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【知って労わろう❤こころとからだ】風邪やインフルエンザが流行る冬🤧~免疫力を高めて感染症に負けない体づくりを!~

はじめに

冬は乾燥と低い外気温の影響でウイルスが生存しやすく、インフルエンザや風邪などの感染症が流行しやすい季節です。手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な生活習慣に加えて、体調を崩しやすい冬の時期には、免疫力を高めることも非常に大切です。今回は様々な感染症に対抗するために、免疫力を向上させる方法について解説いたします。

冬に感染症が流行る理由

空気の乾燥と低い気温

低温・低湿度を好むウイルスにとって、冬は最適な環境です。咳やくしゃみから出る「飛沫」にはウイルスが含まれていますが、このウイルスの水分は乾燥と寒さによって蒸発すると比重が軽くなるため、ウイルスは空気中を浮遊しやすい状態になります。すると、水分が抜けて非常に軽くなったウイルスは「飛沫核(エアロゾル)」となって長時間空気中を漂うことができるようになるため、これがウイルスの拡散につながってしまいます。

さらに、インフルエンザや新型コロナなどのウイルスは、ウイルスの粒子を保護する脂質の膜「エンベロープ」を持つタイプのウイルスで、この脂質の膜は冷たい環境下で「油が固まる」ように硬化してウイルス粒子の安定性を高めるため、冬場の寒い時期ほど長く生存しやすく、高い感染力を維持することから、冬場の季節性感染症が流行する要因の一つであるとされています。

また、空気の乾燥は気管支粘膜のバリア機能を弱めるため、感染症へのリスクが高まります。

免疫力の低下

人間の体は寒さによって体の熱を奪われると体温が下がり、それによって基礎代謝機能が低下して免疫力も弱まるため、風邪や感染症にかかりやすくなります。また、冬場の寒さと空気の乾燥の影響から、鼻やのどの粘膜の機能(粘膜免疫)の働きが悪くなり、さらにウイルスや細菌などの異物を絡め取って体外へ排出する「繊毛(せんもう)運動」も鈍らせてしまうため、体の防御能力が低下し、感染症に対する抵抗力も弱まってしまいます。

※免疫については次章にて解説いたします。

短い日照時間

冬は日照時間が短くなるため、日光に当たることで生成される体内のビタミンDが不足しやすくなります。ビタミンDは免疫機能を調整する重要な役割を果たしており、不足すると免疫力が低下して、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかるリスクが高まります。

また、太陽光に含まれる紫外線にはウイルスを不活性化させる効果がありますが、冬の短い日照時間では紫外線量も少なくなるためその効果も軽減し、ウイルスが生存しやすい環境を作り出してしまうとも言われています。

免疫とは何か?

免疫は、体内に侵入したウイルスや細菌などの外敵から体を守るための防御機能です。

免疫システムは白血球や抗体が協力し、病原体そのものや病原体に感染した細胞、がん細胞などの異常を起こした細胞を見分けて攻撃・排除し、また、外部からの侵入者である病原体から身を守り、病気を治して健康を維持する働きを担っています。そのため、免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなったり、体調を崩しやすくなってしまいます。

ほぼすべての免疫細胞は骨髄にある造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)から生まれ、様々な種類に分かれて成長していきます。免疫の種類を大きく分けると下記の「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類になります。

自然免疫

生まれた時から体に備わっている免疫システムで、体内に異物が侵入した際、いち早く反応して攻撃・排除する、生体防御の最前線に位置する仕組みです。風邪をひいたときなど、薬を飲まなくても治るといった「自然治癒力」が発揮されるのはこの自然免疫の機能によるものです。自然免疫は、白血球の中でも特にマクロファージ、好中球、NK(ナチュラルキラー)細胞といった免疫細胞が中心となって機能します。

獲得免疫

後天的に体に備わる免疫システムのことで、過去の感染やワクチン接種を通じ、自然免疫から得た記憶を活用して「抗体」を作り、同じ抗原が再度侵入した際に迅速かつ強力に対抗します。感染時の症状を軽減したり、感染を防ぐ役割も果たすため、適応免疫とも呼ばれています。獲得免疫の主となる免疫細胞は、主に白血球の中のT細胞やB細胞などのリンパ球です。

自然免疫と獲得免疫は、人体が病原体と戦うための「ダブルディフェンス」として互いに密接に連携して働く免疫システムです。自然免疫は生まれながらに備わった、迅速かつ広範囲な「最初の防衛システム」として機能し、そして獲得免疫は自然免疫だけでは排除しきれなかった異物に対して、その病原体の情報の記憶をもとに特異的で強力な抗体を作って効率的に攻撃する「第二の防衛システム」として機能しており、これがワクチン接種の原理にもなっています。

免疫力は病原体を攻撃・排除して、健康な体を維持するために働きますが、免疫力が下がると、これらの防衛反応や抵抗力が弱まってしまいます。免疫力は加齢や生活習慣によって変化し、特にストレス、睡眠不足、不規則な食生活が続くと低下することがあります。次に日常生活の中で免疫力を維持・向上させるための方法についてご紹介いたします。

