はじめに
JR東海などJRグループ6社は、2025年4月1日から障がい者割引制度を拡充し、
精神障がい者も割引対象とすると発表しました。
今後、各自治体で精神障害者保健福祉手帳に「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」を設け、
第1種または第2種の別が表記される予定です。
今回は、対象者や割引率などについてご紹介いたします。
対象者
自治体が発行している精神障害者保健福祉手帳を持つ人
(新たに設けられる旅客運賃減額欄に第1種または第2種と記載のある人)で、
介護者と一緒に利用する場合は
手帳の減額欄に第1種と書かれた人は普通乗車券や回数券、定期券が半額になり、
12歳未満の第2種と書かれた人は定期券が半額になります。
対象者 | 対象となる乗車券類 | 割引率 |
第1種精神障害者と介護者 | ・普通乗車券 ・回数乗車券 ・普通急行券 ・定期乗車券(小児定期乗車券は除く) | 5割 |
12 歳未満の第2種精神障害者の方と介護者の方 | ・定期乗車券(小児定期乗車券は除く) | 5割 |
手帳を持っている人が一人で利用する場合は、第1種、第2種ともに普通乗車券のみが対象となります。
ただし、片道の営業キロが100kmを超える場合に限ります。
対象者 | 対象となる乗車券類 | 割引率 |
・第1種精神障害者の方 ・第2種精神障害者の方 | ・普通乗車券 | 5割 |
対象となるICカード
SuicaとPASMOの障害者用ICカード(障害者用Suica・障害者用PASMO)についても、
2025年4月1日からサービス対象が拡大され、新たに、第1種精神障がい者の人も対象となります。
ただし第2種精神障がい者の人はサービス対象外となります。
(写真:JR)
(写真:PASMO)
障がい者用ICカードは、自動改札機やバス運賃機で自動的に割引利用が可能になるカードで、
障害者本人用と、介護者用の2種類あります。
また、JR東海でも、4月1日から始まった「障害者用TOICA」について、
2025年4月から精神障がい者割引が適用されると発表されました。
対象となるのは第1種精神障がい者の大人と、その人を介護する任意の1名です。
(第2種精神障がい者の人はサービス対象外です。)
(写真:TOICA)
おわりに
今までは身体障がい者、知的障がい者のみのJR割引制度でしたが、
2025年度から精神障がい者にも、その権利が広がることとなりました。
JRの障がい者割引制度については、名称は「障がい者割引制度」ですが、
内容としては「障がい者介護者割引」という部分が大きいように感じました。
日々の通院やリハビリにかかる交通費が割引されるということではなく、
移動に介助が必要な方が「二人で一人分の運賃」でJRを利用することが出来る制度なのだと理解しました。
手帳を持っている方が一人で利用する場合は
片道の営業キロが100kmを超える場合に限られているため、
例えば、東京駅から山梨県の河口湖駅までが約114kmですから、
片道3時間半程度の道のりになると、割引が適用されることになります。
JRを利用される方の負担を軽減することと同時に、
介護者がいることでJR側も介助に人員を割くことが減るという点で、
これが民営企業に出来る範囲の制度設定なのかもしれません。
今まで介護者の移動費まで負担していた精神障がい者にとってはJRを利用しやすくなり、
移動において大きなメリットになるでしょう。
参考リンク
JR 精神障害者割引制度の導入について
https://www.jreast.co.jp/press/2024/20240411_ho04.pdf
JR東海 精神障がい者割引が適用されるお客さま向けの障がい者用TOICAの発売開始について
https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043519.pdf