成金や報奨金の形でサポートを行うものです。
この障害者雇用調整金は、法定雇用率に達しない企業から徴収される障害者雇用納付金で賄われています。
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 障害者雇用納付金制度の概要
https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
ハローワークを通じて障がい者全般の継続的雇用を行った企業を対象にしたもので、
高齢者や障害などで就職が困難な人を
雇用保険の一般被保険者として雇用する場合に受け取ることができる助成金です。
厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html
障がい者トライアル雇用求人を事前にハローワーク等に提出し、
ハローワーク等の紹介によって、対象者を原則3か月の有期雇用で雇い入れ、
一定の要件を満たした場合、助成金を受けることができます。
「障害者トライアル雇用」とは、障害者を原則3か月間試行雇用することで、
適性や能力を見極め、継続雇用のきっかけとなることを目的とした制度です。
労働者の適性を確認した上で継続雇用へ移行することができます。
「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」で受けられる助成金が異なります。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク PDF 「障害者トライアル雇用」のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/000562055.pdf
障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース・障害者職場適応援助コース)は、
雇用する障がい者の職場定着のための措置を行う事業主や、
職場適応援助者(ジョブコーチ)による障がい者の職場適応の援助を行う事業主に対して、
経費や賃金の一部を助成する制度です。
障害者職場定着支援コース
【キャリアアップ助成金】
障がいのある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した事業主に対する助成金です。
【障害者介助等助成金】
・職場支援員の配置助成金
雇用する障がい者の職場定着を図るために職場支援員を配置した事業主に対する助成金です。
・職場復帰支援助成金
中途障がい者等に対して、療養のための休職後の職場復帰後の本人の能力に合わせた職域開発、
その他職場復帰のために必要な措置を講じた事業主に対する助成金です。
障害者職場適応援助コース
・訪問型職場適応援助者助成金、企業在籍型職場適応援助者助成金
職場適応援助者による援助を必要とする障がい者のために、
職場適応援助者による支援を実施した事業主に対する助成金です。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク PDF
令和3年度以降「障害者雇用安定助成金」が変わります!~主な変更点のご案内~
https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/000732171.pdf
令和6年4月より開始される制度で、障がい者の職業に必要な能力を開発、向上させるため
一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う事業主又は事業主団体が受け取れる助成金です。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク PDF 令和6年度から「障害者能力開発助成金」が始まります
人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)」は廃止
https://www.mhlw.go.jp/content/001216964.pdf
厚生労働省 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_trial_00002.html
「もにす」とは、「ともにすすむ」からきており、
企業と障がい者が共生して事業に取組み、進んでいくことを意味しています。
障がい者雇用の取り組みに優れた中小企業には、厚生労働省から認定マークが付与されます。
この認定マークは、商品や広告などにも使用可能です。
また、企業のイメージアップに加えて、日本政策金融公庫の融資を低金利で受けられる、
公的な広報により知名度が上がる、などのメリットがあります。
企業が障がい者を雇用することで、
社会貢献に積極的な雇用者であると認識される以外にも、
健常者と障がい者が同じ職場で働くことで社内に多様性が生まれます。
双方の違いを認識しあうことで理解が深まり、助け合いの精神が育まれるという点もメリットの一つです。
2018年4月に改正された障害者雇用促進法により、
常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で障害者雇用率を未達成の場合は、
法定雇用障害者数の不足人数分に応じて、1人につき月額5万円の障害者雇用納付金を納める必要があります。
規定の人数の障がい者を雇用しない場合には、ハローワークより行政指導が入ることになっています。
ハローワークの行政指導が入っても雇用状況が改善されない場合は、企業名が公表されることになります。
そのため、公表された企業は社会貢献度が低いというマイナスのイメージがつくことに繋がります。
障がい者雇用を進めていくためにかかる初期コストに対する助成制度や、
トライアル雇用、継続雇用等で受け取れる助成金制度など、
社会全体で障がい者雇用をしやすい仕組みづくりが行われています。
「障害」という言葉のみに注目してしまうと、
マイナスイメージの先入観を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、
障がい者雇用を行うことで、今までには気づかなかった視点が生まれたり、
新たなアイデアや価値が生み出されることもあります。
障がい者雇用には、未知数の様々な可能性が溢れています。
創業手帳 企業の障害者雇用には注意点が様々!企業がすべきこととは?
https://sogyotecho.jp/syougaisyakoyou-chuiten/