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【知って労わろう❤こころとからだ】「意欲がわかない…😢」~夏季うつの症状や対策について~

はじめに

「夏季うつ」という言葉をご存知でしょうか?

夏になると厳しい暑さの影響で、体や心に不調が現れることがあります。夏季うつは疲労感や食欲不振などの身体的症状に加え、メンタル面にも大きな影響を及ぼすことがあります。

今回は夏季うつ病の症状や原因、対処法などについて解説いたします。

夏季うつとは?

「夏季うつ」とは、夏場に発症する季節性のうつ病で「季節性感情障害(SAD)」の夏型です。

主に7月から9月にかけて症状が現れ、夏バテと似たような症状が見られるために、気付かずにやり過ごしてしまう場合もあります。夏季うつは深刻な体調不良や気分の落ち込みを引き起こすことがあり、特に暑さや湿気の影響を受けやすい方に多く見られます。

夏季うつ病の症状

夏季うつは夏の暑さや高い湿度によって体が疲れやすくなり、それが精神的な負担を増幅させると考えられています。特に夏季の日照時間の変化やそれに伴う生活リズムの乱れも、心の健康に悪影響を及ぼす要因となります。

夏季うつの症状としては、以下のようなものが挙げられます。

症状に当てはまる自覚症状が多いようでしたら、夏季うつのリスクが高いです。

  • ・不眠や過眠
  • ・寝つきが悪い
  • ・無気力
  • ・焦り、不安感が増す
  • ・1日中、気分が落ち込む
  • ・食欲減退と体重減少
  • ・集中力や思考力の低下
  • ・絶望感や無価値感

夏季うつの原因とは?

夏季うつの原因は、日常生活で蓄積される「隠れ疲労」が関連していると言われています。

特に環境の変化が大きい3月・4月を経てからの、5月の大型連休後の疲れ、そして梅雨に入る6月頃から心身に不調を感じるようになります。暑くなる7月頃から暑さや冷房による温度変化などが自律神経のバランスを崩し、心身の不調を引き起こします。

夏季うつの原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ・暑さによる食欲低下に伴う栄養不足
  • ・長時間日差しを浴びることによる疲労
  • ・暑さによるストレス
  • ・自律神経の乱れ
  • ・セロトニン不足
  • ・ミネラル不足による脱水
  • ・冷房の当たりすぎによる冷え、疲労

夏季うつの対策と予防法

夏季うつに特化した治療法はないため、基本的にはうつ病としての治療が必要になります。

しかしライフスタイルを改善することで症状を緩和させることも期待できます。正しい対処法は夏季うつだけでなく、夏バテの対策にも効果を奏します。

こまめな水分補給をしよう

夏の時期には1日に1.5L~2Lの水分をこまめに補給しましょう。普通に日常生活を送っているだけでも体からは約2.5Lの水分が失われているため、意識的に水分補給を行うことが重要です。

日光を浴びすぎないように!

夏場の高温時期に外出すると疲労感が蓄積しやすく、夏季うつや夏バテを引き起こすリスクが高まります。特に真夏の厳しい日差しは体力を奪って疲労感を増幅させるため、日光の浴びすぎには注意が必要です。日の光を浴びる事は心身の健康に良い影響を与えますが、日中はずっと太陽の下にいるのではなく、涼しい場所で過ごすことも大切です。

体調に合わせたエアコン設定

室内にいる際、エアコンを使わずに高温のままで過ごしてしまうと、体のだるさやストレスを感じやすくなります。特に猛暑日や熱帯夜の日は無理をせず、エアコンを利用して快適な環境を作ることが大切です。特に仕事中は業務に集中するあまりに、部屋が高温になっても熱中症の危険性に気づかないこともあるため、室内の温度を常に確認することが重要です。

一方、夏の外気温とエアコンで涼しくなっている室内との大きすぎる温度差や体の冷やし過ぎは自律神経のバランスを乱してしまうため、エアコンの設定温度をしっかり調整し、過ごしやすい室温を保つようにしましょう。

質の良い睡眠をしっかりとること

睡眠不足になると疲労が蓄積し、自律神経が乱れることで夏季うつが発症しやすくなります。

特に就寝前には、睡眠を妨げる要因であるブルーライトを発生させるデジタル機器(パソコンやスマホなど)を見ないようにするとよいでしょう。また、夕方以降は眠りにつきやすくなるようにカフェインを含む飲料は控え、エアコンを調整して睡眠環境を整えることも大切です。さらに、起床後は涼しい時間帯に朝日を浴びて、体内時計を整えましょう。

食生活の改善

栄養が偏ると心の安定に必要なセロトニンが不足し、精神面に悪影響を及ぼす可能性があります。

セロトニンはたんぱく質に含まれる必須アミノ酸であるトリプトファンから作られる神経伝達物質であるため、特にたんぱく質の摂取が重要です。トリプトファンは体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があり、良質なたんぱく質を多く含む食品(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など)をバランスよく積極的に食べましょう。また、飲み物は清涼飲料水だけでなく、牛乳や豆乳、食べ物はさっぱりと食べられる豚しゃぶサラダやしょうが焼きもおすすめです。

体を動かすこと

運動は本格的でなくても、日常生活の中で体を動かすことが大切です。例えばエレベーターの代わりに階段を使ったり、近所を散歩したり、一駅分歩くことなど、無理のない範囲で続けられる運動です。

適度な疲労は夜の睡眠の質を向上させる効果があります。ただし、日中に運動をする際は、脱水や熱中症に十分注意しましょう。

夏バテから夏季うつになることも⁉

夏バテが原因で過覚醒(かかくせい)状態を引き起こし、夏季うつにつながることがあります。

過覚醒とは、ストレスや自律神経の乱れによって交感神経が過度に活発になる状態を指します。

過覚醒状態になると、ストレスに対処しようとして交感神経が過剰に働くため、精神的に興奮したり、緊張したり、落ち着きがなくなり、不眠やイライラ、集中力低下などの症状が現れます。

さらに過覚醒になると周囲の人の目線や表情に敏感になるため、人混みや人の多い場所でストレスを感じやすくなるそうです。このような状態が続くと脳が疲れやすくなって悪循環に陥ります。夏バテによる体調不良やストレスが要因となって過覚醒の状態を引き起こしてしまうと、夏季うつを発症するリスクが高まり、この危険な状態を放置してしまうと夏バテがいつの間にかうつ病に悪化してしまう可能性もあるのです。

夏バテから夏季うつを防ぐためには、休息が最も重要です。

心を落ち着けるためには瞑想や深呼吸を行い、過度な興奮を抑えてリラックスできるように、早めのストレスへの対処を心がけましょう。

おわりに

夏季うつを防ぐためには、日光の浴びすぎや室温の設定に注意しましょう。また食生活や睡眠の質の改善、無理のない運動を心がけ、バランスの良い生活を送ることで生体リズムを整えていきましょう。

難しいことではなく、ちょっとした日々の心がけや基本的な生活習慣が、ご自身の心の健康を守る事につながっていきます。過酷な暑さが心身ともにストレスを与える時期ですが、無理をすることなく、心にも身体にも休息時間を作って労わることを忘れずに、厳しい暑さを乗り越えていきましょう。

そして、いつもよりも気分が落ち込んで趣味を楽しめず、睡眠や食欲に異常がある場合やそのような症状が続く場合は、うつ病の可能性があります。

夏季うつに限らず、うつ病は治療が必要な精神疾患です。苦痛を一人で抱え込まず、必ず医療機関を受診しましょう。