
夏の厳しい暑さを越えて、涼しく過ごしやすくなる秋は「食欲の秋」「読書の秋」「芸術の秋」「スポーツの秋」など、さまざまな楽しみがありますよね。
特に秋は美味しい食材が豊富に揃います。味覚を楽しむことはもちろん、夏の疲れを癒したり、美容や健康に嬉しい効果が期待できるものが多く、心も身体も元気にしてくれます。
今回は、秋の美味しい食材とその様々な効果についてご紹介いたします。
気候が快適でアクティブになる
暑さが和らいでくると過ごしやすくなり、外出する機会が増えたり、スポーツをしたりと活動的になります。そのため、消費するエネルギーが増え、お腹が空きやすくなります。
セロトニンの減少
秋は日照時間が短くなるため、日光を浴びることで増えるセロトニンの分泌が減少してしまいます。セロトニンは心を安定させる作用と満腹中枢を刺激して食欲を抑える役割があるため、秋になると食欲を抑える力が弱まり、食欲が増すと考えられています。
旬の食材が豊富
秋はお米、サンマ、サツマイモ、キノコ、柿など、多くの食材が旬を迎える季節です。
「実りの秋」とも呼ばれる収穫の時期であるため、新鮮で美味しい食材が手に入りやすくなります。
栄養を蓄えようとする
秋は冬に備えて脂肪や栄養を蓄えようとする時期です。涼しくなると体がエネルギーを蓄えようとして、自然と食欲が増すと言われています。
秋は多くの食材が旬の時期を迎えます。旬の美味しい食材をバランスよく毎日の食事に取り入れることで、夏の疲れを癒し、これからの季節を元気に過ごすための体づくりをすることができます。
きのこ類(旬:9月~11月)
きのこは味と香りが濃厚で美味しい低カロリーの食材です。肌荒れを防ぐビタミンB群をはじめ、食物繊維やビタミンDが豊富に含まれています。食物繊維は免疫力向上や便秘予防に、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康を保ちます。
きのこ類の中でもしめじは、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウムのほか、肝臓の働きを助けるオルニチンが豊富で、疲労回復や肌質改善に効果があるとされています。舞茸はビタミンB群、免疫機能を活性化させるβ-グルカンのほか、特にビタミンDの含有量がきのこ類の中でもトップクラスです。
しいたけは疲労回復に効果的なビタミンB1が豊富で、血圧を正常に保つ役割のある「エリタデニン」という成分も含まれています。また、うまみ成分のグルタミン酸が含まれているため、味噌汁などのだしとして使うのもおすすめです。
さつまいも(旬:9月~11月)
食物繊維が豊富なさつまいもは腸内環境を整え、便秘解消に効果があります。また、抗酸化作用があるビタミンCも含まれており、加熱してもでんぷんに守られているため、ビタミンCが壊れにくいことが特徴です。ビタミンCは美肌効果や抗ストレス作用も期待できます。さらにむくみを改善するカリウムも多く含まれており、高血圧の予防効果が期待できます。
かぼちゃ(旬:10月~12月)
かぼちゃには身体の免疫力を高める β-カロテンのほか、ビタミンC、E、カリウム、食物繊維などが豊富に含まれています。高い抗酸化作用を持ち、風邪の予防や免疫力アップに効果的で、便秘の解消やむくみの予防も期待できます。かぼちゃは比較的低カロリーで食物繊維が多いため、満腹感を得やすく、ダイエットにも適しています。
サンマ(旬:9月~10月)
サンマは動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立ち、血液をサラサラにする効果があるとされているEPAやDHAが豊富に含まれています。また、皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンAやカルシウムの吸収を促して骨を丈夫にするビタミンD、美肌をつくるビタミンB12などのビタミン類や、女性に不足しがちな鉄分も豊富に含まれています。さらに、サンマに含まれる必須ミネラルの一つであるセレンには肌の老化を防ぐ効果があり、若々しさを保つためには最適な食材です。
秋鮭(旬:9月~11月)
