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【採用担当者向け】障がいのある社員への「テレワーク導入」について詳しく解説します!

はじめに

障がい者を雇用する際、テレワークを導入することは、
就労を目指す障がい者と企業の双方にとってメリットがあります。

障がい者が働きたいと思っても、状況が難しい場合もありますが、
テレワークを導入することで、物理的・精神的なハードルが下がります。

また企業も、職場環境を大きく変えることなく、障がい者を受け入れることができます。
テレワークの導入により、障がいの有無にかかわらず、社会参加を促進することが可能になるのです。

今回は障がい者をテレワークという形で雇用した際についてQ&A方式で解説します。

Q. 障がい者を対象にしたテレワーク導入のメリットとは? 

A. 障がい者をテレワークで雇用する大きなメリットは、優秀な人材の確保が出来ることです。

会社のスペースや設備が不十分なために雇用できなかった身体障がいのある人、
能力はあっても通勤電車が苦手な精神障がいのある人や、
職場の光源、雑音、温度湿度に負担感がある発達障がいのある人といった、
これまで採用できなかった人々を採用ターゲットにすることができます。

また、本人の特性に見合った作業環境を、
本人の意向に沿って整えることで環境からの負荷を軽減できるので、
業務効率が改善されるといったメリットがあります。 

Q. テレワークに適した業務の切り出しができずに困っています。

A. 既存の業務工程にテレワークに適した作業がない場合は、新たな業務を創出することを考えてみましょう。

例えば、紙で保管されている資料をスキャニングして電子保存を行う業務を創出します。
出社時にスキャニングをし、テレワーク時にデータ整理を行うなどの効率的な業務を創出することができます。
また、業務を細分化することで、新しい作業の可能性を見つけることもできます。
一連の業務を柔軟に考えることで、業務創出が可能になります。

Q. 障がいのある社員にもテレワークを行ってほしいのですが、
自宅だと支援員がいないため問題なく業務を遂行できるか不安です。 

A. まず、なぜ支援員がいないと不安なのか原因を考えましょう。
その原因に対する解決手段を実行すれば、テレワークへの不安が少なくなっていきます。 

(例1)本人の業務理解が不安
支援員が不在でも業務を独力で遂行できるよう、
図解を交えた分かりやすい業務マニュアルを作成することが重要です。
障がいのある社員と協力して作成することが望ましいです。 

(例2)本人の業務進捗が不安
日報や作業チェックリストや成果物を提出させることで進捗を把握できます。 

(例3)本人が急に倒れたりしないか不安
家族との連携や支援機関と情報共有をすることで、
体調変化のサインを理解し、急な体調不良の予防につなげましょう。 

(例4)コミュニケーションが不安
日報や体調管理表を活用したり、健康状態を報告してもらうなどし、
毎日必ずコミュニケーションを取る仕組みづくりをしましょう。 

Q. テレワークを実施する社員の体調管理の方法は? 

A. 始業時や終業時のメール等による報告や、
体調管理アプリの活用等により体調把握を行っている企業が多いようです。

テレワークでは、オフィスとは異なる環境のため仕事に没頭してしまい、
肩こりや腰痛、運動不足等による身体面の不調から
精神面に悪影響が出てしまうケースが少なくありません。 

そのため、テレワークでは必要に応じて体調管理表等を用いて、
始業時や終業時に障がいのある社員と管理者で
記入内容をチェックしながら体調確認を行いましょう。

睡眠、食事や疲労感等のチェック項目に大きな変動が続いたら、
状況に応じて本人と相談しながら、こまめな休憩を促す、
業務量を調整する、受診や休暇を勧める、といったサポートを検討してください。
また、家族や支援機関との連携も大切です。 

Q. テレワークによるコミュニケーション不足や孤独感を解消する方法は?

A. テレワークの場合、社内との繋がりが希薄になり、孤独感や疎外感を感じることがあります。

対策としては、Web会議の際や本人から質問があった際に雑談を織り交ぜてみたり、
週毎に設定したテーマを気楽に話せる場を設けたりするなど、
コミュニケーションを維持する工夫をすると良いでしょう。

また、業務日報に気持ちを入力して共有することや、
障がい者が利用しやすいWeb会議システム、チャット、メール、電話等を活用し、
全社的に意識的にコミュニケーションを行うことも大切です。

Q. 既に雇用している障がいのある社員に、テレワークを導入する際のポイントは? 

A. テレワーク環境の活用を基本にして、本人の特性や希望、配慮事項を考慮しながら、
新たに必要な機器やルールの有無を検討した上で進めることが大切です。


在宅勤務の頻度は完全在宅である必要はなく、柔軟に働き方を検討しましょう。
天候に左右されやすい社員は、雨の日だけテレワークをする方法や
BCP対策(企業が緊急事態時に事業継続するための手段を決めておく計画:災害や新型ウイルスの流行などに備えること)として活用する方法もあります。

Q. どのような障がい特性の方がテレワークに向いていますか? 

A. 個人によって能力等が異なるため、一概に特性のみで判断することはできません

ただし、一般的にテレワークを行うには次のスキルや環境が必要とされています。
この条件をクリアできると判断した方には、テレワークを行っても問題ないと考えられます。 

自己管理や状況報告ができること
体調が不安定な時や集中力が続かない時には、
自分の状態を正確に把握し、報告することが重要です。
作業品質を維持するためには、自己管理が欠かせません。 

・仕事とプライベートを分けられること
特に自宅でテレワークを行う場合は、仕事とプライベートの境界が曖昧になり、
必要以上に仕事を行うことで精神的に不安定になる人もいます。 

・積極的に自分の考えを発信できること
自分から質問を行い、問題に気が付き相談できる人でないと、業務が進まない場合もあります。 

おわりに

障がい者を雇い入れた後が本当のスタートです。
スキルの面で業務遂行に滞りがないか、体調管理に支障がないか、
コミュニケーションで不安を抱えていないかなど、
企業側はさまざまな課題を解決しながら、従業員と信頼関係を築いたり、
適切なサポートの提供を行ったり、定着化への継続的なフォローをすることが重要となります。

参考リンク

公益財団法人 東京しごと財団 

https://www.shigotozaidan.or.jp/shkn/company/documents/telework_jireisyuu.pdf