
猛暑が続くと夏バテで食欲がわかないという方も多いのではないでしょうか。
そのような時に「ダイエットにちょうどよい!」と思う方もいるかもしれませんが、食欲不振が続くとエネルギーや栄養が不足して、より夏バテがひどくなったり疲れやすくなるなどの悪循環を起こしたり、さらにはメンタル面にも悪影響を及ぼすことがあります。
今回は暑さに負けない体づくりのために、夏にとりたい栄養素についてご紹介いたします。
夏に食欲が低下する主な理由は、厳しい暑さによる胃腸機能の低下です。
暑くなると冷たい物をとりがちになりますが、冷たい食事や飲み物の過剰摂取は胃腸を冷やして消化機能を低下させるため、それが食欲不振につながってしまいます。それに加えて暑さによる体力の消耗も影響し、疲労感やだるさを感じることで食欲はさらに低下してしまいます。
また、外の暑さからエアコンの効いた涼しい室内に入る際の急激な温度変化は、自律神経の乱れを引き起こして消化機能を低下させることや、高い湿度も体内の水分代謝を悪くして胃腸の働きを弱めてしまうため、食欲に影響を与える要因の一つになるそうです。
夏にすっぱい物が食べたくなるのは、体が自然と疲労回復や食欲増進を求めているからです。
暑さで体温が上昇すると、体内のエネルギー消費が増加して筋肉への酸素供給が不足してしまいます。そうすると乳酸※が生成されて筋肉に溜まり、体力も消耗されて疲労感を感じやすくなりますが、この乳酸を分解してエネルギー代謝を促進する役割を果たすのがクエン酸です。クエン酸はお酢やレモンなどの酸味成分で、疲労を回復させる効果があります。さらに、クエン酸は消化液の分泌を促して胃の働きを助ける作用があるため、夏バテによる消化不良や胃もたれの解消にも効果的です。
※乳酸とは?
筋肉を動かすエネルギー源のグリコーゲンが分解される際に生成される物質で、乳酸は激しい運動後に筋肉に蓄積されるため、過去には「疲労物質」とも認識されていました。
激しい運動をすると、酸素を十分に利用できない無酸素状態でエネルギーを生成するため、乳酸が大量に作られて一時的に疲労感を感じますが、近年の研究で乳酸は体内で再びエネルギー源として利用されたり、疲労回復を促進する効果があることが分かっています。
ビタミン類の中でも、特に夏場に不足しやすいといわれているのはビタミンB1だそうです。
アイスクリームや清涼飲料水など甘いものは糖質が主成分ですが、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える重要な役割を果たしており、不足すると疲労感や食欲不振を引き起こすそうです。
また、冷たい麺類など食事が炭水化物に偏ると、炭水化物の代謝に必要なビタミンB1が大量に消費されます。ビタミンB1が不足すると疲れやすくなり、倦怠感や食欲不振にもつながります。さらには気力や集中力が低下して、情緒不安定にもつながる可能性もあります。夏は特にビタミンB1をしっかりと摂取しましょう。
食欲不振により食事量が減少すると、エネルギーや栄養素、特にたんぱく質の不足が懸念されます。
たんぱく質が不足すると筋肉量が減少して基礎代謝が低下するため、太りやすくなるリスクがあります。また、筋肉の減少は熱を生み出す力を弱めてしまうため、冷え性の原因にもなりますので、軽い筋トレを続けることもおすすめです。
たんぱく質はドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の原料であり、不足すると集中力の低下や疲れやすさ、精神的な不安定さを引き起こす可能性があります。
さらに、たんぱく質は免疫細胞や抗体のもととなるため、不足すると免疫力が低下し、風邪やウイルス感染のリスクが高まることがあります。
良質なたんぱく質
良質なたんぱく質とは、体内では生成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質のことです。たんぱく質が不足すると現れる体の不調については前述のとおりです。良質なたんぱく質が多く含まれる食品は肉類・魚介類・大豆製品・卵などです。
