
皆さんは緊張したり不安になった時など、精神的なストレスがかかった時にはどのように対処されていますか?心を落ち着けるためにリラックスしようと意識してみても、なかなか上手にリラックスできないことが多いのではないでしょうか。
人間はストレスを感じると、無意識のうちに筋肉が緊張します。リラックスできずに緊張した状態が持続すると交感神経が活発になり、心の緊張がそのまま身体の緊張にもつながってしまいます。すると筋肉が緊張して血行が悪くなるために筋肉のこりや疲労が生じやすく、このような状態が長期にわたっている場合、身体的にも悪い影響を及ぼしてしまいます。
そこでおすすめしたいのが簡単にできてリラクゼーション効果を感じられる「筋弛緩法(きんしかんほう)」です。今回はこの「筋弛緩法」とはどのようなものか、やり方やその効果について解説いたします。
筋弛緩法は1930年代にエドモンド・ジェイコブソン博士によって考案されたリラクゼーション法で、正式には「漸進的筋弛緩法」と呼ばれています。筋弛緩法は交感神経の働きを緩め、緊張をほぐすことで心身をリラックスさせる効果があります。
具体的には、体の各部位の筋肉を意識的に緊張させた後、力を抜いて脱力し、リラックスさせることを繰り返します。この繰り返しによって緊張状態を解放し、副交感神経が優位になって心身のリラックス状態を作り出すことができるようになります。
筋肉の緊張を認識した後、力を抜いて体の緊張状態を解消すると、心もリラックスします。筋弛緩法によって心身ともにほぐれた状態になると、不眠の解消や緊張型頭痛の緩和、血行改善、疲労回復、自律神経の調整などに効果があるそうです。
体をリラックスさせることができるようになると、自分で体の緊張をコントロールすることができるようになり、肩こりや筋肉のこわばりを和らげることにつながります。また、体の緊張がほぐれると、心も自然にリラックスし、イライラや不安感、ストレス、気分の落ち込み、無気力といったメンタルの問題の解消にも役立ちます。
①背筋を伸ばして椅子に座り、両腕をブラブラとさせる
②両肩を首につけるように軽く挙げ、その後7~8割程度の力を入れ、数秒間保持する
③吐く息と一緒に力を一気に抜き、両肩をストンと下げる
④力を抜いた時に「力が抜けた」という感じを首・肩・腕、そして手のひら・指先にかけて感じる。この感じが「リラックスした状態」で、これを2~3回続けると、よりリラックス効果を得られます。
1.手
両腕を前に伸ばし、手のひらを上に向けて親指を中に入れ、力強く握ります。その後、手をゆっくり広げて、そっと膝の上に置く。
2.腕
1.と同じように手を握り、腕を曲げて肩に近づける。脇を締めて力を入れる。ゆっくりと腕を伸ばし、手を膝の上に乗せ、だらんとした腕の重みを感じます。
3.背中
腕を曲げ、両横に広げ、肩甲骨を真ん中にギュッと寄せます。そして腕を伸ばし、手を膝の上に乗せます。背中の筋肉が柔らかくなっているのを感じます。
4.首
顔が右を向くように首を右側に少し力をこめてひねり、ゆっくりと戻す。左側も同じようにします。
5.顔
目と口をギュッとつぶり、顔全体を顔の中心に集めるように力を入れた後、ポカンと口を開けて脱力します。
6.お腹
お腹に手を当て、お腹をへこませます。そのまま、その手を押し返すように力を入れます。その後ゆっくりと脱力します。
7.足
両足を前に伸ばし、爪先が水平になるように力いっぱい伸ばした後、ゆっくりと戻し、足を床につけます。もう一度、両足を前に伸ばし、今度は爪先を上に曲げて力を入れ、戻します。
筋弛緩法は1日に数回続けるのが効果的です。いずれの方法も「体が緩んで、心がくつろいだ状態を自分で感じられるようになること」が目的なので、日常的に習慣づけることが大切です。ただし、食事の直後や体調が悪いとき、ケガをしているときは悪影響を及ぼす可能性がありますので避けるようにしましょう。
筋弛緩法は短時間で簡単にリラックス効果を得ることができ、緊張や不安で余計な力が入った体をほぐすことで、心も自然と和らいでいきます。特に就寝前に行うと眠りにつきやすくなって不眠の解消にも効果的です。ぜひ試してみてください😊