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【採用担当者向け】障がいのある社員をテレワークで雇用した事例のご紹介 

はじめに

この数年でコロナ禍の影響を受けて、働き方が大きく変化してきました。
障がい者にとっても新しい働き方としてテレワークが注目されています。
通勤や移動、勤務時間に制約がある障がい者にとって、自宅での就労は大きなメリットとなります。

一方、障がい者がテレワークで働くためには、さまざまな準備や配慮が必要です。
本記事では実際にテレワークで障がい者を雇用している企業の取組みについてご紹介します。 

1.A社さんの取り組み:在宅勤務の環境整備の徹底

約65%の社員が在宅勤務。オフィスと同等の就業環境を実現しています。

取組みのポイント

①在宅勤務を前提とした採用・雇用 
在宅勤務となることを前提として、
採用面接や入社前のスキルチェックはすべてオンラインで実施しています。
採用が決まり研修が始まる前には、専用回線や使用するPCなどを会社が整え、
外出に困難を伴う障がいのある方が在宅で働くための万全の環境を用意
しています。 

②在宅勤務社員を支えるICTセンター 
テレワークの環境を万全に整えており、
本社に設置されているICT(情報通信技術)センターがその下支えをしています。
PCの設定やITインフラのトラブルが生じた場合、
電話やメールで連絡すると、常駐のスタッフがフォローします。

電話での操作指示やリモート操作で解決できない場合は、
代替機器をすぐに送るなど、迅速な対応ができる体制が整っています。 

③Teams(マイクロソフト)をフル活用 
遠隔だからこそ、社内の連携を重視し、
Teamsをフル活用して密なコミュニケーションを図っています

勤務時間内は常時接続とし、
朝礼・終礼はビデオ会議、業務開始・終了の際にはグループチャットに書き込み、
業務指示や連絡にもチャットのほか音声通話機能を使っています。

Teamsのオン・オフライン表示をリーダーが確認し、
終業後にオフライン表示とならない場合などには音声通話で連絡を取ります。 

2.B社さんの取り組み:業務の選定と適切なwebツール導入

B社さんは特例子会社を設置し、ウェブアクセシビリティ検査を主事業としています。
ITの力により、通勤が難しい身体障がい者や精神障がい者が完全在宅で働ける仕組みをつくることを目指し、
地元支援団体との提携による遠隔地雇用を実現しています。

取組みのポイント 

①テレワーク可能な業務としての 「ウェブアクセシビリティ検査」 

B社さんは、ウェブアクセシビリティ検査員の認定機関で、
障がい者が検査業務を担っていることを知りました。

また、たとえパソコン全般が得意でなくても、
特定のスキルを持っていれば検査ができることも分かり、業務に可能性を見出しました


B社さんはIT企業であるため、自社スタッフによる技術指導が可能なことや、
検査に一定の需要が見込まれることもあり、テレワークの主業務として採用に至りました。 

②目的に応じたウェブツールの使い分け 

遠隔地の在宅勤務社員との密なコミュニケーションのため、
さまざまなウェブツールを使い分けています

カスタマイズができることや、外出先でも対応できるよう、
スマホアプリが利用できるツールが選択のポイントとなりました。
勤怠管理には、PCのオン・オフをログで確認できる仕組みを使用し、
情報共有のための掲示板や日報は、情報を一元管理、
全体の進捗を「見える化」によって共有できるツールを使用しています。
それらを用いて1日の振り返りや翌日のフォローにつなげています。

ミーティングやチャットには、
色別のステータス表示で個々の状況が確認でき、
体調や業務面の悩みなどの変化に気づくことができることから 、
Teams( マイクロソフト)を使用しています。 

3.C社さんの取り組み:障がい者就労支援センターの活用

C社さんは特例子会社を設置し、
その特例子会社では障がいのある社員の約半数を知的障がい者が占めているそうです。 

取り組みのポイント

①障がい者雇用を応援する支援機関の活用 
C社さんは設立時から障がい者雇用を応援する支援機関を活用しています。
サポートは「障がい者就労支援センター」が行っています。 

②障がい者就労支援機関とは 
就労支援、職場定着支援や生活支援といった継続的な支援を行い、
障がいのある人の社会参加と自立の促進を図っています。
一方、企業に対しても、雇用相談や定着支援のほか、
障がい者雇用に関するレクチャーやジョブコーチの派遣など多方面からの支援に取り組んでいます。 

③障がい者就労支援センターによる企業への支援ーC社さんへの場合 
まずは、会社を訪問し、雇い入れ側のマインドづくりをレクチャーしました。
次にセンターを視察していただき、職業訓練の様子などを見て、
障がいのある人と働くというのはどういうことか、イメージしてもらいました。

業務の切り出しについては、同社にはすでに想定する業務があったので、
それをどのように作業するか、手順や作業マニュアルなどについてアドバイスしました。
マニュアルには文字と記号や絵を併用するなど、表現の工夫についても提案しています。

おわりに

在宅で働きたいと思っている障がい者は潜在的に大勢いるのではないでしょうか。
特に外出が難しい重度障がい者は就職支援の窓口に行くことも難しい状況にあります。

一方、企業側は、コロナ禍の影響でテレワーク化が進み、
障がい者雇用の受け皿としても環境整備が進んでいます。

通勤就労よりもテレワークの方が障がい者にとって負担が少なく、
能力を発揮し安定的に働くことが可能だと思います。
障がい者を雇用したい企業と働きたい障がい者を結びつけるための解決策の一つは、
テレワークという働き方ではないでしょうか。 

参考資料

障がい者の新しい働き方事例集(令和3年)東京都産業労働局
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shogai/shien/202103_atarashiihatarakikatajireishu.pdf