はじめに
今回は精神障がいのある人が、長期的に仕事が続けられない原因や、
長く続けるためのポイントについて解説します。
以前は障がいのある方全体を通した内容の記事(こちら)でしたが、
今回は精神障がいに特化した内容を取りあげます。
近年、精神障がいのある人の雇用環境は改善しており、
求人数や就職機会が増加し、支援機関の利用も増えています。
しかし、雇用後の離職率が高く、平均勤続年数も短い傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、精神障がいのある人は、
3カ月の離職率が30.1%、1年の離職率に至っては50.7%まで上がっています。
精神障がいのある人が就職する方法には主に3つのパターンがあります。
1つ目は、障害を開示して障害者雇用求人に応募する方法、
2つ目は、障害を開示して一般求人に応募する方法、
3つ目は、障害を開示せずに一般求人に応募する方法です。
(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000178930.pdf)
統計によれば、障がいを開示せずに一般求人に応募した場合の離職率は高い傾向にありますが、
精神障がい者はこの方法を選ぶことが多いそうです。
また、障がい者雇用求人での就職でも、
精神障がい者の離職率は他の障害に比べて高いことが報告されています。
仕事を長く続けることができない原因
(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-01-38.html)
上記のように精神障がい者の方は、
職場の雰囲気・人間関係、仕事内容が合わない、人よりも疲れやすい傾向がある、
体調が安定しにくく、職場や周りの理解が得られにくいことが挙げられます。
また、精神障がい者は非正規雇用が多く、待遇面の影響も関わっていると考えられます。
では仕事を長く続けるにはどのようにすればよいのでしょうか。
長く仕事を続けるためのポイント
短時間勤務などの制度を利用する
精神疾患を抱える方々は、調子の波が大きい場合があります。
調子に合わせて短時間勤務制度を活用することで仕事を続けることが楽になります。
人事に短時間勤務制度の有無を確認し、申請方法を確認するのも有効な方法です。
大きな調子の変化が起きる前に、勤務時間の調整を検討してみましょう。
就労サービスを積極的に活用する
就労・生活支援センターや障害者職業センターなど専門的な支援機関を利用することもよいです。
就職後も企業とのコミュニケーションに介入してもらえるジョブコーチ制度を活用することもできます。
また、よりゆっくりとリハビリを兼ねてサポートを受けたい場合は、就労移行支援事業所が適しています。
自分の症状を知り、周囲へ説明できるようにする
精神障がいの人が仕事を続けるためには、
周囲の人に自分の障がい特性や症状を理解してもらうことが不可欠です。
障がい者雇用枠での就職の場合、職場では合理的な配慮が必要ですが、
上司や同僚が精神障がいの特性について理解しているとは限りません。
また、自己理解を深めることも重要です。
障がいをどのように認識しているか、つまり障がいを受け入れる度合いが重要です。
障がいに対して否定的に向き合うと、
自己理解を深めることが難しくなり、就職後も離職率が高くなる傾向があります。
働きやすい職場や職種を選ぶ
柔軟な働き方ができる職場では、従業員が長く働き続けやすい傾向があります。
例えば「時短勤務・在宅勤務を選択できる」「通院による休暇を認めてもらえる」
「症状によって出勤場所や業務内容を考慮してもらえる」
「体調によって適宜休憩を認めてもらえる」といったことです。
精神疾患は長期間の治療が必要な場合がありますが、
自分のペースを守れる職場であれば、
生活リズムが安定し、早く寛解に向かうことができます。
自身の障がいや得意・不得意を明確にする
就職に際しては、自身の障がいを理解し、自分の能力や限界を明確に把握することが重要です。
精神疾患を持つ人でも、自身の症状を理解しきれていない場合があります。
自己分析を通じて、ストレスの原因や困難な作業、
症状が現れる状況などを把握し、ミスマッチを防ぐことができます。
また、自己分析ではマイナス面に焦点を当てるだけでなく、自己の強みをアピールすることも重要です。
自身の障がいを理解し、面接時に具体的に伝えることで、適切な職場への就職が可能になります。
障害者雇用枠での就職も選択肢の一つ
障害者手帳を持っていれば、障がい者雇用枠の就職が可能です。
精神疾患を開示して就職する場合、合理的配慮を求める権利がありますが、
企業によって配慮の程度や提供される設備が異なるため、希望通りの配慮を得られるとは限りません。
精神疾患を開示するかどうかは個人の自由であり、自身に合った雇用枠を慎重に選ぶことが重要です。
クローズド(障害を開示しない)での雇用環境では、
職場からのサポートや配慮は期待できないため、自己の健康管理が重要です。
そのため、医療機関や専門機関・支援機関に相談し、綿密な準備をする必要があります。
障害者雇用枠 | ・障害者手帳を持っている人 ・合理的配慮を求めることができる ・職種を限定される可能性がある ・障害者雇用の担当者が企業に在籍し、仕事に関する困りごとなどを相談できる |
一般雇用枠(オープン) | ・一般雇用枠で、障害があることを開示して就職 ・合理的配慮を求めることができる ・職種を限定される可能性がある |
一般雇用枠(クローズド) | ・ 一般雇用枠で、障害があることを開示しないで就職 ・合理的配慮を求めることができない ・職種の限定はない |
リフレッシュ方法を用意する
精神疾患を持っている方は前述でも解説したように「人より疲れやすい」のが特徴です。
そのため、疲れないように工夫することが重要です。
疲れた時にはリフレッシュする方法を用意しておきましょう。
責任感から無理して仕事を続けると体調を崩し、仕事に支障をきたす可能性があります。
早めに休むことも大切ですが、責任感の強い人は仕事のことを気にし、回復が遅れることがあります。
休む時には仕事のことを考えずに、ゆっくり過ごすよう心がけましょう。
・生活にアロマテラピーを取り入れる:https://symbiio.co.jp/health02/aroma/
・ストレッチの動画のご紹介:https://symbiio.co.jp/health02/stretch/
上記の記事では、日常的に取り入れやすいリフレッシュ方法をご紹介しています。
おわりに
ここまでご覧いただきありがとうございます。
具体的なリフレッシュ方法については、
シンビーオの「メゾン・シンビーオ(在宅就労の豆知識部屋)」に
様々な情報がありますので、ぜひ探してみてください。