
厚生労働省が示す「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人が1日に必要な水分量は…
- ・生活活動強度が低い人:1日あたり約2.3~2.5リットル
- ・生活活動強度が高い人:1日あたり約3.3~3.5リットル
だそうです。
1日に摂取すべき水分量を平均2.5Lとした時、1.0Lは食事から摂取できますが、残りの1.2L~1.5L程度は飲み水で補うことが必要です。
<参考>生活活動強度とは?
日常生活でどれくらい身体活動を行っているかの度合いを示すものです。

夏場の汗をかく時期だけではなく、人間は入浴中や眠っている間にもどんどん水分を失っています。
エアコンの効いた室内でも乾燥のため、気づかないうちに体から水分が失われることがあります。
さらに体温調節のため、知らず知らずのうちに汗や呼気で体内の水分を失っているので、こまめな水分補給が必要です。
水分を補給することは、体温や基礎代謝のアップにつながっていきます。
水分を補給すると血液の流れが良くなり、酸素や栄養素が体内に迅速に届けられます。
そして血液の流れが改善されることで細胞が活性化し、エネルギー生成のスピードが増して基礎代謝が上がります。その結果、体温も上昇し、身体の冷えが改善されていきます。
また、代謝によって生じる老廃物を効率的に排出するためには尿の排出も非常に重要で、そのためには十分な水分補給が必要です。
尿量が不足して体内の老廃物が十分に排出されないと体は疲れやすくなり、「だるさ」や「食欲の低下」といった症状が現れ、ナトリウムなどの老廃物は体内に蓄積されると体の水分が増加し、高血圧や浮腫(むくみ)を引き起こすリスクが高まります。
特に高齢者は浮腫の症状が多く見られますが、これは水分摂取不足が原因である可能性があります。
人間の体内の水分量は年齢や性別によって異なりますが、体重の約60~75%を占めています。
脳に酸素を運ぶためには水分が不可欠で、水分量が不足すると血液の粘性が高まり循環が悪化します。その結果、脳への酸素供給が減少し、神経を通じて筋肉や血管の活動も低下します。
さらに水分不足になると、脳内の神経伝達物質である「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの生成に影響を与え、これが気分の落ち込みやうつ状態を引き起こしてしまうため、水分不足は体に深刻な影響を与えるだけでなく、精神状態や感情、気分にも悪影響を及ぼすことがあります。
また、慢性的な脱水状態は血管の機能を悪化させ、筋肉の硬直や体温の低下を引き起こします。これにより心身の緊張状態が続き、うつ症状がさらに悪化する可能性があります。
水分不足は脳内でエネルギーが生成されるのを妨げ、恐怖感や不安感などのストレスや情緒障害を引き起こす要因にもなるそうです。
集中力が続かず、やる気が出ないと感じる時は、体内の水分不足が原因かもしれません。
2012年にコネチカット大学のローレンス・アームストロング博士が発表した研究によると、体内の水分量が1.5%減少するだけで、集中力や学習能力、反応速度などの認知能力が低下することが明らかになったそうです。
また、イギリスの大学の研究によると、集中力を要する作業の前に0.5Lの水を飲むことで、効率が14%向上することが分かったそうです。
このような研究からも、心身の健康のためには十分な水分補給が重要であることが分かります。
水分不足は様々な症状を引き起こします。
あまり知られていないかもしれませんが、頭痛も水分不足によって引き起こされる症状の一つです。
体内の水分が不足すると血液がドロドロになり、血流を悪化させます。
特に脳への血流が減少すると、頭部の血液循環が影響を受け、血管が拡張します。この血管拡張が周囲の神経を刺激し、結果として頭痛を引き起こすことになるそうです。
脳はたくさんの水分を必要とするため、酸素や栄養分が不足すると頭痛が生じると考えられています。また、脱水状態でアルコールやカフェインを摂取すると、頭痛がさらに悪化する可能性があります😨
水分不足を防ぐためには、こまめに水分を補給することが重要です。
基礎代謝を上げたい場合は冷たい水よりも、常温の水がおすすめです。
一方、お茶や紅茶、コーヒーなどの飲料はカフェインの利尿作用により、逆に水分不足を引き起こす可能性があるため、水分補給にはお水を飲むことをおすすめします。
在宅勤務中はオフィスよりも水分摂取が自由にできると思いがちですが、実際には仕事に集中するあまり、水分を摂ることを忘れてしまいがちです。
在宅勤務中でも積極的に水分補給をしましょう。その際は甘い飲み物や好みのドリンクではなく、ノンカロリー・ノンカフェインの飲料やお水、白湯を選ぶと健康維持のためにも良いでしょう。
一方で、水分の摂りすぎは水中毒や水太りなどの、健康上の問題を引き起こす可能性があります。
水中毒は血中のナトリウム濃度が低下し、細胞間の水分調節ができなくなる状態になります。
1日に3L以上の水分を摂取したり、短時間に1L以上の水を飲むことで発症する可能性があり、主な症状には多尿、頻尿、下痢、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐が含まれます。
ただし運動の際中や暑い炎天下では十分な水分補給を心がけつつ、塩分も一緒に補給しましょう。
また、精神的な病気を抱えていると水中毒を引き起こすことがあるそうです。
抗精神病薬などの薬を服用している方は、その副作用でのどが乾きやすくなることがありますので、
水分の過剰摂取に注意しましょう。
人間にとって水分は栄養と等しく生命維持に不可欠です。
近年では健康面でも美容の面でも、水分を多めに摂取することが推奨されています。
ですが、摂りすぎると健康に悪影響を及ぼす可能性もあり、適切な量とタイミングでの水分補給を心がけて、水中毒などのリスクを避けるようにしましょう。
喉の渇きを感じる時には脱水が始まっているそうです。渇きを感じる前にこまめに水分補給をして、
心身ともに健康を維持していきましょう。