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【障害者雇用調整金、納付金の仕組みが変ることによる影響とは】

これまで100名以上の企業が納付金対象となっていたのを50人規模以上に拡大すると、どんな影響が出るのでしょうか。

・障害者雇用の実態

これまでは、従業員100名以上の企業が納付金対象だったので、100名未満の企業は積極的に障害者の雇用を行っていませんでした。もし100名未満の企業が一斉に障害者の採用に動き出すと、未就労の障害者はますます少なくなります。そうなると、企業としては必要な能力を持つ障害者の雇用が困難になることが予想されます。

しかし、障害者側から見れば、雇用が拡大して採用される可能性が高まるわけですから、新制度に期待する声も少えんなくありません。その前に、これを実践するためには、中小企業に対する納付金の適用条件を見直す必要も出てきそうです。また、中小企業の障害者受け入れ体制をしっかりした上で、納付金額を下げるなどの措置を検討する必要もあるかもしれません。これについては、赤字になった時点で、翌年度以降の調整金額を減らす方向で検討することになる見通しです。

・障害者雇用納付金とは

障害者の雇用は、企業が連帯して果たすべき責務であるとの考えから、企業が障害者を雇用する際に発生する経済的負担を、公平に分担しようというのが障害者雇用納付金の考え方です。そのため、障害者を雇用する企業に対して、助成金や援助金を送る制度を総称して「障害者雇用納付金制度」と呼びます。

この制度は、元々は企業からの拠出金であるため、障害者を雇用しない企業が罰金を払っているわけではありません。また同時に、納付金を納付すれば障害者を雇用しなくていいというわけでもありません。

・障害者雇用納付金制度の種類

障害者雇用納付金:企業は、毎年6月1日現在の障害者雇用状況をハローワークに報告し、法定雇用率に及ばない企業は障害者雇用納付金を納付しなければなりません。

現在、平成27年の法改正により、常用労働者数100人~200人の企業まで納付金制度が拡大しています。障害者雇用調整金:常用労働者数100人以上の企業が、法定雇用率である2.2%を超えて障害者を常用雇用した場合は、2.2%を超えて雇用している障害者1人あたり月額27,000円が支給されます。

報奨金:常用労働者が100人以下の企業を対象に、各月の常用労働者数の4%の年間合計数または72人のうち、多い数を超えて障害者を雇用する企業には月額21,000円が報奨金として支給されます。

・今後の制度の改善点

障害者雇用納付金として、月額50,000円という金額は妥当とはいえず、障害者の雇用にはかなりの費用がかかっているので、もっと引き上げるべきという意見が出ています。また、障害者をまったく雇用しない企業や、雇用率が著しく低い企業に対しては、障害者雇用納付金をもっと高くするべきとの意見もあります。

ただし、実際に金額を引き上げるかどうかについては、慎重に検討する必要があります。というのは、高い金額を納付すると障害者雇用に積極的ではない企業が、お金を払うことで社会的責任を果たしたような感覚になることが懸念されるからです。

本当に必要なのは納付金ではなく障害者の雇用拡大です。現実には、障害者をまったく雇用していない企業のうち、約99%が常用労働者300人以下の中小企業ですから、このような枠組みを厳格にすると、それが負担となって持ちこたえられなくなる企業が出ないとも限りません。いわば各企業の「善意」をもとに作られた仕組みなので、運営上難しい面があるのは仕方がありません。しかし、目的はあくまでも障害者の雇用拡大です