秋鮭には良質なたんぱく質や、サーモンピンクの色素であるアスタキサンチンやサンマと同様にDHAやEPAもたっぷり含まれています。アスタキサンチンは強い抗酸化作用があり、美肌や老化防止に効果が期待できます。また、秋鮭の皮にはDHAやコラーゲンが豊富に含まれているので、秋鮭を食べる際には皮も一緒に食べることをおすすめします。
カツオ(旬:9月〜11月)
春のカツオは「初ガツオ」、秋のカツオは「戻りガツオ」と呼ばれ、高たんぱく・低カロリーな食材です。血中の中性脂肪やコレステロールを抑えるDHAやEPAが多く含まれており、ダイエットにも適しています。さらに、カツオの血合い部分には貧血予防に役立つ鉄分やビタミンB12、疲労回復や美肌に効果的なナイアシン、肝機能の向上に役立つタウリンを含むため、美容と健康に非常に効果的です。
柿(旬:9月~11月)
「柿が赤くなれば医者が青くなる」ということわざがあるほど、柿は非常に栄養価が高い食材です。柿1個で1日分のビタミンCを摂取でき、βカロテンはミカン1個分、強い抗酸化作用を持つポリフェノールはブドウの約5倍の量が含まれています。さらに、むくみを防ぐカリウム、便秘解消やコレステロールの吸収を抑える食物繊維も豊富に含まれています。また、抗酸化作用や血糖値の上昇を抑制する効果が期待できるポリフェノールの一種であるタンニンも含まれています。
梨(旬:8月~10月)
梨にはカリウム、アスパラギン酸、ポリフェノールが豊富に含まれています。カリウムは体内の塩分排出を促し、むくみを解消します。アスパラギン酸は夏の疲労回復やミネラルの吸収を助けるアミノ酸で、ポリフェノールは肌の健康を保ち、高い抗酸化作用が期待できます。
梨に含まれるペントザンは、特有のシャリシャリとした食感を生み出す不溶性食物繊維の一つで、胃腸を刺激し、便通を改善する効果が期待されています。ただし、食物繊維を過剰に摂取するとお腹がゆるくなることがあるため、食べ過ぎには注意が必要です。
栗(旬:9月~10月)
栗は美容に良い食材で、ビタミンCやビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンCはリンゴの約8倍含まれており、肌の弾力やハリを保つコラーゲンの生成を助け、免疫力を高める効果があります。
また、栗は食物繊維も豊富で、腸内環境を整えるのにも役立ちます。栗のビタミンCはデンプンに守られているため、加熱しても壊れにくいという特徴があります。
栄養バランスのとれた食事をとること
主食(ご飯・パン)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品)、副菜(野菜、きのこ、海藻など)をバランスよく取り入れ、これに汁物や牛乳・乳製品、果物を加えると、さらに栄養バランスがよくなります。満腹感を求める方は、低カロリーの食品を選ぶようにしましょう。
ゆっくりとよく噛んで食べること
食事が消化・吸収されて血糖値が上昇し、脳の満腹中枢にその情報が伝わるまでに約15分~20分程度かかるとされています。よく噛んでゆっくり食べることは食べ過ぎを防ぎ、消化の助けとなります。
旬の食材を取り入れよう
秋の食材は夏の疲れをリセットし、冬に向けて体を作るための栄養素が豊富です。調理法や食べ方を工夫することで効率よく栄養を摂取できます。
適度な運動を取り入れよう
ウォーキングやジョギングなど、無理のない範囲での運動を習慣にすることで日々のエネルギー消費を増やすことができます。適度な運動は食欲を抑制するホルモンの分泌を増やす効果があるため、食べ過ぎの防止にもつながります。
水分補給も忘れずに
秋は夏よりも水分補給を怠りがちになりますが、秋は空気が乾燥しやすく、汗をかくことが無くても「隠れ脱水」になりやすい季節です。喉が渇く前にこまめに水分補給をしましょう。
秋は夏の暑さで疲れた体を回復させ、これから来る冬の寒さに備えるための準備期間であり、美容・健康効果の高いたくさんの食材が旬を迎えます。特に夏に浴びた紫外線のダメージや肌荒れをケアするために必要なビタミン類が多く含まれている食材が多く、これらをバランス良く取り入れることで美容や健康に高い効果が期待できます。
海の幸でも山の幸でも、旬を迎えた食材はそれ以外の時期に比べて栄養価が最も高く、素材の旨味も凝縮されています。秋の食材を上手に活用して、美味しく楽しく健康的な体づくりを目指しましょう😀