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障がい者雇用に関する各国の取り組み|特色ある雇用制度の違いについて

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はじめに

日本では、2024年4月から障がい者の法定雇用率が段階的に引き上げられ、
2026年7月には2.7%になります。
今回は障がい者雇用に関する各国の取り組みについてご紹介いたします。

障がい者の雇用義務に関する各国の違い

各国が「障害者権利条約」に基づき、法整備や制度構築を進めています。
日本では障害者雇用促進法により法定雇用率が義務付けられており、
ドイツやフランス、韓国などでも同様の制度が採用されています。

一方、アメリカやイギリス、スウェーデンでは法定雇用率制度は採用されておらず、
「雇用義務が差別につながる」との考えから、
本人の特性や個性を尊重し、支援や分担による補完で対応しています。

各国の制度の特色について

ドイツ

ドイツでは、従業員が20人以上の企業に対し、
全従業員の5%に該当する障害者の雇用を求める制度を設けています。

日本の障害者雇用制度は、ドイツの制度をもとに設計されています。
例えば民間企業から納付金を徴収し、
それを原資として障害者雇用を実施する企業へ給付金を支給する制度です。
企業にとっても障害者にとってもプラスとなる制度を採用しています。

参考リンク
厚生労働省 フランスおよびドイツの障害者雇用促進制度について
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000194949.pdf

フランス

フランスでは従業員20人以上の企業に対し、
全従業員の6%に該当する障害者の雇用を義務付けています。
この障害者雇用率は世界トップクラスです。

また、3年以上にわたり納付金以外の方法で雇用義務を果たしていない企業に対しては
法定最低賃金時給の1,500倍の納付金が課せられるなど、
法定雇用率を達成できていない企業にとって、厳しい罰則も設けられています。

参考リンク
厚生労働省 フランスおよびドイツの障害者雇用促進制度について
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000194949.pdf

韓国

韓国の障害者雇用率制度は、
従業員50人以上の事業所ごとに、従業員の5%以上の障害者を雇用することが定められています。
日本の障害者雇用促進法を参考にしており、類似点が多く見られます。
例えば、法定雇用率に満たない事業者へ障害者雇用負担金の納付を義務付ける制度や、
特例子会社と同様に子会社の障害雇用人数を親会社にカウントできる制度などがあります。

参考リンク
独立行政法人 労働政策研究・研修機構:障害者の雇用促進のための制度改革
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2012_9/korea_01.html

アメリカ

アメリカには障害者雇用率の制度が存在しません。
障害者雇用に対しての配慮は、「障害をもつアメリカ人法」(ADA)がその役割を担っています。
ADAでは、障害者差別によって雇用機会を奪うことを禁止しており、
障害者が利用や労働がしやすいよう、施設環境を整えることを定めています。

しかし、障害者雇用に関する法律や支援制度などは特に存在せず、
具体的な施策や法整備は各州がそれぞれ決定しているのが現状だそうです。
働くことが難しい障害者に対しては、
雇用支援サービスに「メインストリーム雇用サービス」という労働省の援助で実施されるものや、
財源を連邦政府が負担している職業リハビリテーションなどがあります。

参考リンク
18カ国における障害者雇用政策
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/other/z00011/z0001110.html#1_01_04

厚生労働省 アメリカにおける「合理的配慮」について
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/s0402-4e.html

イギリス

イギリスには日本と同じように障害者雇用を割り当てる法律がありましたが、
その制度がうまく機能しなかったため、
1995年に「障害者差別禁止法 (DDA法)」が制定され、
法定雇用率制度や障害者登録制度などが廃止されました。

法定雇用率の達成が努力義務であったため、達成を目指す事業者がほとんどいなかったことなどが理由です。
実際には障害者関連の給付金や、給付受給者を有期雇用へ移行させるプログラムなどを通して
障害者雇用をサポートする雇用対策が取られています。

このほか、地方自治体や民間団体のワークショップで保護雇用された障害者が
民間企業などに派遣されて働く「援助付き就業」という制度が活用されています。

参考リンク
海外情報-イギリスの障害者雇用支援の近年の動向 「新ノーマライゼーション」2020年2月号
https://www.dinf.ne.jp/d/0/324.html

スウェーデン

スウェーデンの雇用政策は、障害者の就労を支援するために
雇用補助金や自治体などの公共部門での保護雇用プログラムを提供しています。

特に注目されているのが国営企業「サムハル」で、
障害者が民間企業に進むためのステップアップを目指し、全国300の地域に800の作業所を持っています。

サムハルでは働くことで就労スキルや生産性を向上させ、一般企業での就労を目指します。
また、サムハルは障がい者に年金を支給するだけでなく、
働いて納税することで社会保障のコスト低減を図っています。

参考リンク
厚生労働省資料 欧州地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(スウェーデン)PDF
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/17/dl/t3-05.pdf

おわりに

国の歩んできた歴史による、福祉と経済活動に関する考え方に基づいて、
障がい者の能力の活用や社会参加に対する考え方にも違いがあるようです。

一概にどの国の制度が良いというものではなく、それぞれに一長一短はありますが、
各国の違いを知ることで、雇用制度に対する理解と関心を深めることができたのではないでしょうか。

各国の障がい者雇用制度は異なり、
障がい者を区別せずに個性や特性を尊重し、様々な視点で雇用を促進していることが分かりました。