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障がい者雇用の採用担当者の困りごとQ&A(2)~導入・コミュニケーションの取り方・事例の紹介~ 

はじめに

前回の記事に引き続き、
障がい者採用担当者の方が感じる困りごとについて、
Q&A方式で事例を交えてご紹介いたします。

前回の記事はこちらからご覧ください。
障がい者雇用の採用担当者の困りごとQ&A(1) ~導入・コミュニケーションの取り方・事例の紹介~ 

Q.障がい者の方で話すのが苦手な人がいる場合、
どのようにコミュニケーションをとったらよいですか? 

A.障がいがあるからといって特別扱いをするのではなく、他の従業員と同じように接してください。 

具体的な内容

知的障がいのある方は、言葉が出にくいことや、
質問の意味が理解しにくいことから、話すことが苦手な場合があります。
しかし、簡単な言葉や短いセンテンス、YES/NOで答えられる質問に言い換えることで、
本人の気持ちを伝えることができる場合もあります。

環境に慣れると、自ら積極的に話すことができるようになることも多いようです。
精神障がいや発達障がいのある方は、対人関係が苦手で緊張したり疲れやすいことがあります。
会話が一方的だったり、こだわりが強かったりする傾向もあります。
周囲は障がいの特性を理解しながら接することが大切です。 

事例紹介

A社は、Nさん(男性:知的障がい)を雇用する際に、
初めての障がい者雇用ということで、担当者の不安が大きかったそうです。
一般の従業員でも定着率の良くない厳しい作業であるため、
障がいのある人にできるのかという不安がありました。 

しかし、トライワーク(短期職場実習)を通じて、Nさんは毎日きちんと出勤し、
真面目に作業をこなす姿勢が評価され、雇用されることとなりました。

言葉でのコミュニケーションが苦手なNさんに対し、カードを使ったやりとりを実践し、
現場のスタッフともコミュニケーションが取れるようになりました。
また、Nさんの能力をしっかり評価したことで、
彼は更に力を発揮することができるようになりました。

A社の担当者は、障がいのある人も配慮があれば働けるとし、
障がいのある人にとって働きやすい職場環境は他の従業員にとっても働きやすく、
会社のメリットになると話されたそうです。 

Q.以前に障がい者を雇用しましたが、すぐに辞めてしまいました。
採用しても長続きするか心配です。 

A.障がい者の受け入れにあたっては、
経営者だけ、あるいは、現場の部署だけで考えるのではなく、
人事担当課や関係する他の部署とも十分話し合って、
疑問点を解消していくと良いとされています。
社内の複数の関係者を構成メンバーとする支援チームを作り、
チーム全体で本人を支援する方法を考えるのも効果的です。 

Q.障がい者の賃金はいくらにしたらいいですか?

A.給与は、就業規則や給与規程に基づき公正に支給するのが原則です。 

具体的な内容について

給与体系を新たに定める際には、他の従業者とのバランスを考慮し、透明性があり、
事業所・労働者双方にとって納得のいく設定ができるよう話し合うことが重要です。
お困りの場合はハローワークに相談することができます。
障がい者を雇用する場合も、一般の労働者と同様に最低賃金法の適用を受けます。 

仕事に慣れるまでに一定の期間が必要な場合、
最低賃金の減額の特例許可を申請するケースもありますが、
障がいがあるだけでは許可されません。
障がいが業務に支障を与え、その程度が著しい場合に限られます。
詳細は、最寄りの労働基準監督署にお問い合わせください。 

Q.言動や行動に障がいの疑いのある社員がいるのですが

A.障がい者雇用に関する支援実績の豊富な支援機関に相談することをお勧めします。  

具体的な内容について

障がいを自覚せずに就職している人や適切な支援を受けられないまま就労している人もいます。
障がいがあることを公にせずに就労する場合もあります。
障がいがあることで職務遂行に支障がある場合は、
障がい者職業センターなどの支援機関に相談すると良いでしょう。 

Q.仕事中に本人が混乱してしまうことはないのでしょうか 

A.困ったときにはすぐ支援機関に相談できるよう普段から関係づくりをしておくことが重要です。
また、採用時にはどのような環境で混乱が起きやすいかを十分聞いておくことが大切です。  

具体的な内容について

混乱が起こる原因は、必ずしも障がいだけが原因ではなく、
就業時間の長さや仕事内容の変更、責任の重さなどさまざまです。
ストレスを感じる時は、混乱の引き金となる原因を見つけて対処することが重要です。
本人が負担を抱え込んでいないか、普段から気を配ることも大切です。 

事例紹介

職場の同僚との不適応について、
高次脳機能障がいを持つ人が仕事の手順を覚えられず、
同僚から「仕事が覚えられない」「フォローが大変だ」
「注意すると逆切れする(高次脳機能障がいの特徴です)」だという声が上がっていました。
そこで現場責任者が作業手順を書いたカードを渡した際、
本人が怒り出して破り捨てる出来事があったそうです。 

しかし、事業主との相談を経て、少しずつ仕事を覚えていることを理解し、
彼にできる範囲の仕事を任せることで負担を軽減することができました。
本人はまだ怒ることがあるそうですが、
障がいの特性を理解した上で協力する雰囲気が職場内に広がっているとのことです。  

雇用以外の障がい者支援について

ここまで障がい者雇用の困りごとQ&Aをご紹介しましたが、
実は雇用以外の支援も可能です。 

障がい者の働く障がい福祉サービス事業所では、
部品の組立作業やシール貼り、封入・梱包作業、建物清掃などの軽作業を受注しています。
これにより、障がい者が働く機会を提供し、社会参加を促進できます
障がい者は能力やニーズに合わせた作業を通じて、自己成長や自己実現をしています。 

障がい福祉サービス事業所が企業から作業を請け負う場合、
福祉施設内での作業だけでなく、企業内での作業も可能です。


企業に出向いて作業を行うことで、障がい者のモチベーション向上にもつながります。
一般企業の職場での経験が、障がい者の一般就労に近い働き方を実現するのです。

おわりに

初めて障がい者を雇用する場合、さまざまな不安があると思いますが、
同じ人と人とのコミュニケーションであるということを
念頭に置いていただきたく思います。

障がいの特性を理解したり、本人とのコミュニケーションを円滑に進める工夫など、
企業側の受け入れ態勢は、障がい者の安定した就労にとって重要な要素です。

設備には高齢・障害者雇用支援機構の助成制度を活用することもできますので、
どのような支援機関があるのかを調べておくのもよいと思います。

今回は滋賀県の事例を引用させていただき、ご紹介しました。

滋賀県ホームページ 
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/1000739.pdf

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