
日本人の4人に1人が頭痛に悩んでいるという調査結果があるほど、実に多くの方が頭痛に悩まされています。頭痛に悩む方の比率は特に女性が多く、片頭痛や緊張型頭痛が一般的には知られていますが、重大な病気につながる頭痛とそうでない頭痛など、一概に頭痛とはいっても様々なタイプがあります。
頭痛がすると仕事にも大きな支障がでますよね😣。頭痛にはそれぞれに異なる原因や症状があります。自分がどの頭痛タイプに該当するのかを知り、ご自身の対処法を見つけてみてはいかがでしょうか。
今回は頭痛の原因や予防・対処法について解説いたします。
頭痛は脳そのものが痛むわけではなく、頭部のさまざまな組織(骨膜、硬膜、頭皮、脳につながる神経や血管、筋肉など)が圧迫や炎症によって刺激を受けることで発症します。
頭痛にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると下記の二つに分類されます。
①一次性頭痛
脳そのものには異常がなく、原因となる病気や怪我がなくても起こる頭痛
②二次性頭痛
命に関わるレベルの深刻な疾患や怪我が原因で引き起こされる頭痛
片頭痛
こめかみから目にかけて片側を中心に脈打つような痛みが特徴で、両側や後頭部にも広がることがあります。時には吐き気や嘔吐を伴うことがあり、光や音に対して敏感になることもあります。片頭痛の発症にはストレスやその解放、寝不足や寝すぎ、女性ホルモンの変化(特に月経周期)、天候や気圧の変化、空腹、肩こり、アルコールの摂取など、さまざまな要因があります。
緊張型頭痛
一次性頭痛の中でも特に多いタイプです。この頭痛は両側の後頭部から首すじにかけて、重苦しい感じや締めつけられるような痛みを伴います。原因としては同じ姿勢を長時間続けることによる身体的ストレス(肩こり・寝すぎなど)、冷え、眼精疲労、そして環境の変化による精神的ストレス等が挙げられます。
群発頭痛
頭痛の中でも特に強い痛みを伴うもので、片方の目の周りに激しい痛みを感じ、周期的に「群発して続く」ことが特徴です。目の奥がえぐられるような激烈な痛みと表現されるほど症状が重く、特に夜間や睡眠中に多く発生します。群発頭痛が起こる原因はまだ解明されておらず、有病率は男性に多い頭痛とされています。
その他の頭痛
上記以外にも、特定の刺激や状況下によって起こる一次性頭痛もあります。
・低気圧(雨の日)による頭痛
気圧や天候の変化が引き起こす頭痛です。低気圧によって脳内の血管が拡張し、周囲の神経を圧迫することで頭痛が生じます。特に雨の日は気圧が下がるため、片頭痛を持つ人は天候の変化によって症状が悪化することがあります。また、気圧の変化により体内の水分バランスが乱れることも頭痛の原因となるため、体内に余分な水分が溜まるとむくみや頭重感が生じ、不調を引き起こすことがあります。
・休日に起こる頭痛
休日に起こる頭痛の主な原因はストレスからの解放、寝すぎ、空腹などです。ストレスからの解放後に起こる頭痛は緊張状態からリラックス状態に移行する際に血管が拡張し、血流が急に良くなることで、拍動性の頭痛が起こります。また、寝すぎてしまうと脳血管が拡張し、その周辺の三叉(さんさ)神経が刺激されて頭痛が引き起こされることがあります。空腹時の頭痛は低血糖が原因であることが多く、血糖値が下がると体はアドレナリンを分泌し、脳血管の収縮や拡張を引き起こします。この過程で神経が刺激され、頭痛が生じると考えられています。
・温度差による頭痛
急激な寒暖差によって体内の血管が収縮、拡張したり、自律神経が乱れたりすることが原因で頭痛が起きることがあります。特に室内と屋外の温度差が大きい時期は、服装を工夫するなどして体への影響を抑えることが重要です。
・熱中症、暑さによる頭痛
暑い室内や屋外で運動や活動をしている時に頭痛を感じる場合、熱中症頭痛の可能性があり、これは体温の上昇や脱水状態によって起こるとされています。また、夏の暑さで血管が拡張すると、周囲の神経を刺激し、偏頭痛を引き起こすことがあります。
・目の疲れによる頭痛
眼精疲労やドライアイなどの目の不調と頭痛は関連が深く、長時間デジタルデバイスを使いすぎることが原因で目の筋肉の疲労が肩や首にも広がり、頭痛を引き起こします。この症状はVDT症候群(Visual Display Terminal=パソコン、スマートフォン、タブレットなどの電子機器)やテクノストレス眼症・IT眼症とも呼ばれるもので、作業中はこまめに休憩をとってストレッチをしたり、ときどき遠くの景色を眺めるなど、目と身体を休ませる対策が有効です。
