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2024年4月からどうなる?障害者雇用率の引き上げと事業主支援について

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2024年4月からどうなる?障害者雇用率の引き上げと事業主支援について

2024年4月の障害者雇用促進法の改正によって変わること

障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)施行規則等の改正により、
厚生労働省が2024年4月より2.5%、2026年7月より2.7%へ、
障害者の法定雇用率を段階的に引き上げることを発表しました。

法定雇用率が引き上げられる2024年4月以降、何が変わるのでしょうか。

法定雇用率とは
障害者雇用促進法に基づく、会社が雇用しなければならない障害者の割合のこと

「障害者雇用の義務がある事業主」の範囲

障害に関係なく希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念の下、
全ての事業主に、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。

障害者を雇用しなければならない事業主の範囲は、
2024年4月より「常時雇用する従業員が40人以上の事業主」となりました。
2026年7月には「常時雇用する従業員が37.5人以上の事業主」へ広がることになります。

令和5年度(2023年度)令和6年(2024年)4月~令和8年(2026年)7月~
民間企業の法定雇用率2.3%2.5%2.7%
対象事業主の範囲従業員43.5人以上従業員40人以上従業員37.5人以上

上記に該当する事業主は、以下の3点が義務付けられます。

1.毎年6月1日時点での障害者雇用状況をハローワークへ報告すること
2.努力義務範囲で、障害者雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任すること
3.障害者を解雇する場合はハローワークへ解雇届を提出すること

障害者雇用報告をハローワークに行う義務

毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)を、
ハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項) 。

障害者雇用推進者を置く努力義務

雇用の促進や安定のため、事業主は「障害者雇用推進者」を置く努力義務があります。
「障害者雇用推進者」は、雇用計画や環境整備の担当者として国や機関との連絡も担います。
努力義務のため、配置をしないことによる罰則はありませんが、
スムーズな業務遂行のため、社内で相応しい人材を任命することも必要となります。

障害者を解雇する場合はすべての事業主がハローワークに届け出る必要がある

障害者の再就職は一般の求職者と比べて困難であるとされているため、
ハローワークでは、解雇される障害者に対して、早期再就職の実現に向けて支援を行っています。
そのため、全ての事業主は、障害者を解雇する場合、
速やかに障害者を雇用していた事業所を管轄するハローワークに「解雇届」を届け出る必要があります。
※週所定労働時間20時間未満の常時雇用する障害者を解雇する場合も、届出が必要です。

障害者雇用率制度における法定雇用率の算定対象

身体障害者:身体障害者手帳の交付を受けている方
知的障害者:療育手帳(愛の手帳・みどりの手帳など自治体により呼称が異なる)の交付を受けている方
精神障害者:精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方

今までは、上記の算出対象の中から週所定労働時間が20時間以上の労働者のみ対象範囲となっていましたが、
障害の特性により20時間未満での雇用を希望する方も一定数いることから、
雇用機会の拡大を図ることを目的として、2024年4月より対象範囲の見直しが行われました。

障害者雇用における従業員の算定方法について変わること

雇用率制度によるカウントの算定方法表

精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月~)

週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、
当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できるようになりました。

一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)

雇用形態(有期契約社員やパート・アルバイト等)にかかわらず、
週所定労働時間が、10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、
0.5カウントとし算定できるようになります。

障害者雇用のための事業主支援について

障害者雇用のための事業主支援も強化されることになりました。

雇入れやその雇用継続に関する相談支援、加齢に伴う課題に対応する助成金を新設

雇い入れやその雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助を、
障害者雇用に関する相談支援を行う事業者から、原則無料で受けることができるようになります。
それとともに、加齢により職場への適応が難しくなった人に、
職務転換のための能力開発・業務の遂行に必要な方の配置や、
設備・施設の設置などを行った場合に、助成が受けられるようになります。

既存の障害者雇用関係の助成金を拡充

さらに既存の障害者雇用関係の助成金が拡充されることが決まりました。

障害者介助等助成金
障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な
介助等の措置を実施する場合、その費用の一部を助成する。
・障害者の雇用管理のための専門職や能力開発担当者の配置
・介助者等の能力開発への経費助成の追加
職場適応援助者助成金
職場適応援助者による援助を必要とする障害者のために、
職場適応援助者による支援を実施した事業主に対して助成する。
・助成単価や支給上限額、利用回数の改善等
職場実習・見学の受入れ助成の新設2024年4月1日改正分の助成金に係る詳しい資料については2024年6月中に「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」掲載が予定される。


以上のように、事業主の皆様の障害者雇用の支援が強化されることになります。

障害者雇用率引き上げの目的は「雇用機会産出」と「共生社会の実現」

障害者の法定雇用率引き上げは、障害者の雇用機会を増やします。
企業にとっても障害者雇用への取り組みは、社会的責任の一環として評価され、
法定雇用率の達成や支援策の実施を行うことで、企業の信頼性やイメージ向上にもつながります。

今回の法改正は、障害に関係なく、希望や能力に応じて、
誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念を掲げています。

参考資料

厚生労働省PDF:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf

厚生労働省ホームページ:障害者雇用状況報告書及び記入要領等https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha-koyou_00002.html

厚生労働省PDF:障害者を雇用する上で必要な3つの手続きをご存知ですか?
https://www.mhlw.go.jp/content/000766842.pdf

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)
https://www.jeed.go.jp/disability/index.html