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【知って労わろう❤こころとからだ】企業における熱中症対策が義務化へ~今年もしっかり熱中症対策!~

はじめに

気象庁によると、2025年の夏(6月~8月)の気温は例年に比べて全国的に高い予想だそうです。

毎年、夏の最高気温が更新し続けているようですが、全国各地で猛暑日になる日も増えて驚異的な暑さに見舞われるようになると、心配なのが熱中症ですね。

熱中症とは、高温多湿な環境で体温調節がうまく機能しなくなり、体内に熱がこもる状態のことです。

屋外だけでなく、室内で何もしていない時でも発症する可能性があり、重症化すると最悪の場合、死に至ることもあります。

企業の熱中症対策が2025年6月1日施行に

職場の熱中症対策を強化する目的で労働安全衛生規則が改正され、2025年6月1日に施行されました。

熱中症対策は全ての企業に義務づけられているわけではなく、特定の条件を満たす作業を行う企業に対して義務付けられ、WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間以上の作業を行う企業が義務化の対象となります。

さらに熱中症の自覚症状がある人や熱中症のおそれがある人を見つけた場合の連絡体制の整備や、体を冷やして医療機関に搬送するなど、重症化を防ぐ手順を定めてマニュアル化することが義務付けられました。

熱中症の恐れのある労働者を把握した場合

(1)作業からの離脱

(2)身体の冷却

(3)必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること

(4)事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先・所在地などを定め周知すること

主に工事作業のような屋外での作業をする仕事の場合、該当する可能性が高いようです。対策を怠った場合は、6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

このように政府も積極的に熱中症対策を強化しており、昨年(2024年)4月からは熱中症警戒アラートよりもさらに厳しい状態を指す「熱中症特別警戒アラート」の運用も始まりました。

熱中症特別警戒アラートとは?

「熱中症特別警戒アラート」とは、危険な暑さが予想され、健康に関わる重大な被害が生じる恐れがある場合に熱中症への警戒を呼びかけるものです。

熱中症特別警戒アラートは都道府県内のすべての暑さ指数(WBGT)情報提供地点において、翌日の日中最高暑さ指数が35以上となることが予測される場合に発表されます。
環境省の「熱中症予防情報サイト」内「熱中症警戒アラート等のメール配信サービス」「環境省LINE公式アカウント」にて、熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒アラートの発表の通知(無料)を受け取ることができます。

熱中症特別警戒アラート発表時の対策

  • ・適切にエアコンを使用する
  • ・こまめに水分・塩分の補給をする
  • ・外出はできるだけ控え、暑さを避ける
  • ・激しい運動や外での活動は避ける
  • ・冷房が効いた公共施設や民間施設の「クーリングシェルター」を利用する
  • ・暑さ指数(WBGT)を環境省熱中症予防情報サイトでチェック
  • ・高齢者や子供など、熱中症になりやすい人に声をかけ、注意を促す

熱中症の症状とは?

熱中症の症状はさまざまですが、主要症状は以下の通りです。

初期症状とみられる場合は、まずは冷房が効いている室内や風通しの良い日陰など、涼しい場所に避難して横になりましょう。衣服をゆるめて首の周りや脇の下、足の付け根などを冷やして体温を下げ、

さらに水分や塩分、経口補水液をしっかりと補給することも忘れずに行います。

そして上記の応急処置をしても改善しない場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

さらに自力で水分補給ができなかったり、意識がはっきりしていても発汗が少なく体温が高い場合や呼びかけに応答しないような重度の熱中症を疑う場合は、迷わず救急車を呼び、医療機関を受診しましょう。

私たちができる熱中症対策

熱中症は正しい知識と予防方法を知ることで防ぐことができます。

初夏や梅雨明け、夏休み明けなど、体がまだ暑さに慣れていないような時期に気温が急上昇する時や、涼しい屋内から暑い屋外へ行き来する時、汗が蒸発しにくい高温多湿の環境下では、特に熱中症に気を付けましょう。無理をせずに徐々に体を暑さに慣らすことがとても重要です。

