はじめに ~アンガーマネジメントとは~
アンガーマネジメントとは、
怒りやイライラなどの感情を整理し、コントロールするためのスキルです。
怒りをなくす方法、怒らなくなる方法を身に付けるスキルではありません。
怒りの感情は身を守るための自然な感情であり、
適切にコントロールすることがアンガーマネジメントに取り組むための重要な要素です。
怒りの発生メカニズムを理解し、自身の傾向を正しく認識することが、
怒りを上手にコントロールするための鍵となります。
アンガーマネジメントにより、
良好な人間関係や職場でのチームワーク・生産性の向上が期待できます。
アンガーマネジメントのメリット
- 1.怒りをコントロールできるようになる
- 2.怒りに伴うストレスが減る
- 3.怒りに任せた感情的な発言をしなくなる
- 4.円滑なコミュニケーションが取れるようになる
- 5.自己肯定感が高まり成果を生み出しやすくなる
- 6.ハラスメントの防止につながる
- 7.労働者の集中力や判断力、創造力などの能力が向上し、仕事の質や効率が高まる
- 8.人間関係のストレスが軽減し、組織内のコミュニケーションが活性化される
- 9.思考の幅が広がる
- 10.仕事の生産性が上がる
以上のようにアンガーマネジメントには沢山のメリットがありますが、
怒りというのは一体どのようにして湧くのでしょうか。
怒りのメカニズム
日常生活を送る中で、私たちは怒りを感じる瞬間が度々あるかと思います。
怒りを感じると、自分自身も穏やかな気持ちではなくなってしまいます。
怒りは、悲しみや悔しさ、不安などの感情が心の中に蓄積され、
その容量を超えると「怒り」として表に現れます。
怒りの根底に絡み合う感情のことを「一次感情」といいます。
この一次感情が容量を超えると、心身に悪影響を与える可能性があります。
しかし怒りは混沌とした思いを発散し、防衛反応の役割を果たすという側面もあります。
「怒り」という感情は時間経過で消えてなくなるわけではありませんが、
アンガーマネジメントによって上手にコントロールすることが可能です。
次は怒りを乗り切る方法についてご紹介いたします。
怒りを乗り切る6つの対処法
1.6秒ルール
人は怒りを感じてから、理性を司る大脳新皮質の前頭葉で
感情をコントロールできるまでに、およそ6秒かかるといわれています。
怒りが湧き上がると、感情的な言葉や態度になり、相手に過度な怒りをぶつけてしまいがちです。
しかし、怒りが湧いても6秒間抑えられれば冷静な思考を取り戻せるでしょう。
2.ストップシンキング
感情を抑えるために、怒りを感じた時には思考を一時停止することが有効です。
例えば、怒りを感じるメールを見た場合、
一時的に画面全体を閉じることで、思考を停止しやすくなります。
意識的に思考を止めることで、怒りによる行動を抑制する効果が期待できます。
3.コーピングマントラ
怒りが収まる魔法の言葉を心の中で唱える方法です。
「大丈夫」「落ち着こう」「明日には忘れるだろう」など、
自分が落ち着けそうな言葉をあらかじめ用意しておきましょう。
4.スケールテクニック
怒りを感じた時に、その怒りを数値で表現することで、自分を客観的に見る手助けとなります。
例えば10段階などで数値化することで、自分の怒りの傾向をより明確に把握できます。
5.グラウンディング
怒りが湧いてきたと気付いた瞬間に、
全く関係のない別のものに注目し、意識をそらす方法です。
怒りを感じた時、相手のことではなく、他の何かに意識を向けることが効果的です。
例えば、上司から非難を受けている場合は、
時計や部屋の壁など、目に入る物に意識を集中させます。
最初の6秒間は特に意識を集中させることが大切です。
6.タイムアウト
どうしても怒りが収まらない時は、その場を離れましょう。
廊下に出たり、トイレに行ったりしてもよいでしょう。要は、流れを変えることです。
物理的に距離を取り、時間をかけて冷静さを取り戻すことが大切です。
怒りが収まらない場合、無理に続けるよりも、一度立ち止まって仕切り直す方が良いでしょう。
これによって、時間や労力を無駄にすることが避けられます。
最後にアンガーマネジメントの具体的な実践方法をご紹介します。
アンガーマネジメントの実践方法3つ
1.深呼吸をする
怒りを感じた時は、深呼吸をしてみましょう。
深呼吸にはリラックス効果があり、深呼吸をすると、副交感神経が優位になるため、
落ち着きや冷静さを取り戻すことができます。
4~5秒かけて息を吸い、10秒程度かけて吐くことを意識してみましょう。
ポイントは呼吸やカウントに集中することです。
2.アンガーログで怒りのパターンを分析する
アンガーログとは、怒りに関する情報を記録したものです。
日時や場所、怒りの程度などを記録することで、自分がどのような状況で怒りやすいのかを把握できます。
このようにパターンを把握することで、自分の怒りに対処しやすくなるでしょう。
3.怒りを相手へのリクエストに置き換える
怒りを感じた際には、不満を述べるのではなく、
相手に「こうしてほしいと」具体的なリクエストの形で伝えることが効果的です。
例えば「今でも満足していますが、期日をもう少し早めてもらえるとありがたいです」など、
具体的に要望を伝えます。
おわりに
怒りは周囲に広がる可能性があり、仕事への集中力低下やパワーハラスメントの原因になることがあります。
アンガーマネジメントを身につけることで、怒りの感情と上手く付き合うことができ、
業務上のコミュニケーションが円滑になったり、組織全体の生産性の向上にもつながります。
興味を持たれた方は、アンガーマネジメントを試してみてはいかがでしょうか。
参考リンク
Engineer Labo
アンガーマネジメントとは?基本の3ステップ・6つのメリットについて