障がい者を採用する方法はいくつかあります。
まず、一般的な雇用と同様に、求人媒体やハローワーク、
自社サイトを利用して求人を出す方法があります。
この場合、一般採用と区別するために「障がい者採用」と明示することが重要です。
自社サイトの場合には、障がい者専用の採用ページを設けることも有効です。
ハローワークでは、障がい者専用の求人票を作成することが可能です。
ここではハローワークを通じた求人の流れについて解説します。
障がい者雇用においては、さまざまな支援機関との連携が求められますが、
その中でもハローワークが中心的な役割を果たしています。
ハローワークは、求職中の障がい者の就職活動の窓口であるだけでなく、
障がい者雇用を進める企業にとっても重要な窓口です。
さらに、障がい者雇用に関する相談や、助成金の相談および申請、
地域のさまざまな就労支援機関との連携窓口としての役割も担っています。
では、ハローワークが企業向けに提供するサポートについて見ていきましょう。
障がい者トライアル雇用制度は、障がい者を試行的に原則3カ月間雇用し、
その間に適性や能力を見極めることができる制度です。
この制度を利用すると、助成金の受給も可能です。
トライアル雇用の目的は障がい者の長期的な雇用であり、
8割以上の雇用継続率を誇っています。
対象者は、就労経験のない職業への就労希望者や、離職や転職を繰り返している人、
長期離職者、重度の身体・知的・精神障がい者などです。
求人票にはトライアル求人であることを明記し、選考は面接で行います。
ジョブコーチは、障がい者が企業で働く際に、
仕事環境の整備や専門的な支援を行う役割を担います。
障がい者には仕事の手順を分かりやすくするマニュアル整備やルール説明を行い、
職場や従業員には障がい特性に応じた配慮や職場づくりのアドバイスを提供します。
ジョブコーチを利用したい場合は、
地域障害者職業センターに問い合わせるか、ハローワークを通じて連絡が可能です。
企業が特例子会社の設立を検討する場合、
障がい者雇用率が達成できておらずハローワークの指導を受けていることが多いです。
ハローワークでは、障がい者雇用率の状況を踏まえて、
どのように障がい者雇用を進めるべきかアドバイスを提供します。
また、地域の支援機関と連携し、他の特例子会社を紹介して情報交換をすることで、
自社での特例子会社の設立や持続可能な運営の検討に役立てます。
※特例子会社とは、障がい者雇用の促進と安定を図るため、
障がい者の雇用において特別の配慮をする子会社のことです。
特例子会社になるためには、一定要件を満たし、厚生労働大臣から認定を受けることが必要です。
特例子会社で雇用された障がい者は、
親会社やグループ全体の雇用であるとみなされ、実雇用率を算定することができます。
企業が障がい者の雇用を促進する際に利用できる助成金がいくつかあります。
これらの助成金の多くは、ハローワークで説明会が開かれ、申請手続きが行われています。
多くの企業が活用できる特定求職者雇用開発助成金や
トライアル雇用助成金は、ハローワークが窓口となっています。
職場適応訓練は、障がい者が職場訓練を通じて
その職場に継続して雇用されることを目的としています。
訓練期間は6カ月以内(中小企業や重度障がい者の場合は1年以内)で、
企業には訓練費が支給されます。
実施には、訓練設備の余裕、指導員の配置、訓練後の雇用見込みなどが必要です。
訓練や雇用に関する相談はハローワークで受け付けています。
実際に求人を出すときには、
ハローワークに求人受付の用紙(求人票)がありますので、
そこに仕事内容、勤務条件、待遇、休日など、求人に必要な内容を記載します。
障がい者雇用に際して助成金を受ける予定がある場合、
求人票を提出する際に窓口に伝えると良いでしょう。
トライアル雇用では、事前に求人票に記載する必要がありますので、
後からトライアル雇用の助成金を受けたいと思っても、求人票に記載がないとできません。
助成金を受けたい場合は、窓口で確認することを忘れないでください。
多くの地域では、障がい者の合同面接会が1~2回程度開催されており、
求職中の障がい者が参加しています。
企業はそこで多くの求職者と直接面接することができますが、
事前にハローワークに申し込む必要があります。
面接希望者が多い場合は、面接時間が短くなる可能性があるため、
企業は対応を計画しておく必要があります。
現在は直接の対面や大人数の集合が難しいため、
合同面接会の開催方法が変更されている可能性があります。
開催状況を確認するために事前にハローワークに問い合わせをし、
準備を万全に整えてスムーズに進めていきましょう。
最近、精神障がい者の応募が増加しており、
就労を考える際には「主治医の意見書」が重要となっています。
この「意見書」は、主治医が「症状が安定し、就労が可能な状況」と診断し、
障がい者本人が実際に働く見込みがあると判断していることを証明するものです。
企業側としては「これがあれば安心」と思ってしまいがちですが、
実はそうでないこともあります。
「就労が可能な状況」とは、障がい者個人の条件だけでなく、
労働条件や職場環境、就労支援の実施状況などさまざまな環境によって
大きく変化するものだからです。
主治医の意見書で医療的な視点から就労可能と判断されているかどうかを確認し、
現時点で求職活動を行う状況にあるのか、
それとも治療を優先すべきかを考慮することが重要です。
これらの点を理解し、適切に対応することが求められています。
ハローワークは、障がい者雇用の支援機関の中で中心的な存在です。
求職中の障がい者に対する支援だけでなく、企業への支援も行っています。
障がい者雇用に関する相談や助成金の相談・申請、
さらに地域の就労支援機関との連携窓口としても活動しているため、
障がい者雇用に関する悩みや問題があれば、まずハローワークに相談することをお勧めします。
HRpro
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2291
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