ビタミンB1
ビタミンB1は炭水化物や糖分をエネルギーに変えたり、疲労物質を分解する働きを助けるだけでなく、筋肉の修復をする役割を果たします。ビタミンB1が不足してしまうと疲れやすくなるため、日々の食事でしっかりと補給することが大切です。ビタミンB1を含む食品はうなぎ、豚肉・卵・玄米・枝豆などです。
ビタミンC
夏の暑さにより体がストレスを感じると、大量のビタミンCが消耗されます。ビタミンCはストレスに対抗するホルモンであるドーパミンやアドレナリンの生成を助け、さらにストレスホルモンであるコルチゾールなどの分泌を抑制し、ストレスによるダメージを軽減する効果があります。ビタミンCは体内で合成できないため、毎日の食事からとるように心がけましょう。
摂取時の注意点として、水に溶けやすい性質を持つビタミンCは、一度にたくさん摂取しても体内に蓄積されないため、こまめに摂取することが大切です。ビタミンCを含む食品はいも類・パプリカ・ブロッコリー・キウイ、枝豆などです。いも類に含まれるビタミンCは水に溶けやすい性質であっても、いも類が持つでんぷんに守られているため、加熱しても壊れにくいそうです。
消化に負担のかからない食べ物をとろう
消化機能が低下している時は、消化の良い食べ物を選ぶことが大切です。脂っこいものや刺激が強いものは避け、お粥や豆腐などの消化の良いたんぱく質、大根や山芋をおろした物、バナナ、りんご、卵、ヨーグルトなどがおすすめです。調理には油脂を使わず、食べるときは少しずつ、ゆっくりよく噛んで、胃腸に負担がかからないようにしましょう。
常温の飲み物や温かい食事をとろう
冷たい飲み物や食べ物は暑さを和らげるのには効果的ですが、とり過ぎには注意しましょう。
胃腸を冷やさないためには、なるべく常温の飲み物や温かい食事を心がけることが大切です。もし冷たい物を食べた後は、温かい飲み物を飲むことで胃腸の冷えを和らげることができます。
食欲が増す食材を活用しよう
食べ物の香りや味付けは食欲を刺激してくれます。特に夏におすすめの食材は香味野菜として生姜、にんにく、大葉、みょうが、ねぎ、ニラなど、また酸味を効かせたい場合は酢、レモン、かぼす、梅干しなどがあります。さらに、香辛料としてからし、わさび、カレー粉、こしょうなども食欲を引き立てる効果があります。
食事にたんぱく質を補いましょう!
夏場に人気の料理として「冷やしそうめん」「冷やし中華」「カレーライス」などがありますよね。
冷やしそうめんは具だくさんにすることがポイントで、豚しゃぶや卵のトッピングがおすすめです。
冷やし中華にはエビやサバ缶などを加えると手軽で美味しくなります。カレーライスはジャガイモやニンジンなどの根菜とご飯の組み合わせで、エネルギーと脂質をしっかりと摂取できます。
ほかにも夏場に手軽にたんぱく質を補う方法としては、冷ややっこがおすすめです。冷ややっこは、海苔やキムチをトッピングすることで風味が増し、飽きずに楽しむことができます。また、肉みそやじゃこ、トマト、キュウリなどをのせることで栄養価を高めつつ、さまざまな味わいを楽しむことができます。
暑いと食欲が低下してしまい、そうめんや冷麺などの炭水化物中心の食事になりがちです。そうなるとたんぱく質やビタミンなどが不足しやすくなりますので、単品料理には簡単に取り入れられる食材をプラスするなどして、さまざまな栄養素をバランス良く摂取することが大切です。
また、冷たい食べ物は胃腸に負担をかけて食欲不振を引き起こすこともあるので、温かい料理や常温の飲み物を選ぶようにして、胃腸の負担を軽減しましょう。
暑い時こそバランスの良い食事で日常的な栄養補給を心がけるようすると、それが夏バテの予防につながります。スパイスを効かせた美味しい食事を楽しんで、厳しい暑さを乗り切りましょう😃