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【採用担当者が知っておきたいシリーズ①】障がい者雇用の求人方法:就労移行支援事業所編 

はじめに

初めて障がい者雇用を進める際、
どのように求人を出せば良いのか分からない企業の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

主に4つの方法があります。
①民間の求人媒体(Webサイトなど)やハローワークで、障がい者採用枠として募集を行う方法。
②自社サイトに「障がい者採用ページ」を掲載しておく方法。
③障がい者採用に特化した転職エージェントサービスを利用する方法。
④「就労移行支援事業所」と連携する方法など。

初めて障がい者を採用する企業にとって、
それぞれの違いや活用方法について理解することは難しいかもしれません。
今回は「就労移行支援事業所」の活用方法に焦点をあててご紹介します。 

就労移行支援事業所とは

就労移行支援事業は、
障がいのある方の社会参加をサポートするための通所型福祉サービスです。

ここでは一般企業への就職を目指す障がいのある人や難病のある人に対して
就職準備から就職活動、そして就職後の定着支援まで幅広いサポートを提供しています。

就職のサポートを行っている「就労移行支援事業所」は、
全国に約3,300カ所以上あるといわれています。

就労移行支援事業所の利用者について

就労移行支援事業所の利用者は、18歳以上~65歳未満で、
一般就労を希望し、障がいや難病を持つ人々です。

法律で対象とされる障がい者の範囲は、
身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者(発達障がいを含む)に加え、
難病を持つ人々も含まれています。 

最近では、精神障がい者の雇用が増加しており、
精神障がいの手帳を取得しないで就職を目指していた人々も、
一般の就職をするよりも
配慮のある障がい者枠での就職を志望する傾向が見られているそうです。

このため、精神障がいや発達障がいを持つ人々が
就労移行支援事業所を利用するケースが増えています。 

「就労移行支援」と「就労継続支援」の違い 

「就労移行支援」と「就労継続支援」は似た名称の福祉サービスですが、対象者や期間に違いがあります。

就労移行支援は2年以内に一般企業への就職を目指すのに対し、
就労継続支援は利用期間の制限がなく、一般企業への就職が難しい人が対象です。
また、就労継続支援はA型とB型に分かれ、雇用契約の有無や年齢制限などが異なります。 

就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型
目的就職するために必要なスキルを身につける就労の機会の提供および生産活動の機会の提供 就労の機会の提供および生産活動の機会の提供 
対象者障がいのある人、難病のある人で、一般企業へ就職することを希望する人 一般企業での就労は難しいが、雇用契約を結んで働くことが可能な人 一般企業での就労が難しく、かつ、雇用契約を結んで働くのが難しい人 
雇用契約なしありなし
年齢制限18歳以上65歳未満 18歳以上65歳未満 18歳以上(条件により15歳以上も利用可) 
利用期間原則2年間以内 定めなし定めなし
給与基本なし(一部では場合によりあり) 給与が発生 工賃が発生 

「就労移行支援」と「ハローワーク」の違い

「ハローワーク」は、就職を考える人を支援する機関で、就業紹介や求職活動の支援を行います。
職業訓練を受けることも可能ですが、自己管理が必要です。 

一方、「就労移行支援」は、
就労準備性を整える訓練を受けられるプログラムで、
生活リズムや集中力を整えることができます。
総合的な支援を受けた後、ハローワークの協力を得て職業を探す方法が一般的です。 

就労移行支援事業所の主な訓練内容について

就労移行支援事業所では、2年間の訓練期間中に、
働くために必要な知識や能力を身につける職業訓練や企業実習などを行います。
この内容には、下記のようなものが含まれています。

身だしなみを整えること
就職するための生活リズムを整えること 
挨拶や、報告・連絡・相談をはじめとしたビジネスマナーの習得 
ソーシャルスキルやコミュニケーションスキルの向上 
自分自身への理解を深めること 
履歴書や職務経歴書の作成、および面接対策 

訓練内容は、就労移行支援事業所ごとに異なります
基礎体力や集中力向上を目指す所もあれば、
コミュニケーション能力や実務スキル向上を目指す所もあります。

産業構造の変化によりIT人材の需要が高まっており、
AIや機械学習、データサイエンスなどの分野を学ぶ支援も行われています。
障がい者の職域拡大のための様々な工夫が為されています。 

もし自社が障がい者雇用を進めたいけれど、
職種や仕事内容にマッチした人材が採用できないと感じている場合は、
複数の就労移行支援事業所を見学したり、話を聞いたりするとよい
かもしれません。

採用だけでなく「定着支援」も活用できる 

就労移行支援事業所は、障がい者が職場で定着するためのフォローを6カ月間行っています。
2018年(平成30)4月からは「就労定着支援」が追加され、
フォローの年限は3年から6カ月に変更されました。
一般就労後は、就労定着支援機関がフォローを引き継ぎます。 

就労移行支援と企業が連携するメリット

継続的な障がい者雇用が実現できる

就労移行支援とつながりを持つことで、継続的に安定した人材を採用することにもつながります。
利用者は2年間の訓練を受け、スキル向上だけでなく、安定した生活リズムを身につけます。
支援機関との関係性を築くことで、第三者的な視点からのトレーニングも受けられ、
求職者との適合度を高めることができます。 

自身の障がいを受け入れ、理解している方が多い 

就労移行支援事務所に通所している障がい者は、
事業所での訓練によって自身の障がい特性や対処方法を理解し、
受け入れができていることが多いと言えます。

障がい特性を障がい者側と企業側の双方で共通認識できることは、
雇用・定着のための第一歩となるでしょう。 

雇用後の定着支援をしてくれる 

就労移行支援は、雇用後の「定着支援」までをサポートしています。
障がいのある労働者が自身の特性を活かして働けているか、
就労環境に問題がないかを確認し、雇用定着に関するアドバイスを提供しています。

また、企業側が障がい者雇用に関する
相談や困難が発生した際の支援先として活用できるだけでなく、
他の支援機関や医療サービスとの連携もしやすくなります。 

おわりに

就労移行支援事業所は、企業にとって重要なビジネスパートナーとなり得ます。
企業が障がいのある人を採用し、雇用管理や人材育成をしていく上では、
障がいへの基礎知識・ノウハウがとても重要となるため、
適宜アドバイスをもらえた方が採用も定着もうまくいくはずです。

自社で雇用管理と人材育成を強化し、
就労移行支援事業所からのサポートを受けながら、
障がい者雇用の促進と戦力化を目指していくことがお勧めです。
ぜひ就労移行支援を通じた採用を検討してみてはいかがでしょうか。 

参考リンク

HRpro
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2291

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