・ポニーテール頭痛
ポニーテールを長時間続けたり、強く結びすぎると、頭皮が引っ張られて筋肉が硬くなり、血行が悪くなることが原因で頭痛が発症することがあります。頭痛を防ぐためには、ポニーテールをゆるく結ぶなどの調整をしましょう。
二次性頭痛は病気や怪我が原因で発症する頭痛で、緊急性が高く、命に関わることもあります。
くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍などの特定の脳疾患の症状として頭痛が生じます。また、インフルエンザなどの感染症や飲酒後の二日酔いも二次性頭痛とされます。これまでに経験したことのない激しい頭痛や、時間とともに痛みが増す場合は危険な疾患の兆候である可能性が高いため、早めに医療機関を受診しましょう。
頭痛が起こって痛みが強いと何も手につかなくなり、仕事を休んだり予定をキャンセルしたりと、日常生活にかなりの支障をきたしてしまいます。しかし痛みを我慢しながら仕事や家事をこなさなければならない場合もあり、とにかく少しでも早く痛みを抑えたいと思いますよね。
少しでも頭痛のつらい痛みが軽減できるよう、対処法や予防法をご紹介いたします。
片頭痛の場合
・対処法
片頭痛は動作によって悪化するため、とにかく安静にすることが重要です。まずは部屋を暗くして横になりましょう。片頭痛の原因が血管の拡張によるものである場合、こめかみなどを冷やすことで血管が収縮し、痛みを和らげる効果があります。また、痛みを感じ始めた際には市販の鎮痛剤を早めに服用することもよいでしょう。しかし、症状が重い場合や痛みが続く場合は早めに専門医に相談しましょう。
・予防法
片頭痛を予防するためには、空腹やアルコールの過剰摂取、まぶしい光を避けましょう。また、疲れやストレスを溜めないように心掛けることも大切です。睡眠に関しては、寝不足や寝過ぎが片頭痛を引き起こすことがあるため、規則正しい生活を維持しましょう。
緊張型頭痛の場合
・対処法
緊張型頭痛を和らげるためには頭や首、肩の筋肉の緊張をほぐすことが重要であるため、ストレッチや血行を改善するマッサージが効果的です。精神的なストレスも頭痛の原因となるため、適度な息抜きや気分転換を図ったり、入浴を通じて、首や肩の筋肉のコリを解消し、血行をよくしましょう。
・予防法
長時間同じ姿勢でいることは避け、意識的にストレッチや血行改善のためのマッサージを行うことが予防につながります。また、深呼吸や瞑想などのリラクセーション法は、ストレスの解消や緊張の緩和に効果的です。
群発頭痛の対処法
群発頭痛は頭痛の中でも特に激しい痛みを伴います。しかしながら市販の鎮痛薬では効果がなく、発症に対する明確な予防法もありません。ですので、群発頭痛の発作が起きた際には、できるだけ早く頭痛専門の医療機関を受診してください。
低気圧頭痛の対処・予防法
低気圧頭痛に悩む方には、耳周りの血行を良くするマッサージが効果的です。マッサージによって内耳の血流が促進され、気圧センサーの働きが安定し、自律神経の乱れを整える効果が期待できます。また、低気圧時の体調管理には水分補給が重要です。低気圧による不調はむくみが原因とされるため、水を摂りすぎない方が良いと考えられがちですが、適度に水分補給をし、発汗・利尿によって水分代謝のバランスを取ることが大切です。
頭痛は身近な病気であるため「たかが頭痛」などと軽視されがちですが、痛みがひどい時は日常生活に支障をきたすことも多く、場合によっては命に関わることもあります。たかが頭痛と軽く考えずに適切な対処を心がけ、頻繁に頭痛薬を飲んだり、頭痛薬が効かない場合は必ず医療機関を受診しましょう。
頭痛を予防するためには、規則正しく健康的な生活を送るなどの基本的なセルフケアが重要になります。ストレスが頭痛を引き起こすこともあるため、自分に合ったストレス解消法やリラックス方法を見つけておくことも大切です。
頭痛のつらさを我慢しながら毎日を頑張って過ごしている方、我慢することや無理をすることが当たり前になっている方も多くいらっしゃると思います。痛みの程度は人それぞれ、その時々で変わってきますが、頭痛持ちの方にとって、つらい時に家族や周囲からの理解が得られないことは頭痛の痛みのようにつらく、もしかしたらそれ以上かもしれません。ご本人はもちろんのこと、周囲の方も頭痛に対する正しい知識と思いやりを持って、病気を通じてお互いの理解を深めていきたいものですね😊。