冬場に免疫力を向上させる方法

こまめな水分補給

水分補給を怠ると体内が乾燥し、免疫力が低下します。特に、ウイルスや病原体、花粉などの侵入を防ぐ粘膜免疫は、水分不足になると粘液が減少し、体外に異物を排出する「線毛運動」が十分に活動できなくなってしまいます。また、水分不足は血流の悪化を招くため、免疫細胞の働きが低下して全身への巡りが悪くなったり、水分が主成分であるリンパ液は水分不足になると働きが悪くなり、異物や老廃物の排出に影響が出てしまいます。そのため、日頃から十分な水分補給やうがいを心がけ、マスクの着用で喉を保湿し、室内では加湿器や濡れタオルを使用して空気の乾燥を防ぎましょう。

腸内環境を整えること

全身の免疫細胞の約7割は腸に集中しているといわれているため、腸内環境が整い、良好な状態を保つことが免疫力の向上につながります。免疫力を高め、感染症を予防するためにも、腸内環境の改善に善玉菌を増やすことが大切です。ヨーグルトや大豆製品、味噌、キムチなどの発酵食品は、善玉菌を増やす効果があります。さらに、善玉菌のエサとなる食物繊維もしっかりとりましょう。食物繊維は野菜や穀物、豆類に豊富に含まれています。こまめに水分補給をし、食事の際はよく噛んでゆっくり食べることで消化を助け、胃腸の負担を減らすことも大切です。

体を温めること

体の冷えは免疫力を低下させます。体温が1℃下がると、代謝が1~2割、免疫力が3割も低下するといわれているため、寒い日は体を冷やさないように衣服でしっかりと対策をしましょう。体を温めるには、皮膚が薄く太い血管が通っている首・手首・足首の「3つの首」を温めると全身に熱が巡るようになって血行も促進されるため、非常に効果的です。寒い時期はマフラーや手袋、レッグウォーマーや厚手の靴下の使用や、腹巻や保温性の高い機能性インナーの着用で全身の冷えを防ぐようにしましょう。また、忙しい日常の中でも、シャワーだけでなく、ゆっくりと湯船に浸かることも冷え対策には効果的です。さらに、食事や飲み物を通じて、体を内側から温めることも心がけましょう。

適度な運動

冬は寒くて家にこもりがちになると思いますが、適度な運動は免疫力を高めるのに効果的です。運動をすると血流が促進されて体温が上がり、リンパの流れも良くなるため、免疫細胞を活性化させることができるようになります。特にウォーキングなどの有酸素運動が効果的ですが、家の中でもできる簡単な筋トレも体温を上昇させる効果があるため、おすすめです。ただし、過度な運動は逆にストレスとなり、免疫細胞に悪影響を及ぼす可能性があるため、決して無理はしないようにしましょう。

ストレスの軽減

ストレスは免疫力を低下させる要因になります。ストレスは自律神経のバランスを崩し、免疫細胞の働きを抑制するコルチゾールなどのホルモンを過剰に分泌させることで免疫力を低下させます。冬場は日照時間の減少から「幸せホルモン」のセロトニンが不足しやすく、寒暖差や年末年始の忙しさ、感染症の流行など、ストレスの要因になるものが多く存在します。マイナス思考に陥りがちなときは、趣味や興味のあることなど、ご自身の好きなことに没頭する時間を持って気分転換を図ると、前向きな気持ちを保つことができます。また、忙しい時期でも精神的につらい時には決して無理をせず、しっかり休むことも大切ですね。

質の良い睡眠をとること

睡眠不足が続くと免疫細胞の働きが低下し、感染症にかかりやすくなります。研究によると、睡眠中は免疫細胞が活発になり、病原体と戦う能力が強化されるため、質の高い睡眠をとると風邪などの発症率が低下することが示されているそうです。また、眠りについてから2〜3時間後に分泌される成長ホルモンは免疫力とも深く関わっており、この成長ホルモンは細胞の修復や体全体の疲労を回復させる働きがあることが分かっています。

睡眠の質を向上させるためには、朝は決まった時間に起きて太陽の光を浴び、体内時計をリセットさせること、食事は睡眠の3時間前までに済ませ、デジタルデバイスの使用を避けること、湯船に浸かってリラックスすることや適度な運動を取り入れることなどが効果的です。

おわりに

冬は寒さと乾燥によって免疫力が低下しやすく、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの季節性感染症が流行しやすい時期です。そして身体の冷えによる血行不良や生活習慣の乱れと睡眠不足、ストレスの蓄積がさらなる免疫力低下を招いてしまいます。

このような状況下でも免疫力を高めるためには、睡眠時間をしっかりと確保し、規則正しい生活リズムを保ち、健康の基本要素「食事・運動・睡眠」をバランス良く取り入れることが大切です。今回ご紹介した免疫力アップの方法を日々の生活に取り入れていただき、感染症を遠ざけて、寒い冬も元気な心と身体で乗り切りましょう😀。