こまめな水分補給を

喉が渇く前に、こまめに水分をとることが大切です。

熱中症の予防には経口補水液やミネラル入り麦茶がおすすめです。スポーツドリンクなどの塩分や糖分を含む飲料は水分の吸収をスムーズにし、汗で失われた塩分の補給にも役立ちますが、スポーツドリンクを一時的に多く飲むこと自体に問題はありませんが、習慣的に大量に摂取すると肥満や糖尿病のリスクが高まる可能性があります。

他にもカフェインが入っている飲料は利尿作用があり、体内の水分が多く排出されてしまいますので、暑い時期は飲みすぎに注意しましょう。

暑さに負けない丈夫な体づくり

暑くなり始める前の時期から、適度な運動を行って体を暑さに慣らしましょう。

暑さに負けない強い体を作ることを「暑熱順化」といい、約2週間ほどの適度な運動を続ける事で体が暑さに順化していきます。運動をすると体温調節機能が向上して暑さに対する耐性が高まり、筋肉を鍛えることによって、体力も向上します。

また、お身体の状態的に運動が難しい方には毎日の入浴がおすすめです。

毎日40℃程度の湯船に10分~15分浸かり、しっかりと汗をかくようにすると、運動による暑熱順化同様の効果が得られます。

しっかり栄養補給

暑さに負けない体を作るためには、バランスの良い食事と規則正しい生活が大切です。この時期は炭水化物や糖分などエネルギーの源となる栄養素を積極的にとるようにしましょう。

特にビタミンB1は糖質の代謝を助け、体内でエネルギーを効率的に生成する上で重要な役割を果たします。ビタミンB1を含む食べ物は豚肉、納豆、うなぎ、ぬか漬け、モロヘイヤなどです。

室温をしっかり管理する

冷房や扇風機で室内の温度をしっかりと調節し、風通しを良くしましょう。また湿度が高いと体感温度も高くなるため、除湿にも気を配り、涼しく快適な室温管理をすることが大切です。

暑くなる時期は遮光カーテンやすだれを使用して部屋に日差しが入らないようにすると、室温の上昇をおさえることができます。また扇風機やサーキュレーターを冷房と併せて使用すると体感温度が下がり、さらに室温のムラを解消して冷房の効率を上げることができます。

定期的なエアコンのフィルター掃除や室外機に日が当たらないよう日よけ対策をすることも冷房の効率を上げ、節電にもつながっていきます。

熱中症は重症化すると命に係わる危険な病気です。室内にいるからと言っても、高温多湿の環境下では熱中症のリスクは高まるばかりで全く安心はできないのです。そして、この時期の過度な節電は健康被害を生み出す要因にしかなりかねません。

暑さを我慢することなく、昼夜過ごしやすい室内温度を保てるように心がけましょう。

日差しを避けて、衣服の工夫を

日差しの強い日は日傘や帽子を着用して直射日光を避け、日陰を歩くようにしましょう。木陰があると風通しがよくなるため、熱中症対策にも役立ちます。

衣服は体の熱を逃がしやすい吸汗・速乾素材や通気性のよいもの、襟元がゆるく全体的にゆったりとしたものを着用しましょう。

冷却グッズを活用しよう

冷却シートやネッククーラー、保冷剤が入れられるスカーフなど、体を冷やすアイテムを上手に活用して、体温が上がり過ぎないように工夫しましょう。また、寝不足は熱中症のリスクを高める可能性があるため、冷感寝具や氷枕などを活用して夜の寝苦しさを軽減して、暑さで疲れた身体をしっかり休ませましょう。

体を効率よく冷やすためには、首元など太い血管が表面近くを通る部分を冷やすことが効果的です。

ただし、首元を過度に冷やしすぎると肩こりにつながるため、注意しましょう。

おわりに

近年、日本では「これまでに経験したことのない暑さ」と毎年言われるような酷暑に見舞われ、熱中症による救急搬送者数も増加しています。

外出時に体調に異変を感じ、熱中症かも?と思った時、水分補給したくてもすぐ近くにお店がなかったり、自販機がない場合もあります。出かける時は水筒などでいつも飲み物を持ち歩き、こまめに水分補給できるようにしましょう。

熱中症は誰にでも起こりうる身近な危険です。事前の対策と正しい知識で、今年の暑さを乗り切りましょう!