近年、企業の社会的責任(CSR)への関心の高まりを背景に、
障がい者の雇用に取り組む企業が増加しています。
厚生労働省が2009年に策定した「障害者雇用対策基本方針」でも
障がい者雇用率上昇の要因の一つにCSRへの関心の高まりが挙げられています。
しかし、企業規模で見てみると中小企業ではまだ低い水準であるのが現状です。
これらを踏まえ、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が、
障がい者雇用を進めるにあたり、不安を抱えている事業主のために
「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」を作成し、公表しました。
本記事ではその資料の一部を抜粋し、
障がい者雇用の経験がない、これから障がい者雇用を進めたいという事業主の方へ、
障がい者雇用の基礎知識についてQ&A方式で解説いたします。
障がい者を雇用することにはさまざまなメリットがあります。
障がい者本人が戦力として活躍しているというだけでなく、
企業全体の職場環境の改善や、業務効率化につながったという声が上がりました。
A. 障がい者はさまざまな分野で活動しています。
障がい者雇用の経験がない企業にとっては、
障がい者が働いている姿をイメージするのは難しいかもしれませんが、
さまざまな障害を持つ人が企業で活躍しています。
最近では、知的障がい者や精神障がい者の就職数も増えています。
従事している仕事はシステムエンジニアなどの専門職、
事務、販売、製造など多岐にわたり、
企業の中にあるほとんどの職種で雇用されています。
A. 事業主には障がい者雇用の義務があります。
障がい者の雇用の促進等に関する法律では、
事業主に常時雇用している労働者の数に法定雇用率
(令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%と段階的に引き上げることとしています)を
乗じて得た数以上の障がい者を雇用することを義務づけています。
義務を履行しない場合は
「雇入れ計画作成命令」などの行政指導を受けることとなります。
A.常時雇用している労働者の総数が100人を超える事業主は障がい者雇用納付金の申告が必要です。
障がい者の雇用義務のある企業が法定雇用率を下回っている場合、
本来雇用されるべき障がい者数に対して足りない人数1人につき
月額50,000円の「障害者雇用納付金」の納付が必要です。
A. 障がい者を雇用している企業の見学などで、
実際に障がい者が働く姿を見てみるとよいかもしれません。
また、独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のHPから
事例などの情報を得ることもできます。
A. 障がい者雇用は企業経営の中で積極的に取り組むべき重要な要素となっています。
また、障がい者雇用を進めるためには、経営者の姿勢が重要です。
企業経営者が障がい者雇用を推進することで、社員の理解が進みます。
障がい者雇用を進めるためには、
経営者、人事担当者、受入部署の社員が共通認識を持ち、
コミュニケーションをとりながら役割を果たす必要があります。
また、社内会議において障がい者雇用の必要性、
企業の障がい者雇用の現状などを具体的に示していくことも必要です。
採用計画が決まっている場合は、併せて提示します。
さらに社員向けの障がい者雇用に関する研修会を開催し、周知を図ります。
今回は障がい者雇用の基礎知識についてご紹介しました。
次は採用する際の困りごとなどについて解説します。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003kesx.html#1
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